客席数を最大限に確保する和風店舗・クラフトワン一級建築士事務所 山本昌史さん


 
和風店舗の場合、和風のアイテムである障子や襖といった可動式の建具を活用することで客席数を最大限に確保するレイアウトにすることができます。
 
和風店舗についてクラフトワン一級建築士事務所 山本昌史さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー クラフトワン一級建築士事務所 山本昌史 の写真
福岡市東区筥松3-12-7
092-982-0054

 

貴社が和風店舗を手がけるようになったきっかけがありましたら教えて下さい

 
特別なきっかけというものはなくて、いつもお世話になっている工務店(セイシンネットワークデザイン株式会社)が飲食店の仕事を多く受注しており、3年くらい前から私も設計で参加するようになりました。
 
これまで、店舗デザインの仕事は一件しか手がけたことが無く、殆どがコンクリート打放し仕上げやPBに白のEP塗装といったモダニズムの禁欲的な設計ばかりでしたので、デザインの幅を拡げる良い機会だと思い、お仕事に参加させていただきました。
 

和風店舗の内装で気をつけていることを教えて下さい。

 
まずプランニングですが、客席数を最大限に確保するレイアウトを心掛けています。
特に大衆店の場合これは重要です。
 
この時、和風のアイテムである障子や襖といった可動式の建具を活用しています。
建具を取り払って、2室を1室にできるようにしたりすることは他の店舗でもやっていることと思いますが、私たちはさらに廊下の上に可動式の床を設置できるようにし、そこに2人分の補助席を作れるよう工夫をしています。
 
例えば、通路を挟んで6人の座敷席と8人の座敷席があるとき、これを連結させると合計16人の座敷席をつくることができるというわけです。
「月の兎別館十五夜」や「博多前炉端一承」は団体客をターゲットとしたお店ですので、このような平面レイアウトの工夫が経営者に大変喜ばれています。
 
次に素材ですが、木や石や和紙など、できるだけ自然素材を使うよう心掛けています。
壁には「バビスタンプ」という西洋漆喰を使うことが多いです。
スペイン産で色数も揃っており、これを使うことにより和洋折衷の面白さが生まれてきます。
コストも手頃で、イニシャルを抑えなければならない中、重宝している素材です。
 
古材を使うことも試みており、「月の兎別館十五夜」や「肉割烹花瀬」には古民家の建具を再利用しています。
背後にLED照明を仕込むことで、懐かしくも新しい不思議な感じを出すことができたと思います。
その他、廃材なども利用します。
海岸に流れ着いた流木なども意外と店の装飾として利用することができ、時間があるときは海岸を歩いて、使えそうな素材が落ちていないか探すこともあります。
 
車を運転しているときに、前を走るトラックが使えそうな鉄の廃材を運んでおり、後を追って行って頼んで分けて貰ったりしたこともあります。
古材や廃材など、時間を経た材料は、侘・寂といった風情を醸し出しますので、和風のデザインにはぴったりだと思います。
 

 

和風店舗の外観デザインで気をつけていることを教えて下さい。

 
和風ですので、「和の慎ましさ」というのを大事にしていますが、一方で商業建築でもありますので、店として目立つことも求められます。
この2つが両立するようにいつも意識してデザインしています。
 
それから、これは先述した和の慎ましさと関係があるかと思いますが、「店の奥の気配が感じるデザイン」を心掛けています。
 
建築家の槇文彦さんは、著書『見えがくれする都市』の中で、日本の空間の特性は表層と奥の関係にあると述べていますが、和風店舗にも同じことが言えると思います。
テナントの既設開口部の状況にもよりますが、店の外観には格子や簾などの透けるデザインを用い、店の中の様子が見え隠れするような外観となることを目指しています。
 
「博多前炉端一承」では、テナントのファザードか全面ガラスのカーテンウォールでしたので、テナント側と交渉して、前面に生け垣をつくるスペースを設けました。
ここでは植物によって店の中が見え隠れする関係をつくっています。
 
植物と建築の関係も和風店舗では重要です。
外構をデザインできるときは植栽にも気を配ります。
  

 

和風店舗の照明で気をつけていることを教えて下さい。

 
谷崎潤一郎が『陰影礼賛』で述べているように、和の空間は陰影が重要だと思います。
照明計画をするときは、空間を照らすのではなく、空間に陰影をつくるための手段としての照明を考えています。
 
「月の兎別館十五夜」では、エントランスに石のオブジェが並んでいますが、この石がつくる陰影は当初から意識していました。
 
また壁は先述した西洋漆喰のバビスタンプと石ですが、左官仕上げと石の凸凹にウォールウォッシャーライトを当てて、影を演出しています。
ウォールウォッシャーライトは和風店舗の照明では重要だと思います。
 
また、「月の兎別館十五夜」は細長い平面形の店舗ですが、置き床照明と座敷席の床下に仕込んだLEDライトでお客様を奥の空間へと導くことを意図しています。
 
このように和風店舗の照明は、陰影をつくるデザイン、光によって導かれるデザインが大事ではないかと考えています。
 

 

土地探し・テナント探しから相談にのっていただけますか?

 
勿論可能です。
私たちのチームには不動産仲介業を行っている者もいます。
物件探しからお付き合いいたしますので、遠慮無くご相談下さい。
 
テナントを借りる場合は、用途変更が必要となる場合があります。
用途変更とは、物件を現在使われている用途から特定の用途に変更して使用する場合に行わなければならない確認申請のことです。
 
例えば、事務所だった物件を飲食店に、物販店だった物件を飲食店に変更して使用する際に必要です。
私は一級建築士の有資格者ですので、このような法的な対応もお任せ下さい。
 

店舗のリニューアル等にも対応していただけますか?

 
勿論対応いたします。
私たちが別館の設計施工をてがけました「月の兎」様は、本館は先に別の会社が手がけたものですが、この本館の方のリニューアルを担当させていただいたりしています。
 

和風店舗を建てたいと思っている方になにかアドバイスがありましたら教えて下さい。

 
和のエッセンスというのは非常に奥深いものがあると思います。
やはり京都や奈良などに何度か足を運んで、本物の和の空間に触れることが、繁盛する和風店をつくることに繋がるのではないでしょうか。
もちろん、私たちも勉強を続けていきます。
 

今後どのような店舗を手がけてみたいですか。

 
和風といっても「縄文的なるもの」と「弥生的なるもの」の2つに分かれると思います。
 
これまで手がけてきた店舗は、どちらかというと土の香りのする縄文的な空間だったと思います。
今後は弥生的な空間、特に和風モダンな空間をつくってみたいと思っています。
 
寿司屋や懐石料理店などは和風モダンな空間が似合うのではないでしょうか。
このような店舗をお考えの方は是非声をかけてみて下さい。
 

クラフトワン一級建築士事務所 山本昌史さんの和風店舗・設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
肉割烹花瀬

和風創作ダイニングのお店です。古い建具や家具を装飾に利用し、土着的でありながら高級感のある空間を目指しました。

博多前炉端一承

和風居酒屋です。既設テナントビルのガラスカーテンウォールを活かしながら、カウンター席と座敷席を配置し、様々な客層に対応できるようにしました。

月の兎別館十五夜

既存の和風居酒屋に近接して計画された姉妹店です。ここでは団体客をターゲットとするため、座敷席を効率よく配置し、126㎡の空間に76席を確保しました。古民家の家具を装飾として再利用するなど、懐かしさを感じるデザインとしました。

 

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