ロフト・インタビュー・H2O設計室 森 大樹さん


 
切妻や片流れ屋根などの場合、屋根の下には意外に大きな空間があります。
ロフトを作ることで、屋根の下の空間を有効に利用することができます。
ロフトについてH2O設計室 森大樹さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー H₂O設計室 管理建築士 森大樹 の写真
埼玉県さいたま市見沼区東新井939-73
080-4295-2983

ロフトとはどのようなものですか?

 
 『屋根なりに斜めとなった天井とベッド、そして屋根の上に突き出た出窓・・・。』
そんな物語に出てくるような屋根裏部屋を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
古来よりロフトは、納屋や馬屋、教会や講堂などの中二階部分、そして倉庫や工場などの上階部分を呼ぶのが原義だそうです。
それがやがては屋根裏など、居住用に改造した天井の高い空間や、アトリエや美術・音楽制作スタジオへと改造した空間を呼ぶようになったのでしょう。
 
さて、一方で多くの方が混同されている空間として、法令などから様々な規則が存在している小屋裏収納庫があります。
他にも一階床下に限らず、地上階の床下空間を利用した収納全てに言えますが、それらはロフトとは全くの別のものです。
 
人が生活するようなロフトは、収納庫の規則に適合したもの以外を指し、つまり通常の部屋と同じ扱いをされるものとして考えて貰えれば良いと思います。
それは床面積として含まれ、階としても数えられることも前提として、慎重な検討が必要です。
 

 

貴社がロフトのある家を手がけたきっかけがありましたら教えて下さい。

 
他の設計士の皆さんと比べても、私達のきっかけは特別なものではないと思いますが、「屋根なりの大きな空間の一部を、ロフトにしたい」というご希望を戴いた時でした。
ここでは検討の上、やはり多くの方と同様かと思いますが、小屋裏収納庫としての計画でした。
またロフトとしたものは、平屋に設けたもので、結果としては2階建てとして計画したものになります。
 

ロフトのメリット・デメリットを教えて下さい。

 
改めて慎重に考えますと、ロフトのメリットとデメリットは明言を避けたいと思います。
それは、ロフトは部屋と同じように扱われますから、床面積と階数に数えられても、そして天井の高さが低いなど、通常の部屋とは違う形態だとしても、その部屋を受け入れることが
出来るのか?人はそれぞれだと思うのです。
このあたりは是非とも設計士と充分な打合せをして、それぞれがお気に入りのロフトを計画して頂きたいと思います。
 

 

ロフトの床面積は容積率に算入しなくてよいそうですが、なにか条件があれば教えて下さい。

 
「お就寝(やす)みになられたり、食事をしたり生活するような部屋として使用をしないでください。それならば床面積に入りません。」
とお答えしています。
まずは、お部屋として使用できると勘違いされていた方々の誤解を解くことから始めて、小屋裏収納庫などで良いのかを検討することになります。
 

ロフトに階段をつけることはできるのでしょうか?

 
(根拠資料を参照)
勿論部屋として使用する部屋では可能です。
また収納庫でも小屋裏収納庫では固定階段を小屋裏収納庫の一部として床面積に参入して認められます。
そして上下階の間に設けられる収納庫についての階段については、別の規定があるので事前に役所などに問い合わせることが必要です。
 

 

ロフトと小屋裏収納庫の違いを教えて下さい

 
(根拠資料を参照)
資料では収納庫に“あってはならないもの”の項目が挙げられています。
 
つまりこの規定範囲内が小屋裏収納庫で、範囲外がロフトです。
ここではその規定を越えて協議出来る部分を挙げてみましょう。
 
まず窓は、暑さ対策でも是非設置したいものですが、床面積との割合で非常に小さな窓面積を限度とされています。
しかしルーフバルコニーなどのメンテナンス用のテラス扉の設置はしたことがあります。
ただし、点検口としての扱いですから、ガラスは嵌める事ができません。
ガラス部分は目隠しパネルへの変更が求められました。
点検口でも、設置によって考えられる有効性はあると思いますがここでは割愛いたします。
 
