ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

打ち合わせの中で、
ふとした言葉が出てくることがあります。

 

特別に用意されたものではなく、

 

会話の流れの中で、
自然にこぼれた言葉。

 

「ここにいる時間が、
 いちばん好きなんです」

 

「こういう光が、
 落ち着く気がして」

 

その一言は、
とてもさりげない。

 

けれど、
そこにその人の感覚が
凝縮されていることがあります。

 

設計は、
そうした言葉を
受け取るところから始まります。

 

すぐに形にするわけではありません。

 

一度、
そのまま受け止める。

 

どんな時間なのか。

 

どんな空気なのか。

 

その背景にあるものを、
静かに想像してみる。

 

そして、
少しずつ形にしていく。

 

光の入り方。

 

座る位置。

 

視線の向き。

 

直接的に言葉が
書かれているわけではないのに、

 

空間の中に、
その気配が残っていく。

 

完成したとき、
その場所に立つと、

 

なぜか落ち着く。

 

理由ははっきりしないけれど、
しっくりくる。

 

その感覚の奥に、

 

かつて交わした言葉が
静かに生きていることがあります。

 

設計は、
言葉をそのまま再現することではなく、

 

言葉に含まれていた感覚を、
空間として表すこと。

 

だから、
同じ言葉でも、
同じ形にはなりません。

 

その人の時間や背景によって、
現れ方が変わる。

 

言葉が、
そのまま残るわけではない。

 

けれど、
確かに残っている。

 

形を変えて、
空間の中に息づいている。

 

住む人の言葉が、
空間に残る瞬間は、

 

図面が完成したときではなく、

 

その空間に立ったとき、
ふと感じる静かな納得の中に
あるのかもしれません。

 

あのとき話したことが、
ここにある。

 

そう気づいたとき、

 

設計は、
単なる形づくりではなく、

 

自分たちの感覚を
受け止める場になっているのだと
感じます。

 

言葉は消えても、
その意味は残る。

 

その積み重ねが、
空間に深さを与えていくのだと
思います。

ユーザー やまぐち建築設計室 山口 哲央 の写真

平屋を美しく、

そして豊かに暮らすための結論として。

数年前から「平屋建て」の家につての

問い合わせや、

ご相談もいただくことが増え

暮らし方についての「面談予約」も

「平屋について教えていただきたいのですが」

というメールをいただく比率が

高くなっています。

そういうこともあり、

今回は「平屋建て住宅」について

少し書いてみたいと思います。

平屋とは「移動が楽な住まい」ではなく、

暮らしの質・時間の質・家族の関係性を

水平移動で整えるための

設計の工夫がある家。

そして、その価値は

“つくり方”で大きく変わります。

同じ平屋でも、

心地よく満たされる住まいにもなれば、

どこか物足りなさを

感じる空間にもなる。

その違いは、

暮らしへの解像度にあります。

多くの方が「おしゃれな平屋」を探されるとき、

写真や外観のデザインに目が向きます。

しかしそれだけでは

・思ったより落ち着かない

・広いのに、なぜか窮屈に感じる

・家族が自然に集まらない

という結果に繋がりやすくなります。

なぜなら、

“見た目の良さ”と“暮らしの心地よさ”は、

同じ設計軸でつくられていないことが

多いからです。

やまぐち建築設計室では、

「どう見えるか」ではなく、

「どう感じるか?」

「どう過ごせるか?」から逆算して

設計することを大切にしています。

これは平屋に限らず、

住まい造りの中で

二階建てでも三階建てでも、

テラスハウスなどでも行っている

設計の考え方・・・・・。

平屋の家を

最適解で過ごしやすくするために

欠かせない視点

ここからは、

読者の方が実際に役立てられるように、

設計時に意識しておきたい

“具体的な視点”についても

書いておこうと思います。

光は「量」ではなく「質」で考える

明るい家にしたい、

というご要望は非常に多いですが、

重要なのは「光の量」ではなく、

光の質と入り方です。

例えば、

・朝のやわらかい光が入る場所

・昼の光をコントロールする庇の出

・夕方に陰影が美しく出る壁面

こうした時間帯毎の光を設計することで、

一日を通して心地よさが変わります。

考え方として

南側だけに大きな窓を設けるのではなく

東・西・上方向からの光も検討

高窓(ハイサイドライト)で

プライバシーと採光を両立

軒の出は

「夏の日射遮蔽+冬の日射取得」を考慮

光は「照らすもの」ではなく、

空間の表情をつくる

素材の一つだと考えています。

動線は「短さ」より「流れ」で考える。

家事動線というと、

「最短距離」を意識しがちですが、

実際の暮らしでは

流れの良さが重要です。

例えば洗濯動線であれば、

「洗う → 干す → 取り込む → しまう」

この一連の流れが、

無理なく“円を描くように”

つながっているか?

