先々のことにも配慮した高齢者住宅・ATS造家設計事務所 奥田 敦さん

車椅子でも使える大きな引戸の玄関

高齢者住宅は先々のことにも配慮し、水回り、特にトイレは寝室の近くに配置する必要があります。
 
高齢者住宅についてATS造家設計事務所 奥田 敦さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー ATS造家設計事務所 奥田 敦 の写真
京都市山科区大宅古海道町13-6
075-502-0606

 

貴社が高齢者住宅を手がけるようになったきっかけを教えてください

 
年齢を重ねますと、建築家としていろいろなことに気が付きます。
親や親戚の高齢化を間近で感じ、また、自分自身の事としても、あらためて暮らしを見直し、設計に反映するようになりました。
 

高齢者の転倒事故を防ぐためのポイントがあれば教えてください

 
高齢者の問題には、個人差があります。
以下の質問にお答えしたことは、あくまで一般的な回答としてご承知ください。
 
大きな段差ではなく、1cm未満のレベルの違いに注意しないといけません。
現場の施工にも気を配り、面を取れる床材料は、角を落とします。
また、当たり前のことですが、要所に手すりは欠かせません。
つまずいても手すりがあれば転倒を防ぐことができます。

高齢者のための間取りのポイントがあれば教えてください

 
先々のことにも配慮し、水回り、特にトイレは寝室の近くに配置します。
また、広い部屋は不要だと思います。
動線を短くし、回遊できるプランなら最高です。

高齢者が片付けしやすい収納などの工夫があれば教えてください

 
部屋ごとに、その場所で使うものの収納スペースを作ります。
大きな押入れは必要ありません。
 

高齢者が掃除しやすいための工夫があれば教えてください

 
室内がコンパクトで、シンプルな間取りであれば、掃除も容易です。
 

高齢者のための階段の工夫があれば教えてください

 
まずは階段が不要な平屋で対応できないか、検討してみましょう。
階段が必要なら、蹴上げ(一段の高さ)の寸法を小さくすることです。
段数は増えますし、2階に上がるエネルギー量は変わりませんが、一段が楽に感じられて、登りやすいと思います。
踊り場があれば言うことありません。
 

雫庵(しずくあん・高齢者のための平屋住宅)で工夫した点を教えてください

 
暮らし方や持ち物を見極めて、必要最小限の床面積。
(蓄熱暖房機とエアコン1台ずつで家全体が快適な室温になります)
前述の回遊動線・トイレ位置など、効率の良い間取り。
 
通風・採光窓を効果的な位置に設置。
機能ばかりでは息がつまりますので、縁側や天窓を設けて庭や自然との関係性を高めたこと。
(高い天井から見える大きな空やガラス庇を伝わる雨の雫は、心が和みます)

中庭のある平屋の住まいで工夫した点を教えてください

 
将来、車椅子生活になった場合に備えること。
門から玄関へのスロープ・屋内用車椅子への移乗・廊下幅・トイレの大きさ・洗面台などを車椅子対応にするだけでなく、健常者でも使いやすいようにしています。
また、四季を感じながら暮らせるよう、各居室はすべて中庭に面した計画です。

高齢者住宅に使える補助金はあるのでしょうか?

 
バリアフリーリフォームなどを実施する場合、自治体や介護保険からの補助金があります。
 

高齢者住宅を建てたい方にアドバイスがあればお願いします

 
体力が落ち、介護が必要になっても、自宅での生活はできる限り続けたいものです。
ただ、将来の状況は、自分でもわからないことがたくさんあります。
 
「老いること」を受けとめ、高齢者住宅を建ててきた建築家とよく話し合いをして設計を進めてください。
 

ATS造家設計事務所 奥田 敦さんの高齢者住宅・設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
中庭のある平屋の住まい

高齢の依頼者のため平屋とし、室内はバリアフリーとなっています。

高齢者のための平屋住宅

外観は和風のイメージで、屋外の床は、設計当初から施主のご希望だった、鉄平石の乱張りとしています。

雫庵(しずくあん・高齢者のための平屋住宅)

小さな小さな住まいですが、回遊できる間取り。高い天井から見える大きな空。ガラス庇を伝わる雨のしずく。