高い吸放湿性のある土壁の家・SSD建築士事務所株式会社 瀬古 智史さん


 
土壁には高い吸放湿性があるため、調湿効果があります。
 
土壁についてSSD建築士事務所株式会社 瀬古 智史さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー SSD建築士事務所株式会社 瀬古 智史 の写真
津市安濃町川西1281-1
059-268-1303

 

土壁とはなんですか

 
ここでは竹木舞下地の土壁を中心に説明いたします。
 
現代の工法では土台から梁桁までの間に横架材等はなく、地震力に対しては筋交いや耐力面材などでそれを負担しますが、土壁で真壁構造の場合は柱と柱を繋ぐように5分から一寸の貫を差し込み、それに竹木舞下地を編み、粘土質の土に藁を混ぜ熟成させた荒壁土を両面から塗り付けて下地とするのが基本です。
 
荒壁が乾燥してひび割れた状態から、大直し、中塗りと塗り重ねて平滑な下地を作った最後に漆喰等で仕上げます。(中塗り仕上げもありますが。)
 
土壁だけで地震力や風圧力を負担するのは2階建てだと難しいでしょうが、伝統的な工法を用いての平屋建てなら十分でしょうし。筋交いに頼らない柔軟な構造は土壁や貫が制振的な要素も持ち合わせていると思います。
 

貴社が土壁の家を手がけるきっかけがありましたら教えてください

 
私の自邸もそうなのですが、先ずはアレルギー体質に対してより安全な住宅であることと、環境に対する考え方を突き詰めていきますと、自然にロングサイクルや廃棄時に土に還り易い点を重視する等の基本方針は、流行に左右されずにブレることなく求められる事であり、その様なことを求めるクライアントからの問い合わせが徐々に増えて手掛けることに至っております。
 

 

土壁のメリット・デメリットを教えてください

 
土壁のメリットは多いので以下に箇条書きにします。
① 高い吸放湿性がある。
② 高い蓄熱性がある。
③ 高い遮音性がある。
④ 空気浄化性がある。
⑤ 高いリユース性。
⑥ 土に還る(土そのものです。笑)
⑦ 耐震要素と制振性。
⑧ 土ものや漆喰等々、様々な伝統的な左官技術での高い意匠性と質感が可能。
⑨ 工業化製品ではないので、材料は日本のどこにでもある。 
 
土壁のデメリット
① 工期が長くなる。
② 品質が職人の技量に左右される。
 

既存の家を土壁にリフォームすることも可能でしょうか?

 
可能ですが、その場合は竹木舞真壁構造にしようと思うと大変な作業になりますので、木木舞での大壁仕様かPB上への施工とした方が無難だと思います。
 

 

土壁をDIYで作ることも可能でしょうか?

 
可能だと思います。
粘土質の土に藁を混ぜ熟成させる荒壁は比較的容易に作れますし、昔は近所総出で荒壁付けの作業をしたようです。
 

土壁のカビ対策はなにか行っていますか?

 
特に対策は行っていませんが、施工の時期によりカビが発生しやすくなることもあると思いますので、扇風機での通風等適切な対策を取る必要はあります。
 

土壁の上に塗装することも可能でしょうか?

 
左官職人さんからは外部漆喰等に撥水材を施工する等の話は聞きますが、土壁に塗装というのは考えにくいです。
ジョリパット等の左官用の仕上げ材料等はそもそも塗装に近い建築材料ではないでしょうか。 
左官と塗装は分けて考えた方が良さそうです。
 

土壁の作り方を教えてください

 
先ず重要なのが竹木舞に使う竹ですが、10月11月に伐ったものでなければいけません。伐り旬以外だと虫害が発生します。
粘土質の土に藁を混ぜて熟成させ、貫に施工した竹木舞に両面から塗り付けて乾燥させます。
その後、砂や藁スサを混ぜた中塗り土で大直しし、更に乾燥後に中塗り仕上げへと進みます。
 

 

土壁の家が得意な工務店なども紹介して頂けますか?

 
はい。
左官仕上げが得意な工務店は木造の伝統的工法を手掛けるところが多いです。
 

土壁の上に漆喰を塗ることも可能でしょうか?

 
勿論です。
漆喰仕上げの下地は土壁や木舞が多いと思います。
 

土壁の材料はどのようなものでしょうか?

 
粘土質の土・藁・スサ・真竹(竹木舞)・女竹(間渡し)・砂・藁縄・シュロ縄
 

土壁の場合、断熱はどのようにするのでしょうか?

 
内外真壁にして断熱を捨てる考え方もありますが、私の場合は、外部に透湿性能の高いウールやポリエステル樹脂の断熱材を100mm被せて、土壁を外部の温度変化から守り、土壁の蓄熱性能を十分に発揮させるようにしています。
更に土壁に温水を循環させて輻射暖房とする仕様も、快適性の高い室内の温熱環境を実現しています。「実りの家」「寺町の家」
 

 

外壁を土壁にすることも可能でしょうか?

 
可能ですが、軒の出を深くする必要はあります。(雨での土壁劣化対策として)
 

wood stucco houseの設計で工夫した点を教えてください

 
当物件は貫こそ通しておりますが、竹木舞土壁真壁の仕様ではなく、PB上にカーボンプラスター下塗りの上に漆喰塗としています。
真壁の土壁に比べて木の見えている量が程よく、スタイリッシュなデザインを求めるクライアントへは、真壁竹木舞の下地を作った物件においても更に大壁で木木舞を取り付けた上に漆喰仕上げとする場合もあります。
 

 

SSD建築士事務所株式会社 瀬古 智史さんの土壁の建物・設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
村主の家

南側の広々とした庭を囲む、L型の平屋の住宅。
リビングと子供室をウッドデッキでつなぐことで、いつも家族の空気を感じることができます。

木組み・土壁の家

ibushi-京壁の家

半地下・スキップフロアーと、高低差を最大限に生かした平屋の計画。
「むくり」のついた屋根が特徴的な、新しい和のお家です。

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寺町の家

伝統的構法でありがちな温熱環境を無視してしまうこと無く、土壁の利点を生かした暖房方法を採用して住み心地の良いいえとなりました。

実りの家

実りから得られる食を大切にする、大家族の住まい。

辺りは田園広がるのどかな地域、長年住まわれた母屋の建替えです。
この地方の慣習的な間取り”田の字”を基本に、木組みを追求し進化させ、木の文化を復活させます。

木組み・土壁の家

タテの家

構造材はもとより、 障子・家具にいたるまで地域材(三重の木)を活用し、施主様の不安を安心に変えました。

新たな感覚での“和風”の家をイメージ。