構成例

価値観や家事の質は

それぞれ異なりますので考え方の参考迄。

洗面室とファミリークローゼットを

隣接させる

室内干しスペースを生活動線上に配置

キッチンと水回りを回遊動線にする

こうすることで、

家事は「作業」ではなく、

自然な生活の一部になります。

平屋こそ「外との関係性」で差が出る

平屋は水平軸で横に広がるため、

外とのつながり方が

そのまま暮らしの質に直結します。

特に重要なのが「内的外部」

という考え方です。

・屋根に守られた半屋外空間

・リビングと連続するウッドデッキ

・視線が抜ける庭の配置

これらを設計することで、

家は単なる室内空間ではなく、

暮らしの全体を包括する

環境そのものになります。

読者の方への具体的アドバイス

ウッドデッキは

“使う前提”で設計する(サイズ・動線・日射)

外構は建物と同時に計画する

(後回しにしない)

視線の抜けを意識して、

隣地との関係を設計する

家族の距離感は

間取りが生み出すの意識で決まる。

平屋は家族の距離が

近くなると言われますが、

それは自動的に生まれるものでは

ありません。

考え方や感じ方でつくるものです。

例えば、

・必ずリビングを通る動線

・キッチンから全体が見渡せる配置

・それぞれの“こもれる場所”も確保

このバランスが崩れると、

近すぎてストレスになる

または、

意外とバラバラになる

ということが起こります。

つまり大切なのは、

「つながり」と「距離」の両立です。

中庭は“贅沢”ではなく“過ごし方の風景”。

〇関連blog
中庭のある家で暮らしは変わる|静けさと余韻を設計する和モダン住宅の思想と暮らしの提案|暮らしを紐解く建築家の視点

https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail811.html

特に住宅が密集するエリアでは、

中庭は非常に有効な設計手法です。

・外からの視線を遮る

・光と風を内部に取り込む

・家族だけの外部空間をつくる

これは単なるデザインではなく、

暮らしの質を守るための

戦略となります。

検討時のポイント

コの字型か

ロの字型かで空間の性格が変わる

中庭のサイズは「使い方」から

逆算する

植栽を含めて設計することで

暮らし方の余白が増え

空間に抜けの濃淡が生まれる

平屋で考えておきたい注意点

理想だけでなく、

現実的な視点も重要です。

土地選びで8割決まるということ。

平屋は二階建て以上に

土地との相性が非常に重要です。

・日当たり

・周辺の建物高さ

・敷地の形状

・道路との関係

これらを無視して

利便性や価格だけで

土地を決めてしまうと、

暮しの改善が見込めないケースも。

そういうことも踏まえて

平屋の家を計画するために

土地購入前に

「着地点を計画する事の出来る」

設計者に相談する。

これは非常に重要です。

コストの考え方を間違えないこと。

平屋は、

・基礎面積が広い

・屋根面積が広い

そのため、

同じ床面積なら2階建てより

コストが上がる傾向があります。

ただし、

・将来のメンテナンス性

・暮らしやすさによる満足度

まで含めると、

単純な建築費だけで

比較するべきではありません。

防犯は“設計”で解決できる。

・高窓

・視線を遮る外構

・人の気配を感じる配置

これらを組み合わせることで、

防犯性と開放感は

両立できます。

人生の質を設計すること。

最後に、もう一歩

踏み込んでお伝えします。

家造りとは、

・どんな時間を過ごしたいのか

・どんな関係性で家族と暮らしたいのか

・どんな心の状態で日々を送りたいのか

こうした“人生の前提”を

見つめ直す機会でもあります。

やまぐち建築設計室としての考え方

間取りの前に、デザインの前に、

「暮らしの価値観」を

整えることから始めます。

なぜなら、

住まいは「完成するもの」ではなく、

住みながら人生を

整えていく場所だからです。

自分たちにとって

意味のある住まいを考えたいと

感じられたなら、

まずは「暮らす意味」を考えてみてください。

住まいは、

ただ「住む場所」ではありません。

一日の終わりに帰る場所であり、

人生の時間を積み重ねる場所です。

その入り口となる外観が、

あなたの人生の呼吸を整える

存在であるかどうか。

そこにこそ、

設計の価値があると考えています。

そして、

その視点を持つことで、

暮らしの見え方は、

きっと変わってきます。

〇関連blog
平屋の家の魅力、メリット・デメリットを考えつつも、土地選びの基準や建築コストを抑える考え方も、暮らしの理想を意識しながら暮らし方の現実も再構築する平屋建て住宅、住まいの設計提案。

https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail431.html

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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
ご連絡ください
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自治会館が得意な建築家一覧

