あたたかな住まいづくりのために(マンション編 part7)
2月に入りましたね、今回は床材を科学していきましょう。
と言うと難しいことと構えてしまう方がいらっしゃるかもしれませんね。
いえいえ、少しだけ掘り下げるだけです。
材料には熱の伝え易さの指標の1つとして「熱伝導率」と呼ばれるものがあります。数字が小さいほど熱を伝えにくいことを示します。つまり、他からの熱の影響を受けにくい材料であると言えます。
単位は W/m・K で表現され、 長さ1mの物体の両端の温度差が1℃の時に表面積1㎡、1秒間あたりに流れる熱量 のことなのですが、こう言われても???ですよね。
では具体的に代表的な材料の熱伝導率を挙げてみます。
杉や桧 0.12 W/mK
合板 0.16 W/mK
コンクリート 1.6 W/mK
鋼材 53 W/mK
高性能グラスウール16K 0.038 W/mK
となります。
この中では一番数字が小さいのは最後に挙げた高性能グラスウールです。これは断熱材として使用される事の多い材料です。その次に数字が小さいのは杉や桧ですが、コンクリートや鋼材の数値に比べると格段に差がありますね。只この単位を良く見てみると分母に「m」がありますので、数値を小さくしようと思えば材料に厚みを増していけば自ずと数値は小さくなります。そこで材料の厚みを熱伝導率で割った熱抵抗と呼ばれる基準で材料の断熱性能を記されることもあります。単位は 「㎡K/W」 で表現され今度は数値の大きい方が熱を伝えにくいことになります。
只これだけで暖かさの比較ができる訳ではありません。住まいは様々な材料を組み合わせて造られていますので、きちんと比較しようと思えばそれを組み合わせた総合評価が必要となります。又、このような物性で比較するだけでなく使用環境、個人差なども含めて比べる必要があります。
話を無垢材に戻しますが、木の細胞構造をご存知の方、いらっしゃいますでしょうか?以下のリンク先をご覧頂くと分かるのですが、段ボールみたいやん、と思いませんか?そうなんです段ボールのような細胞構造ゆえに乾燥させた木材には空洞の部分に空気をためることが出来ます。その空気層が断熱の役割を担うために、無垢材を触るとあたたかそうに感じるのです。その他、木の成長や辺材(木の周辺部で杉では白っぽい部分)、芯材(木の中心部で杉では赤味の部分)のことなど面白いことがリンク先に書いていますので、是非一度ご覧になって下さいね。
http://hyogo-nourinsuisangc.jp/sinrin/images/nagai2006.pdf
長くなりましたが今回はこの辺りで、次回は壁材についてを考えています。
お楽しみに!