分かりやすさと、分かり切らなさ
図面や説明を受けると、
「分かりやすさ」を求めたくなります。
すぐに理解できるか。
迷わず判断できるか。
不安なく進めるために、
とても大切な視点です。
けれど、
設計の中では、
すべてが分かりやすい状態が、
必ずしも良いとは限りません。
一見すると、
少しだけ分かり切らない部分。
すぐには
答えが出ない部分。
その余白が、
残っていることがあります。
それを見たとき、
不安になることもある。
「まだ決まっていないのではないか」
「曖昧なのではないか」
そう感じることもあります。
けれど、
その分かり切らなさは、
未完成というより、
可能性が残っている状態でもあります。
すべてが最初から
明確に決まりすぎていると、
そこから先の広がりが
見えにくくなることもある。
少しだけ
余白があることで、
そこに
自分たちの感覚を
重ねていく余地が生まれます。
たとえば、
光の入り方。
時間によって
どう変わるのか。
図面だけでは
完全には読みきれない部分があります。
けれど、
その分かり切らなさがあるからこそ、
実際に暮らしたときの
発見や心地よさにつながることもある。
分かりやすさは、
安心を与えてくれます。
一方で、
分かり切らなさは、
想像する余地を残します。
どちらか一方ではなく、
そのバランスが大切です。
すべてを説明しきらない。
すべてを決めきらない。
少しだけ
余白を残しておく。
その状態を、
不完全と見るのではなく、
これから
育っていく余地と
捉えてみる。
すると、
設計の見え方が
少し変わってきます。
分かりやすさの中にある安心と、
分かり切らなさの中にある広がり。
その両方を受け取りながら、
自分たちの暮らしを
少しずつ重ねていく。
設計とは、
すべてを理解することではなく、
少し分からないままでも、
前に進んでいける状態を
つくることなのかもしれません。