安心して暮らせるナチュラルな家・小久保美香建築設計事務所 小久保美香さん


 
ナチュラルな素材を使うと、安心して暮らせるここちの良い家を建てることができます。
ナチュラルな家が得意な1級建築士事務所 小久保美香建築設計事務所 小久保美香さんにお話を伺いました。

お話を伺った建築家

 

ナチュラルな家を手がけるようになったきっかけがありましたら教えて下さい

 
卒業して、はじめて働いた所(工務店)は元々が材木屋さんで、木をふんだんに使用した家と建売住宅に近いビニールクロスや建材を使用した注文住宅の両方を建てられていました。
 
働きはじめたころは、シックハウスという言葉もなくて、建材を使用した家にいくと 私は、気持ち悪くなってしまいました。
 
反対に、木をふんだんにつかった家のほうは匂いも体も心地よくかんじました。
 
またその当時、製材もしていて、丸太を製材する様子に立ち会うこともできたのですが、製材したばかりの木はあたたかくて、しっとりしていて、赤ちゃんみたいと思いました。
命あるものを生かしてつくるんだなと感じました。
  
私自身が安心してく暮らせる家、心地よいとかんじるもの、空間は何かと考えたとき、ナチュラルな素材をつかった家なんだなと思い、自然素材を得意としている設計事務所に転職したのがきっかけです。
 

ナチュラルな家のメリット・デメリットを教えて下さい

 
メリットは、何よりも心地がよいことだと思います。
はいったときの空気感が違い、長く居たいなぁとかんじられると思います。
 
また時間と共によい色に変わるので愛着もわくと思います。
安心して暮らせるというのも大切な要素のひとつです。
 
デメリットは、命ある素材をつかうので、反ったり、狂ったりすることがあります。
 
竣工して1、2年くらいは建具の動くが悪くなったりするこもあり、また、(建材を使用した家もいっしょですが)メンテナンスも必要となります。
 
工期がかかること、職人さんの技術が必要なので、竣工時の価格は建材を使用した家よりも、高くなってしまうこともあります。ただ、長い目でみると高くはないと、その分の価値はあると信じています。
  

ナチュラルな家で注意する点があれば教えて下さい

 
自然素材が好きかどうかというのも大切です。手入れが必要になるので、そんな暮らし方を楽しめるかどうか、想像してみてください。
手入れとは、タイヘンなことではなくて、こぼしてしまったら、さっと拭くというような(本来だったら建材を使用している家でも必要な)ことです。
 
子供たちは、木の家が好きみたいでにこにこ元気に走り回ったりしていることが多いです。
 
また、つくり手に技術があるかどうかを見極めることも大切です。
自然素材なので、伸縮したりするので、技術があるところは、対応できるように工夫をしています。
 
また、同じ自然素材といっても、化学的なもので固めているものや、薄くて効果が少ないものもありますので注意してください。
  

よく使っているおすすめの建材・仕上げなどがあれば教えて下さい

 
構造材は 杉 桧、赤松等、国産材を使用しています。
 
床材は 杉、なら、かば桜、赤松、桐、さわら等、好みや予算にあわせて選んでいます。
 
壁は、漆喰に土をいれてやわらかいトーンにしたもの、土(※技術のある左官屋さんでないとできない場合があります。)、プラスター、手すき和紙、和紙等です。
 
天井材は、野地板の杉を表しにしたり、漆喰(色土混入)、プラスターを塗ることが多いです。
 
浴室には十和田石、ホーローの浴槽、タイル、桧、さわらなど、
 
キッチンは、木で骨組みを組み、業務用のステンレスのカウンターを使用しています。
キッチンのタイルも陶芸家の方に焼いていただくことがあります。
 
外部は、漆喰や板張り、モルタル塗り(将来、予算ができたら漆喰を塗ることをお勧めしています。)です。
 

ナチュラルな家を建てたいと思っている方になにかアドバイスがありましたら教えて下さい

 
自分にとって、何が心地よいのか、どんな暮らしをしたいのか、かんじてください。
 
長い目でみて、一生 すごす場所なので、大切なことは何かをかんじてくれたらうれしいです。
 
ナチュラルな暮らし方にあう心地よい住まいをつくるお手伝いができましたらうれしいです。
 

1級建築士事務所 小久保美香建築設計事務所 小久保美香さんのナチュラルな家設計事例

画像 建物の名称 紹介文
ちっちゃいおうち

2階リビングとして、屋根勾配を利用した一つ屋根の下の大空間としました。
ステップフロアを設け、リビングダイニングをゆるやかに、キッチンは手元を隠し緩やかに区切っています。

ファービングハウス

安心して暮らせるように土壁の保温性を生かし、空気層を設け、外貼りの断熱改修、耐震改修を行いました。
また築50年の建物のよさ、今まで生活をされていた導線のよさを生かして
アトリエ、居間を設けました。
栗や、杉の床、

木のおうち

2世帯住宅で水周りなど全て各世帯ごとあります。
夕ご飯は一緒に食べたいとのことで一番良い場所に設けました。
伝統的な仕口、組み手をつかいまた小屋組みをみえるようにしました。

ミドリノオト

緑が好きなお施主さんが外をかんじられるように
南の中庭と北の中庭を設けました。
南の中庭は木製建具をフルオープンできるようにして、庭作業をしたあとくつろげるよにガラス屋根を設けました。北の中庭は緑を楽しめるようになっています。

北本の杜

伝統的な方法をつかい木をふんだんに使いました。

2世帯ではなく母屋の横につくりました。
プライベートを確保しつつ、会話のできる配置としました。