住まいづくりの打ち合わせ、暮らしの情景を紐解き敷地の特性を活かす住まい手さんの夢を息づかせる住まいのプランニングと間取、外観は瓦屋根の和風住宅、内観は和モダンと北欧モダンが融合するジャパンディな空間。

※住まい手さんご夫婦との家造りプランと間取りの打ち合わせ
住まい手と紡ぐ間取りの物語。
家造りの際に大切にしている
暮らしの価値観を紐解きながら、
「プランニング」や「間取りづくり」について。
住まい手さんご夫婦との打ち合わせをアトリエにて。
住まい手さんの夢が息づく
打ち合わせの大切さ。
これからの住まいへの思い入れを
真摯に話し合う時間。
長い時間をともにする「家」の
空間づくりに対しては、
素材の心地よさや
家の内部を考えた風通しの良さ、
窓を通じての景観の取り込み方など、
幅広い情報の精度と奥深さを大切に。
打合せの際にいつも大切にしているのは
「暮らしの情景」をじっくりと
話し合いながら想像することです。
住まい手さんが
朝起きた瞬間から
就寝までの一連の流れ、
一日の中で何を大切にし、
どのようなアクティビティを望まれるのか。
その具体的なイメージを
共有し合うことで、
家造りのプランニングに関する
大きな方向性が定まっていきます。
例えば朝は東の窓から射し込む
やわらかな光を感じながら
ダイニングで朝食を取りたい。
休日にはウッドデッキで
ブランチがしたい。
家事動線を出来るだけ
コンパクトにまとめたいなど、
家の在り方を
イメージする上でのキーワードが次々と。
それらを一点ずつ
ヒアリングでまとめながら、
プランに当てはめていく作業は、
ひとつの人生観を
物語として紡ぐような過程です。
今回の打ち合わせでも、
前回での打ち合わせで調整した
初期プランの図面を広げ、
間取り図やイメージ図を眺めながら、
ご自身の暮らしを
情報整理しながら
重ね合わせては
あ、この位置にキッチンがあると便利ですね、
リビングの掃き出し窓は
やっぱりもう少し
広く取れると良いですね、
パントリーがこんな風になると
キッチンがこんな感じで・・・etc。
状態が視覚的にも「見える」ことで、
具体的なリクエストを
伝えやすくなります。
プランは共通認識の「ツール」です。
情報量を最初から多く伝えるのではなくて
認識可能な範囲で伝達するということを
大切にしています。
溢れる情報は「最初」を忘れて
「最後だけ」になりますから。
皆さんも「普段の生活や仕事」を
思い起こすとそうではありませんか?。
そういう意味で
普段の認知となるまではその繰り返しです。
僕はそれらを丁寧に拾い上げながら、
プランの情報を
少しずつ増やしながら
可能性を少しずつ広げていきます。
このような打ち合わせ風景は、
一見すると「座って図面を見ているだけ」にも
映りますが、
実際には住まい手さんの
想いと建築家の経験値が交差し、
化学反応を起こす貴重な時間です。
図面はあくまで
情報の一端でしかありません。
そこにどう暮らすのか、
どのような時間を過ごすのかという、
目には見えない要素を
重ね合わせることで、
ようやく「家」という
暮らしの為の器が
生き生きとした存在へと
近づいていきます。
敷地の特性と周辺環境を読む
いかなる建築物もそうであるように、
住宅も敷地条件や
周辺環境を踏まえずして
最適な間取りは成り立ちません。
今回の計画敷地は、
比較的ゆったりとした
奈良県中南和の郊外に位置し、
隣地の畑や緑地が広がるという
ロケーション。
奈良県特有の広い空があり
四季折々の変化を
楽しむことができる一方、
夏の強い日差しや
冬の冷たい風といった
自然条件にも
配慮する必要があります。
現地を丁寧に下見し、
日当たりの時間帯や
風の通り道、
遠景の見晴らし具合などを確認し
近隣にはどのような
建物が並んでいるのか、
周囲との調和を図るために
高さ関係や屋根形状に
気を配る必要はどれくらい必要なのか、
といった点もリサーチ。
そのうえで
南側だけにこだわるのではなく
適切な窓からは
できるだけ視界を開放し、
風景の恩恵を取り入れたい。
隣家との距離や
プライバシーを考慮して
窓の大きさや配置を検討したい
といった要素を整理していきます。
