「明るい家にしたいんです。」
「明るい家にしたいんです。」
家づくりのご相談で、とてもよく聞くご希望の一つです。
大きな窓があって、
昼間は照明をつけなくても明るい。
白い壁に光が広がって、
家の中が開放的に感じられる。
そんな家を思い浮かべている方もいらっしゃいます。
でも私は、
「では、できるだけたくさん光を入れましょう。」
とは、すぐにはお答えしないことが多いんです。
まず、
「どんな明るさが、お好きですか?」
とお聞きしてみます。
「明るい家がいい。」
そう言っていても、
思い浮かべている明るさは、
人によって少しずつ違います。
朝日が入るダイニング。
昼間のやわらかな光が広がるリビング。
窓辺だけが明るくて、
部屋の奥には少し影が残っている空間。
空が見えて、
外の明るさを感じられる場所。
どれも、
「明るい家」と言えるかもしれません。
だから私は、
明るさを考えるとき、
窓の大きさや数だけではなく、
その人が、どんな光を心地いいと感じているのか。
そこを知りたいと思っています。
以前、ご相談いただいた方も、
最初に、
「とにかく明るいリビングにしたいです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「今まで過ごした場所で、明るくて気持ちよかったところってありますか?」
とお聞きしてみました。
すると、
しばらく考えられてから、
旅行先で泊まった宿のお話をしてくださいました。
朝、
カーテンを開けると、
窓からやわらかい光が入っていた。
部屋全体が強く照らされているわけではない。
でも、
窓辺の椅子に座ると、
外の木々が明るく見えて、
とても気持ちよかったそうです。
「そういう感じが好きなのかもしれません。」
とおっしゃいました。
最初に聞いた、
「とにかく明るいリビング」とは、
少し印象が違いますよね。
その方が求めていたのは、
部屋のどこにいても均一に明るいことではなく、
光を感じられる場所があることだったのかもしれません。
家の中を明るくしようとすると、
窓を大きくしたり、
窓の数を増やしたりすることがあります。
もちろん、
それが心地よさにつながることもあります。
でも、
光がたくさん入れば、
必ず心地よくなるとは限りません。
時間帯によっては眩しく感じたり、
夏の日差しが入りすぎたり、
外からの視線が気になったりすることもあります。
反対に、
少し暗さのある場所があることで、
明るい場所がより気持ちよく感じられることもあります。
明るさと暗さは、
どちらか一方だけで考えるものでもないように思います。
例えば、
朝食を食べる場所には朝の光が入る。
昼間に過ごすリビングには、
直接ではなく、やわらかな光が届く。
夕方になると、
壁の一部に西日が少しだけ当たる。
そんなふうに、
一日の中で光が動いていく家もあります。
同じ「明るい家」でも、
家全体を明るくするのか、
光がきれいに感じられる場所をつくるのかでは、
ずいぶん違う家になります。
ですから、
「明るい家にしたいんです。」
と聞いたとき、
私はまず、
「どんなときに、明るいと感じたいですか?」
と聞いてみます。
朝起きたときなのか。
家族で食事をするときなのか。
休日にリビングで過ごすときなのか。
窓の外を眺めるときなのか。
そこが分かってくると、
必要なのは大きな窓なのか、
高い位置から入る光なのか、
庭や壁に反射したやわらかな光なのかも変わってきます。
家の明るさは、
数字や窓の大きさだけで決まるものではありません。
どんな光の中にいると、自分たちは心地いいのか。
私は、そんな感覚のお話まで伺いながら、そのご家族にとっての「明るい家」を一緒に考えていけたらと思っています。