自治会館の得意な建築家一覧

 
自治会館というタグのついた設計事例を掲載している建築家の一覧です。
この他にも多くの建築家が自治会館を手がけています。
 

 

I-5308、老朽化に伴い建て替え検討しています(千葉県)

ユーザー bambi の写真
投稿者: 
現住所‐都道府県: 
千葉県
現住所‐郡市区町村: 
 
依頼内容: 

48条許可について。千葉県でトリミングサロンを約20年経営していますが、老朽化に伴い建て替え検討しています(店舗併用住宅として)。ところが、第一種中高層住居専用地域に位置していることがわかり、調べる限りだとペットサロンの建築や営業は出来ない地域であるようです。ペットサロンの営業に関する許可は降りているのですが、建て替えに伴う確認申請などは降りないのでしょうか。

建築家の所在地について:
建築家の所在地にはこだわらない





I-5307、カーポートを設置するための建築確認申請(兵庫県)

ユーザー よ の写真
投稿者: 
現住所‐都道府県: 
兵庫県
現住所‐郡市区町村: 
 
依頼内容: 

自宅にカーポートを設置するための建築確認申請をお願いしたいです。
カーポートの設置を依頼した外交業者では建築確認申請は代行してもらえず、自分で業者を探すように言われました。
建設予定地は神戸市です。

建築家の所在地について:
同じ都道府県・近県の建築家を希望する





I-5306、庭にガレージを作りたい(和歌山県)

ユーザー weat の写真
投稿者: 
現住所‐都道府県: 
和歌山県
現住所‐郡市区町村: 
 
依頼内容: 

最近、ハウスメーカーにて和歌山県和歌山市の一軒家を建てました。
少し大きめの土地を購入したので、道路に隣接する庭にガレージを作りたいと思っています。
イナバガレージのGRN-3662JL-2を検討しているのですが、サイズ的に建築確認申請を出す必要があると聞きました。
外構業者さんの見積もりを数件お願いしたのですが、どの業者様も建築確認はやっていないので、必要なら自分でお願いしますとの回答でした。

こちらではそう言った建築確認申請の代行や図面、書類の作成等を請負っていただけるのでしょうか?
よろしくお願いいたします。

建築家の所在地について:
建築家の所在地にはこだわらない





I-5305、ガレージの建築確認申請(北海道)

ユーザー くま5305 の写真
投稿者: 
現住所‐都道府県: 
北海道
現住所‐郡市区町村: 
 
依頼内容: 

ガレージの建築確認申請の書類を代行してほしい。

建築家の所在地について:
建築家の所在地にはこだわらない





ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

図面が整ってくると、
そこにひとつの完成形を見ます。

 

間取りが決まり、
寸法が入り、
形として成立している。

 

けれど、
その図面は、

 

いきなり生まれたものではありません。

 

そこに至るまでに、
多くのやり取りがあります。

 

最初の打ち合わせ。

 

何気ない会話。

 

迷いながら出てきた言葉。

 

途中で変わった要望。

 

言い直したこと。
立ち止まった時間。

 

そのひとつひとつが、
少しずつ積み重なっている。

 

図面は、
その積み重ねの上に
描かれています。

 

たとえば、
何気なく出てきた一言。

 

「朝、静かな時間がほしい」

 

その言葉が、
空間の配置に影響していることがある。

 

また、
途中で感じた違和感。

 

「ここは少し落ち着かない気がする」

 

その感覚が、
プランを変えるきっかけになっている。

 

ひとつの線の裏には、

 

理由があります。

 

その理由は、
単なる機能や条件だけではなく、

 

対話の中で見つかったもの。

 

だから、
図面を見たとき、

 

そこに書かれていないものも
含まれています。

 

どんな時間を
大切にしたいのか。

 

