魅力・コンセプトをかたちにした旅館・ATS造家設計事務所 奥田 敦さん
旅館の設計では客室数・許容宿泊者数を増やすことは当たり前ですが、その旅館が培ってきた魅力・コンセプト・今後の事業方針等を 具体的な「かたち」にまとめることが大切です。
旅館についてATS造家設計事務所 奥田 敦さんに伺いました。
貴社が旅館の設計を手がけたきっかけがありましたら教えて下さい
以前、旅館を経営されている社長宅の新築時に、現場監理の依頼を受け、仕事をさせていただきました。
その時のご縁で、今回の旅館改装工事に声をかけていただきました。
旅館の平面計画で注意しているポイントを教えて下さい
一般には、「レンタブル比」(延床面積に占める客室面積の割合)を高める計画が望まれます。
できる限り客室数・許容宿泊者数を増やす計画を提案することは当たり前なのですが、それだけではありません。
その旅館が培ってきた魅力・コンセプト・今後の事業方針等を 具体的な「かたち」にまとめることが大切だと思います。
旅館のデザインで注意しているポイントを教えて下さい
建物に前庭を作り、植樹をします。
建物が見えなくても構いません。むしろ木に隠れて見えないほうがいい場合もあります。
小規模なコテージ風の施設なら、雰囲気もたいへん良くなります。
そして、建物本体以上に、アプローチは大切です。
立地条件にもよりますが、玄関までの屋外空間は、宿泊者を休息のひとときへといざなう、大切な緩衝スペースです。
旅館の客室設計で注意しているポイントを教えて下さい
ベッドや家具の寸法・レイアウト・質感・照明計画・窓から見える景色の切り取り方など、客室を構成する要素一つ一つの吟味、検討はもちろん必要です。
ソフトにも関わる布団や枕の素材・色合い、アメニティーの選択も含め、一つの空間として、宿泊者に「演出感のない非日常」を感じてもらうことができれば良いと思います。
旅館の共用部の設計で注意しているポイントを教えて下さい
客室から大浴場まで行く通路に、膨大な費用をかけた(と思われる)宿泊施設がありました。
ただ通過するだけのスペースにです。
でもそこは、こころに残る非日常感に溢れていました。
どの程度まで許容するのかはケースバイケースですが、常識を超えることで、新しい何かが生まれると思います。
旅館設計を貴社に依頼するメリットを教えて下さい
当事務所では旅館設計の実績は多くありません。
もし、普通に堅実な旅館経営をお考えであれば、ホテルコーディネーターを入れ、実績のある設計者に任せたほうがよろしいかと思います。
メリットがあるとするならば、一般解ではない施設計画の提供ができることだと思います。
S旅館改装は改装のようですが新築を依頼することも可能でしょうか?
可能です。
土地購入前の相談にものっていただけますか?
土地購入から始めて、土地代も含めて収支が合うような計画はないでしょう。
旅館、ホテル事業はそんなに美味しい事業ではありません。
土地を所有していること、あるいは使用可能なことは、前提条件だと思います。
旅館を建てたい方になにかアドバイスがありましたらお願いします
宿泊費が高くても、数カ月先まで予約が取れない宿泊施設があります。
イニシャルコストを抑えるのはもちろんですが、メインのコンセプトやそれに伴うデザインにかける費用を惜しんではならないと思います。
〇〇地方に行くのなら是非立ち寄りたい、機会があればまた行ってみたい、と宿泊者に感じてもらえる魅力を創出することです。
広くなくても、景色やアクセスが良くなくても、そしてスタッフが少なくても、できることがあるはずです。
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