シラス壁の手入れ

ユーザー TAM建築設計室 新井敏洋 の写真

火山灰シラスを主材料とし自然材料のみでつくられているそとん壁は、伝統的塗壁を材料の特異性によってより性能を上げるとともに資源の有効活用が魅力的です。

18年が経過し全体的には色褪せがあるものの経年変化と考えると見栄えも問題ありません。

同時期に建った近隣のサイデイング材の住まいは、ほぼ10年で塗り替えてピカピカになっていますが、不具合がなければ経年を楽しむのもまた良いものです。

しかし、細部を見ると手入れが出来ればと思うところもあります。

一つは浴室換気扇フード廻りです。

水蒸気が当たり色落ちが大きく見栄えが悪くなっております。

バスコートのため目立つ場所ではありません。

もう一つは、外壁凹面の汚れとそれに付着したガビの発生部です。

庇上部など水のたまりやすい場所です。

今回、メーカーの色落ち用サポートセットと除菌洗浄剤を使用してどんな具合になるかDIYで試してみました。

換気扇フード廻りの補修前の色落ちした写真です。

壁面凸部が色落ちし、凹部が汚れています。

凹部をブラシで洗浄し色落ち用サポートセットで補修しました。

サポートセットは粉と液体を専用スプレーボトルに入れて吹き付けます。

粉は白セメントで固まってしまうため消費期限2週間です。

凸部、凹部ともに着色されましたが、全体的にみると色の違いが判ります。

着色剤の色が薄いようです。

凹部の汚れも取り切れてなかったようです。

色味は既製品なのでこれ以上を望む場合は、メーカー相談となります。

写真は庇上部です。

凸部色落ち、凹部汚れとガビの付着が見られます。

凹部を除菌洗浄剤とブラシで洗浄の上に、補修材を吹き付けました。

凹部の汚れ、カビが落ち、凸部の色落ち部にも着色されました。

除菌洗浄剤は次亜塩酸ナトリュームがカビ取りの主材料です。

漂白剤でもありますが色落ちがないことの確認はしているそうです。

気になるところの補修を簡便に行うには良い材料だと感じました。

全体の壁改修には、シラスカラーというものがありシリカを主原料とした通気性のある塗材のようです。撥水効果もあるため雨濡れの色変も出ないようです。

リシンかき落としの改修材として使用した実績もあるようです。

経年に対応した材料があるのはとてもありがたいことです。