どんな距離感で
暮らしたいのか。

 

どこに安心を感じるのか。

 

それらが、
言葉から形へと
変わっている。

 

設計は、
ただ形をつくる作業ではなく、

 

対話を重ねていくプロセスです。

 

そして、
そのプロセスの記録が、
図面として残る。

 

だから、
同じ条件でも、

 

同じ図面にはなりません。

 

対話が違えば、
形も変わる。

 

そこに、
設計の個別性があります。

 

図面を、
単なる完成形として見るのではなく、

 

そこに至るまでの時間を
含んだものとして見る。

 

そうすると、
見え方が少し変わってきます。

 

設計は、
対話の積み重ねであり、

 

その痕跡が、
静かに残されたもの。

 

その視点を持つことで、

 

空間は、
ただの形ではなく、

 

自分たちの考えや時間が
映し込まれたものとして、

 

より深く感じられるようになるのだと
思います。

ユーザー やまぐち建築設計室 山口 哲央 の写真

ハザードマップの役割と使い方
土地選びは、
間取りの前に「暮らしの安全」を
整えることから始まる

家づくりを考え始めたとき、
多くの方はまず、
建物そのものに意識を向けます。

どんな外観にするのか。
どれくらいの広さが必要なのか。
どのような間取りなら、
家事がしやすく、
家族が心地よく過ごせるのか。

そうしたことを考える時間は、
家づくりの中でも特に楽しく、
希望に満ちた時間だと思います。

けれど本来、
住まいは建物単体で
成立するものではありません。

どれほど美しい建築であっても、
どれほど暮らしやすく
整えた間取りであっても、
その土台となる土地の条件が整っていなければ、
安心して長く住み続けることは難しくなります。

つまり、
家づくりとは「建物を考えること」である以前に、
どのような環境の中で、
どのように暮らし続けるかを
考えることでもあります。
そしてその最初の入り口になるのが、
「土地を見る目」を養うことです。
移住も含めて
土地探しからの家造り。

そのときに、
非常に大切な手がかりとなるのが、
自治体などが公開しているハザードマップです。
ハザードマップは
「不安を煽る地図」ではなく、
暮らしを守るための地図

ハザードマップという言葉は、
昨今では広く知られるようになりました。
けれど実際には、
「名前は知っているけれど、きちんと見たことはない」
「見たことはあるけれど、色分けの意味がよく分からない」
という方も少なくありません。

ハザードマップとは、
その土地で想定される
自然災害のリスクを地図上に示したものです。
代表的なものとしては、

洪水ハザードマップ

内水ハザードマップ

土砂災害ハザードマップ

津波ハザードマップ

ため池ハザードマップ

高潮ハザードマップ

などがあり、
地域ごとの地形や自然条件に応じて
公開されています。

たとえば、
川が近い地域では洪水や内水氾濫の可能性を
確認することが重要になりますし、
山裾や傾斜地では
土砂災害のリスクが重要になります。
沿岸部では津波や高潮への理解が欠かせません。
つまり、土地にはそれぞれ、
その土地特有の自然条件があり、
起こりうる災害の種類も異なります。

ここで大切なのは、
ハザードマップを
「危険な場所を避けるためだけのもの」と
捉えないことです。

本質的には、
その土地にどのような特性があり、
どのような備えが
必要になるのかを知るための地図です。

不安になるために見るのではなく、
冷静に知り、正しく備えるために見る。
その視点を持つだけで、
土地選びの意味は大きく変わってきます。
なぜ今、土地選びに
災害リスクの視点が欠かせないのか

近年、自然災害に関する報道を
目にする機会は確実に増えました。
これまで大丈夫だと思われていた地域でも
大雨による浸水が発生したり、
土砂災害警戒区域でなくとも
周辺環境の変化によって
影響を受けたりすることがあります。

そうした背景もあり、
2020年からは、
不動産取引において水害リスクに関する説明が
実質的に重視されるようになり、
土地や住宅を取得する際には、
購入者・借主が災害リスクを
把握することが
以前にも増して重要になっています。

それは単に法律や制度の話だけではありません。
これから先の暮らしを支える
住まいを考える上で、
災害リスクへの理解が
「特別な人だけが調べること」ではなく、
家づくりを考えるすべての人に
必要な基礎知識に
なっているということです。

家は、一時的に使うものではありません。
何十年という時間の中で、
家族の成長や仕事の変化、
親の老後、子どもの独立といった
さまざまなライフステージを
受け止めていく場所です。

