崖地には視界を遮るものがない自分だけの世界がある・米村和夫建築アトリエ/風のアトリエ 米村和夫


 
崖地では視界を遮るものがない自分だけの世界を作ることができます。都会の住宅地ではなかなか得ることができない贅沢です
 
崖地について米村和夫建築アトリエ/風のアトリエ 米村和夫さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 米村和夫建築アトリエ/風のアトリエ 米村和夫 の写真
藤沢市鵠沼海岸4-6-30-203
0466-60-6050

 

貴社が崖地の建物を手がけるようになったきっかけがありましたら教えて下さい

 
1998年、今から18年程前と思いますが、熱海の別荘地にて設計の機会をいただいたのがきっかけです。
 
熱海、伊豆方面はフラットな敷地の方が稀少というエリアなのですが、計画敷地は周辺エリアの中でも1、2位を争う絶景のロケーションでした。
 
いざ新築しようと腰を上げツテのあるルートでプランの依頼をしたのですが、不動産屋ルート、デベロッパールート、施工会社ルートともに建売住宅のようなプランばかりでロケーションの条件(眺望の良さ、高低差のある敷地、別荘としてのイメージ)を満足することが出来ずに途方にくれていた時に、縁あってプラン依頼をいただきました。
 
その足で、現地に直行しました。現地に到着と同時に衝撃的にイメージが閃きました。
 
1週間後には模型も含めてプレゼンテーションしオーナーからも絶賛していただき速攻で設計契約に至りました。
そのような意味でスピーディな閃きと運命的な発想の展開は、私と崖地建築との接点は宿命だったと確信しています。
 

崖地に建つ建物のメリットとは何ですか?

何と言っても、視界を遮るものがない自分だけの世界があること、作れることだと思います。
都会の住宅地ではなかなか得ることができない贅沢です。
 
眺望が良いということは、空を感じ、緑を感じ、海を感じ、風を感じ、四季を感じる生活を楽しむことが得やすいことであり、ナチュラル志向の人、非日常を求めたり、気分転換などを求める人にはお薦めです。
 

 

崖地に建つ建物のデメリットを教えて下さい。

 
大きく2つあります。1つは「危険」と言う潜在的なイメージ。
もう1つは「割高な工事費になりそう」というイメージです。
 
「危険」の話しを最初にします。
残念ながら技術の世界に「絶対大丈夫(あんしん)」という言葉はありません。(言う人がいたら胡散臭い人です)
 
自然の力は時に想像以上、想定以上の力で襲いかかってきます。
ということを理解した上でないと建築行為はできないし、そこでの生活はできないと思います。
 
それは崖地でなくても津波や液状化現象や土石流などの諸現象でも同じことです。
心配性の人は崖地に家を建てることは向かないと思います。
 
話は戻りますが、「危険」という潜在的リスクについては、適切な知識と設計力、及び能力のある構造設計事務所との連携をすること、そして設計のプロセスと経緯と意味を詳細に丁寧に説明することでかなりのレベルで解消されるものと信じています。
 
質問の趣旨と若干それたコメントになりますが、建築主と設計者との信頼関係の度合いと安心感は比例しています。
 
工事費に関しては私は次のように説明しています。
「平地で家を作る場合と比べて基礎工事の差額が割高になりますよ」と、崖地の程度、角度や道路の位置、施工環境、地盤にもよりますが、緩い傾斜地で200万くらい、急傾斜地で500万くらいの費用がかかることが多いような実感があります。
 
 

崖地に建つ建物の設計の際に注意していることを教えてください。

 
通常の(平地での)設計と比べると、建築主の不安の第一は何と言っても“安全性”で、その不安解消が最も重要な設計プロセスのスタートです。
この点は先ほどもお話しした内容と重複するので省略しますが、崖地だから特別であるとは思っていません、通常の設計行為の延長上に崖地の設計があると考えています。
 
難しさの幾つかをお話ししますと、工事金額の予想(設計段階で設計事務所が算出する概算工事費)が難しいことです。
この数値の精度が高くないと資金計画が立てられないし、設計監理契約ができません。
 
見積もりについても、施工会社の今までの施工経験によると思いますが会社によって全く違います。
相見積もりで1000万円の差額(3500万~4500万円)が出たこともあります。
 
高い金額の施工会社は崖地の敷地を見てネガティブなコメントや立ち振る舞いをします。
しかし、崖地の百戦錬磨の施工会社は動じません。
 
その「ひるむか」「ひるまないか」の心理的な差が金額という数値に見事に現れてくるようです。
 

崖地条例とはどのようなものですか?