こうした外部環境の読み取りは、
間取りと関連する
プランニングの礎となる
重要な工程です。
単純に日当たりが良いから
南向きリビングにする
というだけではなく、
南面の窓を
どの程度の大きさにするか、
庇(ひさし)や軒を
どのように設けるか、
自然換気や風の通りを促す
窓の配置、
近隣からの視線が
気にならないようにするための
壁や障壁、庭の取り方など、
建築的な工夫が多岐にわたるからです。
これらの要素を一つひとつ吟味しながら
組み合わせることで、
住まい手さんの望む
快適性とプライバシー、
意匠性を高い次元で満たす
プランが最適解に近づきます。
ご夫婦のライフスタイルに
寄り添う間取りづくり。
生活動線がなるべく
スムーズであることが大切。
家事動線については、
キッチン・ダイニング
洗濯スペースなどを
どのように配置するかが
ポイントとなります。
特に今回はキッチンから
洗面室や浴室へ行く動線と、
玄関からリビングに至る
動線が交錯しないように考慮し、
家族が同時に
異なる行動をとっても
ストレスになりにくい
レイアウトを検討中。
アイランドキッチンの
開放的な配置も
視野に入れつつ、
収納スペースとのバランスや
換気計画を慎重に。
アイランドキッチンは
ダイニングやリビングとの一体感が
生まれる反面、
換気や料理のにおいが
部屋に広がりやすいという
難点があります。
目に見えない要素も含めて
考える事は大切。
そして今回の空間インテリアの拠り所は
ジャパンディの魅力。
機能的で洗練された
北欧デザインの良さを取り入れながら、
日本の伝統的な素材や
細やかな技を活かして、
静謐で上質な空気感を
生み出すところ。
異なる文化のエッセンスを
バランス良く融合させていくイメージ。
この辺りは今後の内観イメージ図
パースでも「方向性」の検討を。
こうした素材や仕上げの
選定プロセスは、
住まいづくりの楽しさが
ぎゅっと詰まった部分でもあり
色味や質感、香りや肌触りといった
五感に訴えかける要素を、
イメージしながら形にしていく
その過程は今後の暮らしの空間に
意味を持たせるものです。
要素を紐解きながら行う
打ち合わせは、プランを成熟させるための
不可欠な時間です。
住宅設計は
複雑な要素の集合体です。
家族構成やライフスタイル、
敷地条件、法規制、
コストバランスなど、
あらゆる観点を統合しつつ、
住まい手が本当に
心地よいと思える「最適解」を
見つけ出す時間です。
住まい手の暮らしと価値観×建築家の経験値の融合
住まい手さんの個性や
要望を汲み取りつつ
柔軟にアレンジしていく力が
試される時間。
同じ条件や同じ家族構成であっても、
人によって大切にしたい
暮らしのシーンは異なるもの。
そこに寄り添いながら
新しい価値に気付きを与えながら
設計ができるかどうかが大事だなと
毎回そう思います。
吹き抜けを用いたり、スキップフロアで
縦方向の広がりを演出したり、
あるいは階段室を
ギャラリーのように仕立てて
アートや写真を楽しむような
空間に変えたり。
さまざまな設計手法を用いることで、
その家ならではの魅力を
引き出すことができます。
それは、設計者独りのアイデアだけでなく、
ご家族の「こんな暮らしがしたい」
「こんな空間があれば嬉しい」という
思いから導き出される賜物です。
長々とプランづくりの
プロセスについてお話いたしましたが、
住まいは単なる「器」ではなく、
その中で紡がれる
人生を包み込む舞台です。
どのような動線にするか、
どんな素材を選ぶか、
どこに窓を設けるか
それら一つひとつの要素が、
家族の笑顔や
喜怒哀楽に寄り添う
豊かな時間を育むものです。
続きはまた次の打ち合わせ後に。
やまぐち建築設計室は
その家に暮らす家族の過ごし方を
デザインする設計事務所です。
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奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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