暮らし方を細かくヒアリングして設計された車椅子対応の家・ATS造家設計事務所 奥田 敦さん


 
車椅子対応の建物の設計は、車椅子を使った日常の暮らし方を細かくヒアリングすることから始まります。
 
車椅子対応の建物についてATS造家設計事務所 奥田 敦さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー ATS造家設計事務所 奥田 敦 の写真
京都市山科区大宅古海道町13-6
075-502-0606

 
 

貴社が車椅子対応の家を手がけたきっかけがありましたら教えて下さい

 
「十八間堂」とほほ同時期に「大津の二世帯住宅」の設計をさせていただきました。
2件ともに車椅子の使用が前提でしたが、共通する設計よりも個々に対応しなければならない問題が多くあり、印象に残りました。
 

車椅子の幅はどれくらいあるのでしょうか?

 
使用用途やメーカーによって様々です。
車載用の折りたたみ式のもの、室内用のもの、浴室用のもの、スポーツをされる方のものなど、いろいろあります。
したがって設計時には、使用されている車椅子の実寸を測って参考にさせてもらいます。
 

車椅子で自走できるスロープの勾配はどれくらいですか?

 
この勾配より緩くしましょう、という基準はありますが、年齢や障害の状況、健康状態によって変わってくると思います。
毎日の暮らしの中で、これくらいなら大丈夫、という経験値をお聞きすること、その現地を見せてもらうことが大切だと思います。
 

車椅子対応の家の廊下はどれくらいの寸法にしていますか?

 
有効寸法で、90cmくらいが多いです。
廊下の長さや曲がりの有無、部屋に入る引戸の幅寸法なども関係しますので、総合的に検討します。
 
広いにこしたことはありませんが、使用上問題なければ、通過するだけの廊下のスペースは、最小限に抑えたいものです。
車椅子との接触で壁に傷がつくこと考慮して、巾木を高くすることもお勧めです。
 

 

車椅子対応の家のドア幅はどれくらいにしていますか?

 
ドア幅は有効寸法で、85~90cmくらいが多いです。
もちろん、引戸が基本となります。ソフトクローズ機能のある金物は便利です。
 

車椅子対応の家の設計で注意している点を教えて下さい

 
実績が増えても、こうしておけば大丈夫、ということはあまりありません。
設計は、車椅子を使った日常の暮らし方を細かくヒアリングすることから始まります。
健常者のお住まいと何ら変わるところはありません。
 
難しいのは、これから車椅子が必要になるかもしれない高齢者のお住まいです。
ご当人にもわからないことが多いので、専門家としての判断が必要になってまいります。
 

車椅子対応のためのリフォームもやっていただけますか?

 
一般的なリフォームと違いまして、柱の位置など構造的な変更も伴います。
できれば耐震のための補強工事も、同時に進めることができれば良いと思います。
 

十八間堂(車椅子身障者のための平屋住宅)で工夫した点を教えて下さい

 
十八間堂は、幅4.64m・奥行32.76m(十八間)の細長い平屋の建物です。
当初施主は、2階建てでエレベーターを設置を希望されていましたが、敷地面積に余裕がありましたので、垂直移動のない平屋をおすすめしました。
 
奥行の長い建物ですので、玄関・LDKを中央に配置し、両端部にサニタリーと子供室を置いて、人の行き来や流れを促す動線計画です。
 
長い屋根を支える構造材をデザインの要とし、家全体を背骨のように貫いています。
同じリズムで繰り返される構造材の連続は、家族が包み守られているという安心感や一体感を与えてくれます。
 

 

十八間堂(車椅子身障者のための平屋住宅)・間取り図

 

十八間堂(車椅子身障者のための平屋住宅)・間取り図

貴社に車椅子対応の家を依頼するメリットを教えて下さい

 
車椅子対応の家を設計することは、特別なことではありません。
真摯に耳を傾けてくれる身近な建築家はたくさんいらっしゃいます。当事務所に限らず、どうぞ遠慮なく相談してみて下さい。
 

車椅子対応の家を建てたいと思っている方になにかアドバイスがありましたら教えて下さい

 
何かしらバリアーのある人が暮らす住まいは、ストレスなく生活できるだけではなく、心豊かな暮らしを愉しむことができる工夫をすることが大切だと考えます。
 
もちろん普段の生活で不便に感じていることは 建築家にそのままお話下さい。
必ず解決策を見つけてくれるはずです。
 

ATS造家設計事務所 奥田 敦さんの車椅子対応の建物・設計事例

   

画像 建物の名称 紹介文
十八間堂(車椅子身障者のための平屋住宅)

身体障害者のための平屋の住まいです。アプローチに自動車を置き、車いすに乗り換えて家の中を自由に移動することができます。

中庭のある平屋の住まい

高齢の依頼者のため平屋とし、室内はバリアフリーとなっています。

京田辺 中庭と暖炉のある家

建物内部は、自然素材を使いながらできるだけシンプルに、そしてすっきりと。陰を意識し、明るいだけではない照明の「灯り」に、夜の室内には安らぎの空気が流れます。

大津の二世帯住宅

吹き抜けを介して上下階が繋がる親世帯と、落ち着いた中庭を持つ子世帯を 大きな屋根が包み込み、暮らしを守ります。
親世帯は、吹抜けに面した階段を上がると、上階の寝室に繋がります。呼び声や気配、様子が感じられるような、介護を考慮した設計です。

高齢者のための平屋住宅

外観は和風のイメージで、屋外の床は、設計当初から施主のご希望だった、鉄平石の乱張りとしています。

 

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