渡辺篤史の建もの探訪ー遊びから生まれた曲面の家(前田紀貞、 前田紀貞アトリエ)

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建もの探訪ファン
感想: 

桜が、満開! 
はる るるるるるる はる るるるるるる はーるーるーるーるー
という歌は、そのまんまの気持ちだなあと、一日中歌い続けている。
 
            ◇ ◇ ◇
 
今回の建ものは「遊びから生まれた曲面の家」。
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2015/12
心の底からワクワクするような、そんな興奮が体に残った。
 
            ◇ ◇ ◇
 
アートを買おう!
アートと暮らそう!
最近、そんな提案を盛り込んだ記事を、新聞や雑誌でしばしば目にする。
名画のポストカードやポスター、実用的で美しい工芸品とはちょっと違う、アート。
作品と暮らす豊かさや愉しさに思いを巡らせて、
私もそのうち、とっておきの作品との会いを求めてみようと思っている。
そんな「アートとの暮らし」の豊かさや愉しさをこの建ものの紹介でも感じた。
本当に、ワクワクが込み上げてくるようだった。

四角い箱の中は真っ白。
壁や一部の床もが曲面で構成されていて、まるで洞窟のよう。
1階から3階まで螺旋状に部屋が連なって、そのまま空に上るよう。
奇抜な様相なのだけれど、その姿は「突飛な姿にしてやろう!」
という表面的な奇抜さでは決してない。
空間の中で過ごすということ、暮らしを営むということの核を、
真ん中にしっかりと据えて作られた建てものなのだと感じた。
どうしてそう感じられるのかは、自分でもよく分からなかった。
うまく説明できないけれど、すごくいい建ものだなあと思った。
 
            ◇ ◇ ◇
 
番組のWebページや設計したアトリエのWebページを見てみた。
すると、ああ、私が感じたのは、こういうことだったのかと、
少し解き明かされたような心地がした。
「家」というものに対して真摯に向き合ってこられた建築家の言葉は
どれもとても興味深く、私はこの一週間、あめ玉をなめるみたいに
この建築家が考える「家」のことをコロコロと味わいながら考えている。
 
「子供にとって家とは何か」
その問いがこのプロジェクトの礎となっているという。
 
私の1歳の娘をみていると、彼女にとって我が家は当に冒険の森だ。
扉の向こうへ1歩踏み出すことへの喜びといったらない。
ドアの下の隙間から入る空気を感じ、窓から入る光を楽しみ、
ドアストッパーの金具を不思議がり、書棚も姿見もコート掛けもみんなおもちゃ。
何もかも、これ、なんだろう?
開けてみよう、登ってみよう、のぞいてみよう、触ってみよう、、。
体いっぱいで家を感じて楽しんでいる。
 
私たちも、もっともっと貪欲に、
その空間を楽しんだり、五感を研ぎすませて時間を過ごしたらいいのだ。
そういう視点をもって、部屋づくり、家づくり、日々の家仕事をしたい。
 
自分たちのあるべき生活を取り戻すことができるのでは、と確信しました。
と、Webページには家の主の言葉が綴られていた。
建築家によるこんな提案に身を委ねてみることが、
どれくらい伸びやかで心地よいことか、想像するだけでワクワクする。