変化を持たせた街並みと外観デザインの分譲住宅・フォレスト建築研究所 一級建築士事務所 小椋 祥司さん
分譲住宅は注文住宅と比較して、土地と建物を一緒に購入しやすい価格帯で販売されています。
購入する立場からは、費用がわかりやすく予算が立てやすいと言うメリットがあります。
分譲住宅についてフォレスト建築研究所 一級建築士事務所 小椋 祥司さんに伺いました。
貴社が分譲住宅を手がけるようになったきっかけがあれば教えて下さい
当初は多少広めな土地を2、3区画に分割して一定の間取りをつくるといつた一般的な設計の延長で、ニーズなどあまり意識しないで行っていました。
その後経験と知識を得ながら注文住宅との違いなど意識して設計するようになりました。
分譲住宅とはどのようなものでしょうか?建売住宅とはどう違うのでしょうか?
- 両者の違いは販売の仕方にあります。
- 分譲住宅は土地を区画し分譲地をつくり、そこに一定の規模と仕様の建物をつくり販売します。
建売住宅は、土地に建物を建てて土地と建物を一緒に販売します。
分譲住宅のメリット、デメリットを教えてください
○メリットは注文住宅に比較し
- 土地と建物を一緒に販売している。
- 購入しやすい価格帯で販売されている。
- 費用がわかりやすく予算が立てやすい。
- 隣地状況や建物を見てから購入できる。
- 給排水、電気、ガスなどのインフラが整備されている。
- 早期に入居できる。
- 土地と建物の費用を一括で払える
○デメリットは
- 面積、間取り、仕様が決まっている。
- 構造、工法、住宅性能などが決まっている。
- 一般的な設定のため、不要だったり不足している要素もある。
- 画一的な建物になる。
などです。
分譲住宅はなぜ安いのでしょうか?
- モデルハウスや展示場経費がかからない
- 建てるまでの打合せコストがからない
- 広い土地を安く購入し分割するので土地コストが抑えられる。
- 販売戸数によるが一戸あたりの利益を抑えている。
- 短工期、早期販売でコストを抑えている。
- プラン、構造、工法、性能も一般グレードとなっている。
- 仕様、設備も分譲向けグレードになつている。
提案型分譲Ⅲはどのようなコンセプトでコンセプトで設計されたのでしょうか?
○分譲地全体が居住者皆んなの
- 大きな家
- 大きな家族
- 大きな庭
- 一つのコミュニティー
として各区画、各建物に計画性をもたせています。
さらに
- 統一性とを持たせながらも画一化させないよう変化を持たせた街並みと外観デザイン
- 分譲中の全体のランドスケープ
- 街路ごとに設定され統一された樹木
- 敷地内に植えられたシンボルツリー
- 塀やフェンスに仕切られない、オープン外構による繋がりあったエクステリアデザイン
- 各戸が自然に交流可能な玄関配置や駐車場配置
- 様々な段階でコンセプトの具体化を図った設計にしています。
土地を有効に活用するための工夫がありましたら教えて下さい
- 土地の区画割り時に基本モジユールが入るよう中途半端な敷地寸法にしない。
- 建物、駐車場の位置とも必要寸法が確保しやすい区画形状と寸法にする。
- 区画割はできるだけ四角形で、対面する境界線は平行にする。
- 必要室が並び易いモデュールが入る敷地寸法とする。
分譲住宅を売りやすくするための工夫がありましたら教えて下さい
○建物面積や販売価格だけでなく、他と差別化するために魅力的なコンセプトや提案性が求められます。
- 購入者ニーズに対応した子育て住宅として、子育てしやすく、子供との交流や学習習慣が身につくキッチン近くにもうけたカウンター付きの学習スペースの設置
- コロナ禍で急速に浸透し始めた、玄関から、洗面を経由し浴室に直結するプラン
- 共働き世帯の増加や宅配や置き配ニーズに対応した大きめの宅配ボックスの設置。
- 自宅でのリモート作業に対応した通信環境の充実した個室型ワークスペースなど、基本的なニーズに対応しつつも社会生活の変化に迅速に対応した提案型分譲住宅が求められています。
- 新型コロナの影響もあり、令和3年に入り特に都市郊外エリアでは、新しい生活様式に対応した、戸建て分譲住宅の販売が好調で、建築前の土地段階から売れている状況です。
分譲住宅の外観で注意している点があれば教えてください
- 分譲住宅の場合、プランや外観も画一的になりがちですが4~5タイプくらいのバリエーションと屋根形状(向きも)を用意することで変化がつけられます。
- 開口の種類を減らし、位置や大きさを揃えるといつた窓配置デザインに加えて、美しい壁を意識したデザインにかえることで外観の印象が大きく改善されます。
分譲住宅の街並みで注意している点を教えてください
- 分譲住宅の場合、単体での整理された外観と共に、集合した時の街並としての外観が重要です。
- 同じ建物が並びがちですが、統一性の中に計画的な多少の変化も重要です。
- 外部道路からの入口や交差点には建物と共に街角デザインと街角ツリーを、各区画ごとに大きめのシンボルツリーを植樹することで建物と一体化した自然感溢れる街並みが誕生します。
- 建物にも共通ルールを設け、洗濯物干しの見えないバルコニー、縦樋を出来るだけ見せない配慮やエアコン配管、換気フードなどが見えない建物ファサードにすることで、生活感が露出しない美しい街並みができあがります。
分譲住宅を増築することは可能でしょうか?
一般的に分譲住宅の場合、販売価格を抑えていることから、土地面積を小さくし、建ぺい率や容積いつぱいに建てることが多く増築する余裕がほとんどありません。
大きい宅地区画で余裕があれば可能です。
また、近年の長期優良住宅といつた性能認定などを受けている分譲住宅の場合の増築は、増築部を含めた全体での変更認定が必要となり手続きに困難を極めます
また、特殊な構造や認定工法を使用しているとほとんど不可能なります。
分譲住宅は、作り手にとつては不自由に思われますが、注文住宅ではできない、美しい街並みの形成やコミュニティーの形成、ランドスケープデザインや持続可能な環境デザインといつた、社会的にも意義のある空間と環境を提供する事ができます。
フォレスト建築研究所 一級建築士事務所 小椋 祥司さんの分譲住宅・設計事例
画像 | 建物の名称 | 紹介文 |
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「提案型分譲」Ⅲ | ・土地の有効活用、高度活用による提案としました。 |
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