そして、テレビやインターネット用ジャックは、居住性を得るものとして認めらませんが、私はインターネット用ジャックについては、交渉を続けてゆく事が必要だと考えています。
 
再び窓へと話しが戻りますが、 ロフトに窓を設けなければ居室の採光が期待出来ない敷地、周辺環境があった場合は窓面積が緩和されるか否かです。
言葉を選んで解説しますが、吹抜け上部に高窓を設置した場合、掃除や開閉する為にアクセスする通路幅程度のものであれば、その通路は床面積と階数に含まれないという協議を、確認検査機関としたことがあります。
 
つまり計画上の出発点となる選択肢は2つ。
1、大きな窓を優先し、小屋裏収納庫の規定以外の通路を計画するのか、
2、窓は規則通りとした床面積優先の収納庫を計画するのか
以上を検討しなければなりません。
 

ロフトの暑さ対策はどうしていますか?

 
(根拠資料を参照)
まず部屋として使用するロフトならば、エアコンを設置すれば良い。
それでこの質問の答えは終わってしまいます。
 
一方、屋裏収納庫として計画される場合はエアコンが認められません。
確かに小屋裏収納庫等でも、収納される物に応じて温熱調整が必要な場合もあります。
一般的には、換気扇を採用し熱い空気を排気し、次に比較的冷たい空気を吸気する方法を考えます。
 
リビングなどの大空間に面していれば、エアコンで調整されたリビングの空気が利用出来ます。
また換気扇以外にも熱い空気を窓から排出した分、下のフロアーの窓から比較的冷たい空気を取り入れる換気方法も、補助的以上に大変有効です。
 
近年、私たちの建築実例では断熱性能も高い常陸太田の住まいに於いて、水田を渡って来た風を利用しながらエアコン要らずで夏を過ごされている住宅があります。
 

(根拠資料)

 
小屋裏、天井裏、床下等の余剰空間を利用して設ける物置(以下「小屋裏物置等」という。)は、【建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例 編集:日本建築行政会議 小屋裏物置等(P79)】を基準とし、かつ、下記の各号に該当する場合のみ、階とみなさず床面積に算入しない。
 
(1)1の階に存する小屋裏物置等の部分の水平投影面積の合計が、当該、小屋裏物置等が存する階の床面積の1/2未満であること(固定階段を設置する場合は、その部分の面積を含む)。なお、階の中間に設ける小屋裏物置等の部分の水平投影面積の合計が、その接する上下それぞれの階の床面積の1/2未満であること。
  
(2) 小屋裏物置等の最高の内法高さが1.4m以下であること。なお、上下に連続する小屋裏物置等にあっては、内法高さの合計が1.4m以下であること。
  
(3) 階の中間に設ける床(ロフト状に設けるもの)については、当該部分の直下の天井高さが2.1m以上であること。
 
(1)(2)(3)建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例 小屋裏物置等(P79)準用
 
(4) 原則、小屋裏物置等の外壁の開口部の設置は認めない。但し、換気を行う目的で開口部を設ける場合、開口部の大きさの合計は小屋裏物置等の部分の水平投影面積の1/20かつ 0.45㎡以下であること。
 
(5) 小屋裏物置等の内部に、収納は造作しないこと。
 
(6) 小屋裏物置等の内部に、電話、テレビやインターネット等のジャックの設置はしないこと。
 
(7) 小屋裏物置等の床の仕上げは、畳、絨毯、タイルカーペット等にはしないこと。
 
(8) 小屋裏物置等にはエアコン等の空調設備は設置しないこと。
 
(9) 上記以外にも居室等に使用される可能性がある仕様にはしないこと。
 
(10) 共同住宅・長屋等は、各住戸ごとに上記各号の規定を満たすこと。

(11) 確認申請等の図面には、「物置であり居室には使用しない」と記載すること。

H2O設計室 森大樹さんのロフト設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
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