庇と軒下空間を直射日光や雨から守るせがい造り・清水建築工房 清水國雄さん

せがい造り・外観

せがい造りは、2階をせり出すことで床面積を減らさずに、庇と軒下空間を直射日光や雨から守る効果もたらす、また建物のファサードに彫りの深い陰影をつくりだすなど、機能的にもデザイン的にも優れた構法です。
 
せがい造りについて清水建築工房 清水國雄さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 清水建築工房 清水國雄 の写真
掛川市逆川473ー1
0537-27-0576

 

貴社がせがい造りの家をてがけるようになったきっかけを教えてください

 
妻籠宿(中山道:長野県)を訪れた際、街道筋の家々の軒や2階が桁で持ち出され支えられた光景が印象的だったことがことの始まりです。
これまで、はね出し梁で持ち出され、出桁で支えられた深い軒のある家の姿は、よく見かけるところでしたが、2階の持ち出しのある建物の姿は新鮮な光景でした。
 
2階が絶妙のバランスで持ち出され、その持ち出された2階がファサードに影を落としたは深く心に刻まれ、いつかこんな木組みの家を設計したいと思ったことがきっかけです。
 

せがい造りとはなんですか?

 
木造の木組みの構法の発展形だと理解しています。
寺院などの、大きくて重くて深い屋根を支える木組みを構成する材に桔木があります。
それと同じように持ち出された2階や軒を、「はね出し梁」や「出し桁」と呼ぶ材で支えた木組みを「せがい」と呼んでいるんだと思います。
  
建築大事典(彰国社)によれば、

”せがい”とは和枻(せがい)と書き、”せがい造り”は近世の民家に於いて側柱上部から腕木をつきだし小板を張った棚をもつもの、和船の両舷にある船棚に似ているので、この称がついたと思いわれる

とあります。
 

せがい造り

せがい造りのメリット・デメリットを教えて下さい

せがい造りに造詣の深い建築家の松井郁夫氏によれば

せがい造りは、2階をせり出すことで床面積を減らさずに、庇と軒下空間を直射日光や雨から守る効果もたらす、また建物のファサードに彫りの深い陰影をつくりだすなど、機能的にもデザイン的にも優れた構法といえる。

と述べています。
その言葉はそのまませがい造りのメリットと言えると思います。

ただこのメリットを得るためには、設計段階では間取り(平面プラン)と木組みの整合性が検討された合理的な架構が要求され、施工段階では、木材の選定や大工仕事に入念さが要求されるので、コストアップは避けられず、この点がデメリットと言えるかも知れません。

「せがいの家」で工夫した点を教えて下さい

 
せがい造りは在来工法のように、梁や桁の上端をそろえる組み方と違い、渡り腮で木を組んでいくため、階高が梁や桁の成(せい)だけ高くなります。
階高を下げれば梁や桁の下端は下がり、頭をかすめ邪魔になり、階高を上げれば建物のプロポーションが釣り合わなくなります。
また、構造的にも水平剛性が低下するなどの課題が生じます。
 
「せがいの家」では梁や桁を3段に組んでいます・
プロポーションが釣り合うように、階高を抑えると必然的に3段組の下梁が低くなるので、下梁が生活上邪魔なならない間取りの工夫や、構造上、水平剛性を確保するための台輪の採用、特に吹き抜け部分の跳ねだし梁は、天秤状態となり、力のバランスを保つ検討が必要となりました。
 

木組み

「せがいの家」では土間を設けたそうですが土間のメリットを教えて下さい

 
クライアントの声に耳を傾けてみます。
「進められた三和土の土間や土壁は、断熱効果もよく梅雨時でも室内の空気はカラットしていて、真夏に外出先から帰宅しても、ムッとする熱気もなく、汗ばんだ肌でも不快感はありません」
 
弊社では、土間(三和土)は土壁と薪ストーブのセットで提案しています。
産廃(ゴミ)を出さないことと、パッシブな温熱環境を用意することが家づくりでは大切だという理由からです。
 
土間は住まいの南側に配置し、日射として差し込む太陽熱の蓄熱装置として期待します。
 
一方、土間は三和土で造ります、三和土は山砂利、石灰、ニガリ(塩)を練り合わせ締め固めて造ります。
この作業には家人も参加して汗をかいてもらいます。
記憶に残る家づくりにしたいからです。
 
以上のことがメリットと言えばメリットになるかもしれません。
ちなみに、土間は最後に塩を撒いて清めて完成です。
 
一方、パッシブな温熱環境に特段魅力を持てない人や、自ら予算を計上しながら、職人にまじって作業に参加することに何ら意義を見出せない人には、デメリットの以外の何物ものでもないでしょう。
 

土間

せがい造りの家を建てたい方にアドバイスがあればお願いします

 
「せがい造り」は伝統的な木組みの特殊解だと思っています。
木組みを考える際の重要な点は構造計画です。
設計は間取りと木組みに整合性を持たせ、合理的に整理していく過程であると思っています。
ですから、間取り先行の在来木造工法では「せがい造り」は困難です。

「せがい造り」では、伝統的な構法を採用していただくことになります。
伝統的構法は在来工法に比べて工期も長く、コストアップとなります。
この点を踏まえて、是非伝統的な構法を採用していただくことをお薦めします。

清水建築工房 清水國雄さんのせがい造り・設計事例

  

画像 建物の名称 紹介文
せがいの家

・地元の木を使った木の家づくりの要望には、木の調達に設計者がコーデイネーター(伐採、出材、造材、製材、発注)として住まいづくりに関わってきた経験からスムーズに応えられた。

 

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