だからこそ、
土地を見るときには「今便利かどうか」だけではなく、
10年後、20年後、30年後も
安心して暮らし続けられるか?
という視点が欠かせません。
土地選びで本当に見るべきなのは、
価格や立地だけではない

土地探しをしていると、
どうしても駅からの距離、価格、
広さ、日当たり、周辺施設の充実度といった
「分かりやすい条件」に目が向きます。
もちろんそれらは大切です。
暮らしやすさや
日常の利便性に直結する要素だからです。

けれど、建築家の視点から見ると、
土地の良し悪しは
それだけでは決まりません。

本当に大切なのは、
その土地がどのような環境の中にあり、
どのようなリスクと
可能性を持っているかを、
複合的に読み解くことです。

たとえば、

前面道路より敷地が低くなっていないか

周辺の雨水が集まりやすい地形になっていないか

近くに水路や小河川がないか

造成地として切土・盛土の履歴はどうか

周辺に急傾斜地や擁壁がないか

近隣の古くからの地名に、水や地形の特徴が表れていないか

過去に浸水や被害の履歴がないか

こうした情報は、
広告には大きく書かれません。
しかし、長く住むという視点で見たときには、
非常に重要な判断材料になります。

土地選びとは、
表面的な条件を比較することではなく、
そこで積み重なる暮らしの安全性と
持続性を見極めることです。
複数のリスクを重ねて見ることで、
土地の本質が見えてくる

自治体が公開するハザードマップは、
それぞれの災害ごとに分かれていることが多く、
初めて見る方にとっては
少し分かりにくく感じるかもしれません。

洪水は洪水、
土砂災害は土砂災害、
内水は内水と、
地図が別々になっていると、
ひとつずつ確認するだけでも
かなり手間がかかります。

そこで役立つのが、
「重ねるハザードマップ」という考え方です。
複数の災害リスクを
重ね合わせて見ることで、
その土地の傾向がより立体的に見えてきます。

これは、設計の考え方にもよく似ています。
心地よい住まいは、
ただ日当たりが良いだけで
実現するものではありません。
風通し、視線の抜け、
音の伝わり方、光の入り方、
素材の表情、家具との相性、
家事動線、収納計画。

そうした複数の要素が丁寧に重なり合うことで、
ようやく「過ごしやすさ」が形になります。

土地も同じです。
ひとつの条件だけでは、
本当の姿は見えてきません。

たとえば、洪水リスクは低くても、
周辺道路が冠水しやすければ
災害時の避難や車の出入りに
支障が出るかもしれません。

土砂災害の指定がなくても、
敷地裏の法面や擁壁の状態に不安があれば、
慎重に見極める必要があります。

反対に、一定のリスク表示があっても、
建物の配置計画や基礎高さ、
排水計画、外構計画によって、
影響を軽減できる場合もあります。

つまり大切なのは、
リスクの有無だけで判断することではなく、
その土地とどう向き合うかを考えることです。
ハザードマップだけでは
分からないこともある

ここで注意しておきたいのは、
ハザードマップは非常に有効な資料である一方で、
それだけですべてが
判断できるわけではない、
ということです。

ハザードマップは、
一定の想定条件にもとづいて作成されたものです。
そのため、
実際の地形の細かな起伏、
周辺の開発状況、排水経路、
建物の建ち方、道路勾配など、
現地でしか分からない情報までは
十分に読み取れないことがあります。

たとえば、同じ浸水想定区域の中にあっても、

敷地のわずかな高さの違い

隣地との高低差

道路側溝や排水設備の整備状況

周辺の建物配置

風の抜けや水の流れ

によって、
実際の体感や影響は変わることがあります。

また、地図に色がついていないから
絶対に安心、
というわけでもありません。
想定外の降雨や局地的な事情によって、
被害が発生する可能性はゼロではありません。

だからこそ、土地選びでは
「ハザードマップを確認したから終わり」ではなく、
「ハザードマップを起点に、
現地を読み、
暮らしの視点で総合的に判断する」ことが
必要になります。
建築士が土地探しに関わることで、
見えるものが変わる

