「子どもが自分の部屋にこもらない家にしたいんです。」
「子どもが自分の部屋にこもらない家にしたいんです。」
家づくりのお話をしていると、
こんなご希望をいただくことがあります。
子ども部屋は、
あまり広くしない方がいい。
テレビやゲームは、
できればリビングで。
階段もリビングを通るようにして、
帰ってきたら顔を合わせられるようにしたい。
「大きくなっても、家族と一緒に過ごしてほしくて。」
そんな思いをお聞きすることがあります。
そんなとき私は、
「では、子ども部屋を小さくしましょう。」
とは、すぐにはお答えしません。
まず、
「お子さんが部屋にいることの、何が気になりますか?」
と、お聞きしてみます。
子どもが自分の部屋へ行く。
扉を閉める。
何をしているのか分からない。
声をかけても、
なかなか出てこない。
そんな姿を想像すると、
少し寂しく感じるのかもしれません。
でも、
もう少しお話を聞いてみると、
「部屋に行ってほしくない」ということではない場合があります。
一人で過ごす時間も、
もちろん必要だと思っている。
ただ、
家族との関係が、
そこで完全に途切れてしまうような感じが心配。
そういうことだったりします。
それなら、
考えたいことが少し変わってきます。
以前、ご相談いただいたご家族も、
「子ども部屋を居心地よくしすぎたくないんです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「どうしてですか?」
とお聞きしてみました。
「ずっと部屋にいたら、何をしているのか分からなくなりそうで。」
さらに、
「では、リビングにいてくれたら安心ですか?」
と伺うと、
少し考えてから、
「ずっとリビングにいてほしいわけでもないですね。」
と。
お話を続けていくと、
ご夫婦が大切にしたかったのは、
子どもがいつも親の近くにいることではありませんでした。
帰ってきたら、
「ただいま」と顔を合わせる。
夕食のときには、
なんとなく集まってくる。
自分の部屋へ行く途中で、
リビングにいる家族の気配を感じる。
ときどき、
何でもない話をする。
一人になっても、家族との関係が切れないこと。
そんな暮らしを望んでいたんです。
子どもは、
ずっと同じ年齢ではありません。
小さい頃は、
親のそばで遊んでいる。
少し大きくなれば、
一人で本を読んだり、
ゲームをしたりする。
中学生や高校生になれば、
友達と話したいことも、
一人で考えたいことも増えていくでしょう。
自分の部屋へ行くこと自体は、
自然なことなのかもしれません。
だから、
「部屋にこもらせないこと」を間取りの目的にしてしまうと、
成長した子どもにとっては、
少し窮屈になることもあります。
それよりも、
リビングに戻ってきたくなる理由を考えてみる。
好きな場所がある。
家族がいる。
飲み物を取りに来る。
庭が見える。
なんとなく落ち着く。
誰かと話したくなったら、
そこへ行けばいい。
無理に集めなくても、
自然と行ったり来たりできる。
そんな家の方が、
そのご家族には合っていることもあります。
「リビングにいさせる」のではなく、「戻ってきてもいい場所にしておく」。
少し似ていますが、
考え方はずいぶん違います。
もちろん、
リビング階段にすることも、
子ども部屋の広さを考えることも、
一つの方法です。
でも、
それだけで家族の関係が決まるわけではありません。
階段がどこにあっても、
自然と会話する家族もいます。
リビングを必ず通っても、
ほとんど話さないこともあるでしょう。
間取りでできるのは、
家族をつなぎ止めることではなく、
つながるきっかけを、暮らしの中にそっとつくっておくこと。
そのくらいなのかもしれません。
ですから、
「子どもが自分の部屋にこもらない家にしたいんです。」
と聞いたとき、
私は、
「お子さんと、どんなふうにつながっていたいですか?」
と、お聞きしてみたいと思っています。
いつも姿が見えていたいのか。
帰ってきたときに顔を合わせたいのか。
食事の時間は一緒にいたいのか。
別々の場所にいても、
なんとなく家族の気配を感じていたいのか。
そこが分かってくると、
子ども部屋をどうするかだけではない考え方が見えてきます。
子どもが一人で過ごす時間もある。
家族と過ごす時間もある。
そして、
その間を自由に行ったり来たりできる。
家族が同じ場所にいることだけが、つながっているということではない。
私は、お子さんをリビングに集める方法を考えるよりも、成長して距離が変わっていっても、自然と家族のところへ戻ってこられる家を一緒に考えていけたらと思っています。