炭で焼く料理が美味しい囲炉裏のある家・アンドウ設計事務所 安藤孝彦さん
囲炉裏の間という異空間で仲間や、家族でおしゃべりが弾む、そんな雰囲気の中で食べることでより料理が一層美味しくなります。
囲炉裏についてアンドウ設計事務所 安藤孝彦さんに伺いました。
貴社が囲炉裏のある家をてがけたきっかけがあれば教えて下さい
私の町は古くから美濃焼の窯元の町として栄えてきました。
平成元年に消防団の班長としての役をもらい、囲炉裏のある家の窯元のご主人が私の上の部長でした。
そんな繋がりから、平成平成5年に住宅の離れを依頼され、数寄屋風の40坪の離れを建て、それから十数年後に本体の母屋を建て替えるというお話をいただき、どうしても囲炉裏を設けたいという要望がありました。
商売柄、人の寄りが多く、家族も3世代と大人数ということもあり、囲炉裏でもてなしたり、気の知れた仲間でわいわいしたり、家族でバーベキュー感覚でコミュケーションを図ったりする、そんな場を設けたいということでした。
当時渓流釣りの好きなご主人は、食べる事より剥製にして飾っておくのが趣味で、まずは壁にその剥製を飾りたいということ、使用しない時は陶器の展示もしたいということもありました。
囲炉裏のメリット・デメリットを教えて下さい
メリットは何といっても炭で焼く料理が美味しいことでしょう。囲炉裏の間という異空間で仲間や、家族でおしゃべりが弾む、そんな雰囲気の中で食べることでより一層美味しくなります。
それと遠赤外線で保温効果があり冬は暖かですね。
デメリットは炭を用意しなければいけません。
それも安物は臭くなるので少し高級なもの(くぬぎ等)がいい、となります。
次に煙のための換気に気を付けなければいけません。
これは建築的に工夫すればいいですね。
長期にわたり使用すると火天の格子とか木の梁とかがいぶされますが、これは経年変化で風格がよくなる方だからよいことですね。
ということでデメリットはあまり見当たらないというのが囲炉裏ですね。
囲炉裏の構造はどうなっているのでしょうか?
あまり難しくはありません。
市販のコンクリートブロックを四角に深さ600くらいに積んでのその内壁に耐火ボードを貼りその上からステンレス板を張っています。
内部の底は土のままで厚さ300くらいまで軽石を詰めその上に専用の灰を所定の高さまで敷き詰めます。
土のままで軽石を詰めるのは土中を通して呼吸ができた方がよりいいからです。
そしてブロックの天端に4周枠框を設置しています。
囲炉裏の煙対策はどのようにしていますか?
自然換気ができるように下窓と、火天格子より上の天井近くに換気と採光を兼ねてガラスルーバーを付けていて、煙はそのルーバーから排出されます。
それに補助として換気扇を回して強制排気できるようにもしています。
囲炉裏の価格はどれくらいでしょうか
H邸の場合は家全体の中の一部ですから、囲炉裏の価格と言っても正確には出せません。
概算的にはほぼ7.2帖ぐらいの囲炉裏の空間全体で約400~500万円くらいではないでしょうか。
テーブル式の囲炉裏だけだとピンキリですが50万円前後ぐらいでもあるようです。
窯元の家H邸を設計する際に工夫した点を教えて下さい
三世代の家族のための家ということで離れは祖母のための空間、母屋は親夫婦、子供夫婦のための空間、それぞれの独立性を保ちながらパブリックな空間は皆が集いやすいよう開放的な空間としています。
その中で囲炉裏の間がシンボル的に彩り、どこに居ても温かな雰囲気を感じられるよう、土、石、木のような自然素材で心地のいい住まいとなっています。
今は子供夫婦に子供ができて4世代となり、ますますにぎやかになっているようです^^。
既に、離れの2階に子供部屋はありますので、ライフサイクルは対応可能になっています。
囲炉裏のある家を建てたい方にアドバイスがあればお願いします
生活環境や家族構成、家の大きさ、生活スタイル等により囲炉裏の形態を決めた方がいいですね。
家族が多く、人寄りが多い場合はH邸のような造り付けのものがいいかもしれませんが、小人数で楽しみたい場合、家の空間が狭い場合などはテーブル式の可動タイプもいいかもしれません。
そうすればダイニングテーブルにもなりますしね。
あるいは思い切って普段いる部屋の中央に作り付けるのもいいでしょう。
そうすれば冬に暖をとることができますね。
また組み立て式の囲炉裏キットもあるようです。
ただ気密や断熱性を求めることの多い現代の家では注意がいります。
火を燃やすということは酸素が必要なので一酸化炭素中毒に留意する必要があり、特に換気を工夫しなければなりません。
自分のスタイルに合わせて囲炉裏を楽しんでみてはどうでしょう。
囲炉裏・メニュー
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