 
崖地条例をこの場で簡単に説明することはとても難しいです。
 
が、簡単に、限りなく枝葉を省いて言うならば、勾配が30度以上ある斜面を「危険性のある斜面=崖地」といい、崖地に建築物を作る場合、構造的に技術的に対策を練らないといけないですよ」というルールを定めたのが「がけ地条例」です。
 
(不思議なことですが)全国統一されたルール、指導ではなく各自治体によって独自の規制があります。
 

秋川の3段崖地の家は二棟の家が並んでいるようですが工夫した点がありましたら教えて下さい。

 
秋川の3段崖地の家は敷地内に3つの石垣(擁壁:段差)があり高低差が10M以上ある敷地です。
かつて近所で新築しようと試みたものの挫折した人がいたようで、「このエリア(崖地)では家を建てることができないようだ」と信じ込まれていたのです。
 
ダメ元で私に連絡をした建築主ですが、私が最初に「出来ますよ」と回答したことに大変喜んだことを覚えています。
先ほどの話になりますが、崖地を目の前にし、建築主も設計者も、さらに施工者も「ひるまない」ことがスタートです。
 
この敷地に2つの住宅を計画することを求められました。
上段に息子世帯の住宅。下の段に両親が住む住宅(平屋)です。二世帯の住宅です。
 
ちょうど敷地の勾配が2世帯の住宅の一体感を表現するのにぴったりであることに気づきました。
ボリュームの検討を重ねる段階で注意したことは、2つの建物の屋根や壁の材料は揃えて統一するものの、それぞれの価値観や生活感、個性を尊重することを重視しています。
 
よってプランニングのスタイルも全く違いますし、屋根形状も違います。
 

 
 

崖地に建物を建てたい方になにかアドバイスがあればお願いします。

 
崖地の建築は気持ちの持ち方次第で無限の可能性が広がります。
最高の魅力一杯のしかも自分だけの空間を得ることができます。
潜在的な不安があることは間違いありませんが、不安のレベルは人によって違います。
先ほどもお話をしましたが、生理的に怖がりな人、高所恐怖症の人は難しいと思いますが、パートナーとなる設計士と組んで話を聞いてみて、納得ができたならば、、、とまづは「話を聞いてみよう」くらいの意識があれば良いのではないでしょうか?
 
考えてみれば別荘地などは殆んど傾斜地です。
熱海や伊豆方面に行くとわかりますが急傾斜地が普通です。
と考えると決して驚くべきことではないと思うのです。
 
崖地で生活を試みる多くの建築主と出会ってきました、
崖地の工事(見積もりのみを含む)多くの施工会社とも出会ってきましたが、建築主(住み手)に共通して言えることは、「崖地(敷地)を見て、前向きに捉えることができる住み手の意識であり、施工者も同様の意識があること」です。
 
素晴らしい景色だったり、自然との一体感だったりのプラス面と崖地の潜在的にもつ不安感を天秤にかけた時にプラス面が強い人なら大丈夫です。
 
施工者もこの心理が比例して見積もりに反映されます。
 
建築主は、崖地を見て“ひるまない(前向きな)”生活をイメージし、設計者と施工者は“ひるまず(恐れずに)”に知識と技術と想いを設計と施工にチャレンジする。
この「“ひるまない”3者のチーム」が出来れば不安は解消されると思います。
 
まづは、パートナーとなる“ひるまない建築家”と出会うことが大事だと思います。
 

崖地と地盤の関係は、今までに考慮したことはありますか

 
ボーリング調査はもちろん、必ずします。
安定したいい地盤があるときは問題ありません。
 
悪いときは杭を打ちますが、通常崖地は杭を施工する重機が入らないことがあるので注意が必要ですが、各地域で、各施工会社で得意とする工法があります。
 
過去に、中途半端なデータが出たことがあります。
「悪い地盤ではないけど良いわけではない」そのような時の判断が難しいです。
 
その時は構造設計者と連携の上、重く地盤に負担がかかる鉄筋コンクリート造を中止し、軽い鉄骨造を採用したことがあります。
基本的には軽い構造体を、滑りや転倒に配慮して重心を後方にすることは意識しています。
 

米村和夫建築アトリエ/風のアトリエ 米村和夫さんの崖地の建物・設計事例

   

画像 建物の名称 紹介文
伊豆の国市函南の崖地の別荘

「崖地に家を建てる不安」「忙しくて十分に現場にいくことが出来ないのでおまかせ出来て,現場対応をしてくれること」「メール等を活用して現場状況を伝えてくれること」などを期待して依頼しました.

秋川の3段崖地の家

最初は崖地の一番下の土地を購入して家を建てて住む予定でした.その時に上の土地も売りに出されている事を知り、両親と一緒に住む事を思い,設計士に相談しましたが出来ないとのこと,近所の人も出来ないらしいと言っていましたが,しかし隣に家は建ってる事も事実,そこで崖地に詳しい米村さんに問い合わせた事から

熱海桜沢別荘地の共鳴BOX

熱海市街地を望む北斜面.崖地の不安をどう対応するかを建築家に強く望みました.建物を3階建てにし重量を軽くする事で地盤への負担を減らす事に多くの試行錯誤をしました.

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