ここに、建築士が土地選びの段階から
関わる大きな意味があります。

多くの方は、
土地を決めてから
建築士に相談しようと考えます。
けれど実際には、
土地が決まる前の段階で
相談できることはとても多くあります。

建築士は、土地を「広さ」や「価格」だけで
見ているわけではありません。
その敷地に対して、

どのような建物配置が可能か

日当たりや通風はどうか

隣家との距離感はどうか

プライバシーは守りやすいか

将来のメンテナンス性はどうか

災害リスクにどう備えるべきか

その土地で、本当に心地よい暮らしが成り立つか

といったことを、
同時に見ています。

つまり、「建てられる土地かどうか」ではなく、
そのご家族らしい暮らしが、
無理なく長く続けられる土地かどうか?
ということを見極めるのです。

これは、とても大きな違いです。

一見すると条件が良さそうな土地でも、
実際に設計の視点で見ると、
隣家からの視線が強く、
窓の取り方に工夫が必要であったり、
道路と敷地の高低差によって
外構費が大きくかかったり、
排水計画に注意が必要であったりすることがあります。

逆に、少し癖があると思われた土地でも、
建物の配置や中庭の取り方、
視線のコントロール、
床の高さ設定によって、
非常に魅力的で落ち着いた住環境に
変えられることもあります。

土地の価値とは、
表面に見えている条件だけでは決まりません。
設計によって引き出せる可能性まで含めて
考えることで、
その土地の本当の魅力が見えてきます。
安全に暮らすということは、
災害を避けることだけではない

「安全に暮らす」と聞くと、
多くの方は災害リスクの少ない場所を
選ぶことを思い浮かべるかもしれません。
もちろんそれはとても大切です。

けれど、
暮らしの安全はそれだけではありません。

本当の意味で安心して暮らせる住環境とは、
災害の不安が少ないだけでなく、

毎日の移動に無理がないこと

子どもが安全に通学できること

夜道や周辺環境に過度な不安がないこと

高齢になっても暮らし続けやすいこと

気候や季節の変化に対して過ごしやすいこと

孤立しにくく、必要な支援にアクセスしやすいこと

といった、
日常の積み重ねの中で感じる
安心感も含まれています。

つまり、土地選びとは、
災害の地図を見ることだけではなく、
暮らしの基盤となる環境を整えることでもあります。

朝の光が穏やかに入ること。
強い雨の日にも過度に不安を感じずに過ごせること。
子どもが庭や外部空間でのびのび過ごせること。
将来、歳を重ねても無理なく生活できること。

こうしたことのすべてが、
土地の選定と深く関わっています。
「安いから」「便利だから」だけでは
見えてこないものがある

土地探しでは、
予算とのバランスも非常に大切です。
ですから、価格を重視すること自体は、
決して間違いではありません。

ただ、最初に見えている価格だけで判断すると、
あとから見えないコストが
生まれることがあります。

たとえば、

災害対策のために基礎や造成に費用がかかる

擁壁や排水計画に追加費用が必要になる

外構や高低差処理に予算がかかる

日当たりやプライバシーの問題を解決するために設計の工夫が増える

将来的なメンテナンス負担が増える

こうしたことは、
土地価格だけを見ていても分かりません。

だからこそ、
土地は「安く買えたか」で考えるより、
住まい全体として、
無理のない計画になるかどうかで
考えることが大切です。

土地と建物は別々ではなく、
ひとつの住まいとして考える。
その視点があるだけで、
土地探しの精度は大きく変わります。
家づくりは未来の不安を減らし、
日常の安心を増やす営み

私は、家づくりとは
「未来の時間を整えること」だと考えています。

家は、完成した瞬間に
価値が決まるものではありません。
そこで過ごす10年後、20年後、
30年後の時間の中で、
その価値は少しずつ育っていきます。

だからこそ、土地選びもまた、
目先の条件だけではなく、
その先の時間を見据えて
考える必要があります。

大雨の日に、家族が不安なく過ごせること。
台風のときも、落ち着いて備えられること。
日常の中で、小さなストレスを積み重ねずに済むこと。
歳月を重ねても、「この場所にしてよかった」と思えること。

住まいとは、
そうした安心の積み重ねにも
大切な価値を持ちます。

そしてその安心は、
間取りや内装だけでは生まれません。
土地の選び方、環境の見方、
リスクへの向き合い方、
そのすべてが重なって、
はじめて形になります。
間取りの前に、
守りたい暮らしを考える

