分離発注は「責任の区分」が問題です。

ユーザー 空間スタジオ 遠藤泰人 の写真

分離発注の場合、気をつけなければいけないのは「責任の区分」です。

私は設計事務所ですが時々分離発注を行います。といっても一括で工務店に請け負わせてある工事の一部分だけです。主にオリジナルのキッチンですが、私の設計したものを施主から直接発注してもらいます。その場合には、給水排水の位置出しなどはキッチン屋さんの仕事になりますが、設計事務所が代行する事も多いです。給水、排水の位置に下地があたったりすると、問題になりますね。もっと前に指示しなかったキッチン側のミスになります。

まあそれは工事中の場合ですから、たいした問題ではありません。問題は工事が終わってからのトラブルです。例えば防水屋さんが親戚にいたとして、防水工事を分離発注したとします。竣工後雨が漏ったとした場合、誰が責任取るかということになりますね。これは難しい。

防水工事は実は下地の善し悪しが重要な工事です。そうすると大工工事が悪いのか防水工事が悪いのかという問題になります。それはそう簡単に判断できる事ではないので、かなり面倒な事になります。

分離発注でなければ雨漏りは単純に工務店の責任になります。工務店とはそういうものです。ゼネコンというのは大きな施工会社の事を言うのではなく「general contractor 」すなわち「総合して契約する(請け負う)会社」のことです。いろいろな職種が入る工事をまとめて一括で受注し、工事をとりまとめて建物を完成させ、建物の責任を取る事が業務です。

そこに、自分が発注したのではない(自分には全く利益のない)防水屋さんが入ってくるのですから、雨漏りの時の責任の所在が難しくなってくる訳です。そういう問題を避ける為には、業者指定というやり方があります。防水屋さんはここを使ってくれというだけで、防水屋さんは工務店と契約し、工務店の指示で動きます。勿論お金も工務店から支払われることになり問題はなくなります。