日常の中で世界のビールが楽しめるビアレストラン・杉山デザイン室一級建築士事務所 杉山 登忠之さん


ビアレストランの間取りは「ひとりゆっくり」「マイスターとビア談義」「数名」「大人数」「何かの二次会」など、色々なシーンに対応できることが望まれます。
 
ビアレストランについて、杉山デザイン室一級建築士事務所 杉山 登忠之さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 杉山デザイン室一級建築士事務所 杉山 登忠之 の写真
静岡市清水区下野西5-11
054-365-6101

 

ビアレストランの外観で注意している点があれば教えてください

 
まず想い浮かぶのが、ロンドンやブリュッセルのパブですが、日本国内にそんな構えの店舗があっても、そこに本場のビールを期待して飛び込みで入店する消費者がどれくらいいらっしゃるだろうかと考えてしまいます。とは言え、本場のビールを愛する方は少なくないようですし、ビール通になりたいと思っている方々も増えているようです。
 
そんな消費者の方々に、オクトーバーフェストやBBWでなくても、日常の中で世界のビールが楽しめることを疑いなく認識していただくには、そのような形態の営業をしていることが外から認知できる必要があると思っています。
 
構えは日本では馴染みの薄い本場のパブスタイルでも、店内の本場のスタイルやシステムが見えることで察していただけるように、窓の位置・配置やタワーの向きなど考えています。
 

ビアレストランの間取りで注意している点があれば教えてください

 
欧米の古い建物の1階店舗では、たいていキッチン・トイレが地階にあります。
 
理由は地階を下人の空間と捉えていたことに起因しますが、それはそれとして、トイレが地階にあることによって客席とトイレが全く別の空間として切り分けられます。
 
キッチンはオペレーション上タワーのあるカウンターに隣接しているべきですが、トイレは喚起と喧騒の場から、一気に現実の世界に戻されてしまうような空気感さえあってよいと思っています。
 
またそれは、昇り詰めた緊張感・高揚感を冷ましてくれることにもなると思います。
 
客席から認知できる範囲にその(トイレの)入口があっては冷却効果は望めません。
何席か減ることになっても、この導線を確保することは、客単価増とリピート増に必要と考えています。
 
客席内の間取りでは、プランの第一段階では客構成に合わせたレイアウトが基本だと考えます。
 
「ひとりゆっくり」「マイスターとビア談義」「数名」「大人数」「何かの二次会」など、色々なシーンに対応できることが望まれます。
 
40坪もあれば、容易く各パートをゾーニングできると思いますが、10坪でも20坪でもカウンター形状の工夫などにより、コンバインドユースは可能です。
 

ビアレストランの内装で注意している点があれば教えてください

 
経営者が、若しくは店長がビアマイスターを取得しているケースも多いと思っています。
 
この場合、知識と技術の両方があるので、ヴィジュアル的な演出はあまり必要無いと思います。
 
ロンドンやブリュッセルのパブをそのまま持ってきたような、本物のパブを知っている人からすれば「ベタ」であるような内装が、本格的ビアレストランの内装であってよいと思っています。
 
幅広い仕入ルートを強みにして大ホールを運営する場合も同じことが言えると思いますが、逆に、フードメニューの工夫や斬新な提供スタイルで差別化を図ろうとするのであれば、これはもはや新業態となり得るので、今現在のトレンド導入に注力すべきなのかもしれません。
 
これは、ターゲットによって変わり得ることだと思います。

ビアレストラン グローストックの設計で工夫した点を教えてください

 
この店舗は46坪という十分なスペースに加え12坪のバルコニーを有していたため、「間取り」の項で前述したような目的をカテゴライズすることができました。
 
「カウンター席」「相席可能なテーブル席」「団体を区別することのできるステップアップしたフレキシブルゾーン」「どんな人数にも対応できるランダムゾーン」「星空の下のガーデンスペース」

しかし、カテゴリーにとらわれていたのでは、席は埋まりません。
各ゾーンがラップし合うことが求められます。
 
たとえば、6名のグループが、2名はカウンター席4名はテーブル席であっても、そこにひとくくりの団体席が成り立ってしまうような。
 
その時、「ベタ」であることがその効果を発揮してくれます。
あらゆる来客スタイルに対応しながらも、ロンドンのパブのように、どのゾーンにいても同じ景色であり、どのゾーンにいてもその区画が曖昧であること。
 
ビール通の消費者に満足していただくに留まらず、多様なニーズに応えられるためにも「ベタなロンドンのパブ」というコンセプトは必須でした。
 
私はいつも、カウンターの左奥から3番目の席でひとりで飲んでいます。
その右側にはゾーンを超えた団体客のうちの数名が座っています。
いつしかカウンターとテーブル席は一体となっています。
しかし私は、いつでもカウンターでのひとりの世界に戻ることができます。
それはそこに結界のような1本の非耐力柱があるからです。
 
この「カテゴライズと曖昧さの融合」がビアレストラン等に必要なのではないかと思っています。

ビアレストランのリフォームもやっていただけますか?

 
現状を拝見してのアドバイスのみであっても、コンセプト創り・プレゼンテーションまでであっても、もちろん言うまでも無く基本設計・実施設計・工事監理まで、ご都合やご要望に合わせた対応をさせていただきます。
 

ビアレストランを建てたい方にアドバイスがあればお願いします

 
ビアレストランに限らず、店舗を運営するのには、コンセプトが必要であり、自ずからターゲット・目標収益も定まって事業計画がまとまります。
 
本場のビールが分かる人に来店してほしいのか、ビールの魅力を広めたいのか、または、効率の良いビジネスとして確立したいのか、コンセプトによって、反映されるターゲットも店舗創りも変わってきます。
 
地域性もありますし、スタッフの知識力なども、大きな検討材料になります。
 
経営者ご自身がビアマイスターを取得されているとか、希少なルートをお持ちの場合は少数精鋭で目的意識の高い消費者をターゲットにするのがよいと思います。
この場合、ロケーションに対する制約は小さいと思います。
 
そうではなくて、大きな箱で勝負するのであれば、多様なニーズに対応できるロケーションと常に満足感を演出できるようなゾーニング・レイアウトが求められると思います。
 
逆の言い方をさせていただきますと、ロケーションやターゲットが既に決まっている場合、それに合わせた営業形態・スタッフ能力を検討する必要があるのだろうと思います。
 

杉山デザイン室一級建築士事務所 杉山 登忠之さんのビアレストラン・設計事例

  

画像 建物の名称 紹介文
ビアレストラン グローストック

「世界のビール」をおいしく飲んでいただくためには、そのための空間が必要。
ヨーロッパのビアレストラン、ビアパブを再現し、尚且つ日本人から見て違和感のない空間を追い求めました。

 

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