情報が多い時代になり、
土地探しも以前よりずっと便利になりました。
検索すれば、
多くの候補地がすぐに見つかります。

ハザードマップも、
WEB上で簡単に
確認できるようになりました。

けれど、情報が増えたからこそ、
「何を基準に選べばいいのか分からない」と
感じる方も増えているように思います。

SNSがその代表格ですよね。
状況や情報の質が判断できないけど
いろいろな「キレイ」や「素敵」「憧れ」が
乱立している状態。

そんなときこそ、
大切にしたいのは、
どんな家を建てたいかの前に、
どんな暮らしを守りたいかを考えることです。

静かに眠れること。
家族が穏やかに食卓を囲めること。
雨の日にも心がざわつかないこと。
子どもが安心して育っていけること。
将来もこの場所で、
無理なく、心地よく暮らし続けられること。

その思考が明確になると、
土地を見る目も変わってきます。

ハザードマップを見ることは、
単なる確認作業ではありません。
未来の暮らしに対する
責任を持つことでもあります。

そして同時に、
家族の時間を守るための、
大切な準備でもあります。

土地選びは、
家づくりの前段階ではありません。
それ自体が、
すでに家づくりの本質の一部となります。

どこに建てるのか。
どんな環境の中で生きていくのか。
どのようなリスクと向き合い、
どのような安心を育てていくのか。

そうした問いに向き合うことで、
住まいは単なる建物ではなく、
人生の時間を包み込む場所へと
変わっていきます。

ハザードマップは、
不安を生むための資料ではありません。
暮らしの背景を理解し、
土地の声を読み取り、
未来への備えを考えるための
大切な手がかりです。

間取りを描く前に、
外観を思い描く前に、
まずはその土地で、
どのような日常が育っていくのかを
想像してみてください。

その視点を持つことで、
土地選びは「条件探し」から
「暮らしを整える選択」へと変わっていきます。

そしてそこに建築士・建築家が関わることで、
見える景色はさらに深く、
確かなものになります。

安心して暮らすこと。
災害を避けることだけではなく、
日常の中に信頼を積み重ねていくこと。

住まいを考えるということは、
人生を支える環境を選び取るということ。

その最初の一歩として、
ハザードマップを丁寧に見ることは、
とても大切で、
本質的な行為なのだと思います。

今回の投稿が
家づくりを考えている方にとって、
少しでもヒントになれば嬉しく思います。

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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
気軽にご連絡ください
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挾間の家

●設計事例の所在地: 
大分県由布市挾間
●面積(坪): 
100㎡
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

広い敷地を生かして、平屋建てとした。
建蔽率も60%ながら、車が二台屋根付きのガレージと野天で更に二台は駐車可能。
自転車置場もポーチ横へ軒下に確保できた。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

子供たちが伸び伸びと暮らせる家にしたい。
そして奥様も家事をしながら団らんに参加できるような間取りに。
尚、ご主人の拘りはとにかく広いお風呂と、トイレ空間の広さ。
主寝室は寝るだけなので、少し狭くても構わない。
その分ウォークインクローゼットを広く取って欲しいと言う条件でした。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

ハウスメーカーをや住宅展示場も回ったが、どうもしっくりこなかった。
そんな時父が私の先輩(私)に相談してみたら?と紹介されました。
好きなだけ条件をだして良いですよ!と伝えることから始まり、かなりのキャッチボール(半年以上)をした上でもプランが出来上がりました。
コスト管理もしながら何とかご希望通りの住宅が誕生したことにほっとしました。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

当初は子供たちが中庭の周りをグルグル回れる、回廊式の提案からスタート。
それだと、車の並列駐車が出来なくなる為そのプランは断念。
その分広いリビングと隣接する子供部屋を一つの空間に出来ることである程度解消出来たかと。

依頼者の声: 

やっと希望通りに家造りが出来たことに感謝しています。
一番の条件の平屋と伸び伸び子育て出来る家の実現が私たちの夢でしたから。

その他の画像: 

室内
玄関からドアを開けると広がるリビング。
このリビングから全ての個室へ行けるようにして、廊下を無くした。

スタディーコーナー
子供が小さいうちにはリビングの一角で勉強も出来るようにと、教員の奥様的教育論。

キッチン
そこからは家族の動きが見渡せ、奥様も家事をしながらも団らんの仲間入り出来る設えへ。

子供部屋
当面は1ルームとしてて、時と共にプライベート空間へと変化出来るようにした。
勉強机にもパソコンも出来る備え付けのカウンターも。
その上部にはベッドにも変化するロフトを設置。

洗面・脱衣室
洗面もお化粧もお洗濯も出来る広い部屋となっている。

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