【奈良県の空き家問題を考える】高齢化や若年層転出による増加の実態、特定空き家対策と移住促進など多角的施策の効果、地域コミュニティ再生へ向けた行政・住民の連携強化と今後の展望・多様な可能性を包括的に。

ユーザー やまぐち建築設計室 山口 哲央 の写真

※古風な住まいを利用して事業にも活用する提案
近年は

日本全国で空き家の増加が

深刻化していて、

奈良県も例外ではありません。

総務省の「住宅・土地統計調査」など

公的な統計によれば、

奈良県内でも

空き家率(住宅総数に占める空き家の割合)は

全国平均と同程度、

もしくはそれ以上に高い水準にある

自治体が見受けられます。

奈良県における

空き家の現状とその背景を

「家造り」や「空き家対策」を

考える立場から、

僕自身も関係者の方々からも

住宅相談の際にも

ご相談をお受けしていますし

地域とも協力しながら

いろいろな対策を考えています。

そういった背景もありますので

少し「空き家」のことについて

書いてみたいと思います。

2025年4月の改正建築基準法も

そういう意味では「関連する」しますので。

〇空き家増加の背景

人口減少・高齢化

奈良県は関西圏ではありますが、

若年層が

大阪府や京都府などに

転出する傾向があり、

一部地域では高齢化が進行。

親世代の住宅を

相続しても

住む予定がないまま

放置される事例が増え、

空き家率が高まっている。

〇住宅供給過多

新築志向が依然として根強く、

既存住宅の流通や

リノベーションの市場が

活発化していない。

近畿エリアの中でも、

住宅地として

人気の高い

市街地(大阪・京都・神戸など)への

集中に対し、

奈良県内の一部地域では

需要が伸び悩んでいる。

〇維持管理の負担

古民家や

築年数の古い住宅が

多い地域では、

修繕費や耐震補強費の

負担が大きく、

維持が難しい。

特に空き家所有者が

県外居住の場合、

庭の草刈り手入れ

解体やリフォームを行う

意欲や資金に関連して

放置されやすい。

〇空き家による課題

地域の景観・衛生・防災上の問題

老朽化が進んだ空き家は

倒壊や火災、害虫

害獣の発生といった

リスクが高まる・・・・・。

観光地としての

イメージもある奈良県では、

景観・治安の悪化が

周辺住民や観光客への

悪影響を及ぼす場合もある。

〇コミュニティの希薄化

人口減少に伴う空き家の増加は、

自治会や町内会など

地域コミュニティの維持を

難しくする要因のひとつ。

特に高齢者が多い地域では、

空き家の増加により

見守り体制が弱体化し、

さらに定住者が

減っていくという

悪循環を生む。

防犯上の懸念・・・・・。

空き家が増えると、

空き巣や不法侵入など

犯罪リスクの上昇が懸念される。

特に通学路や

生活道路沿いに

老朽化した空き家があると、

子どもや住民の

安全上の課題ともなる。

〇奈良県や市町村の取り組み

空き家バンク事業・・・・・。

県や市町村が

運営する「空き家バンク」に

所有者が物件情報を登録し、

利用希望者に紹介する仕組み。

移住者の受け入れ促進や

地域の活性化を狙い、

家賃補助・改修費補助などの

支援策を行う自治体もある。

特定空き家への行政対応。

倒壊などの

危険性がある「特定空き家」に

指定された物件に対しては、

所有者に改善を促す

指導・勧告・命令、最終的には

行政代執行もあり得る。

奈良県内の自治体でも、

早期に実態把握を進め、

安全確保のための措置を推進。

〇補助金・融資制度の拡充

解体費用や

リフォーム費用、

耐震化改修の費用の一部を

自治体が補助する制度を

設けている場合もある。

古民家活用、

観光拠点化などの

再利用に対して助成を行い、

移住促進と

観光振興を同時に狙う

施策もみられる。

移住・定住促進施策との連携

「お試し移住体験住宅」や

「UIJターン」支援など、

若年層や

子育て世帯を呼び込む

政策と組み合わせ、

空き家の新たな活用を図っている。

県外からの移住希望者に対し、

地域特有の暮らし方や

就労サポートの情報提供を強化。

〇今後の展望・課題

空き家の“質”や所在地の把握

単なる「空き家数」だけでなく、

どのエリアに

どのような空き家が存在し、

どう活用できるかを

精査する必要がある。

観光地や駅近くの空き家は

宿泊施設や

テレワークオフィスなどへ

転用できる可能性があり、

行政と民間の連携が重要。

〇地域コミュニティ再生との結びつけ

空き家を若年層や

多世代家族の移住に活用することで、

過疎化の進む

地域コミュニティの再生につなげる。

地元のNPOや

民間団体とも連携し、

移住者が地域に

溶け込みやすい

仕組みづくりが欠かせない。

〇所有者との情報共有と責任の明確化

行政が持つ補助・優遇制度の

周知が不足しているケースもあり、

所有者が「空き家バンク」や

助成金情報を知らずに

放置していることが多い。

所有者にも管理責任を

意識してもらうと同時に、

相続や税制の仕組みを含めて

啓発活動を行う必要がある。

〇リフォーム・解体産業の活性化

法律の知識や教育、

内容の周知も含めて

リフォームに適した事業者や、

古民家再生に長けた

職人の育成・確保も課題。

解体・廃材処理費用の

負担軽減策など、

実際に活用や除却を

進めやすい環境づくりが

求められる。

奈良県内では、

高齢化や若年層の流出など

日本全国共通の人口問題に加え、

観光や文化財保護との

兼ね合いもあって

空き家対策も重要になっています。

自治体や地元団体は

空き家バンク事業や

補助金制度の充実など

多角的な方策を進めていますが、

依然として情報不足や

資金・人手不足もあるのが

現状です。

今後は、

地域活性化

移住定住支援

古民家再生などと結び付けながら、

所有者・自治体・民間企業

NPOが連携し、

空き家を資源として活かす視点が

より重要になると考えられます。

地域の充実化や

暮らしの多様性や

職場環境を整える

という視点からも

空き家という存在を

どのように意識するのかによって

その見え方も変わるかと思います。

やまぐち建築設計室は
その家に暮らす家族の過ごし方を
デザインする設計事務所です。

暮らしの意識と時間を丁寧に。

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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

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