調湿性・蓄熱性が高い土壁・スピカ建築工房 一級建築士事務所 滝川 良子さん


 
土壁は調湿性と蓄熱性が高いのがメリットです。
本来の土壁は下地に「竹」や「木」を利用した小舞壁に土を塗りつけて
いくため、そうした作り方で仕上げた土壁は産廃を出さず、
補修も「そこに在るもの」で行えるので、環境的にも優れています。
 
土壁についてスピカ建築工房 一級建築士事務所 滝川 良子さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー スピカ建築工房 一級建築士事務所 滝川良子 の写真
目黒区下目黒3-5-22
03-6786-3319

 

土壁とはなんですか

 
世界各国にいろいろな種類の土壁がありますが、
日本で言われている「土壁」は「土」に水と共に「刻んだワラやスサ」などを練りこみ、発酵させた材料で作った壁の事を指します。
 

貴社が土壁の家を手がけるきっかけがありましたら教えてください

 
学生の頃から「古民家」や建物が建つ土地に根ざす、土着的な建築物に惹かれていました。
そこで仕上げに施されている「土壁」にも魅力を感じ、常々仕上げに使用してみたいという気持ちがありました。
 
偶然、古材を利用したゲストハウスを建てたいというお客様に巡り合い、土壁の家をご提案してみて採用された事から、手がける事になりました。
 

 

土壁のメリット・デメリットを教えてください

 
メリットとしては、その調湿性と蓄熱性の高さだと思います。
本来の土壁は下地に「竹」や「木」を利用した小舞壁に土を塗りつけていくため、そうした作り方で仕上げた土壁は産廃を出さず、補修も「そこに在るもの」で行えるので、環境的にも優れていると感じます。
 
デメリットとしては、土壁は昔と違い今や「高級な仕上げ」となってしまい、コスト高となる事、湿式のため施工に時間がかかる事、壁内に空洞がないため、電気配線の計画に少し手間がかかる事でしょうか。
 

既存の家を土壁にリフォームすることも可能でしょうか?

 
可能です。
 

土壁をDIYで作ることも可能でしょうか?

 
土壁は昔はその土地にある材料で作っていたので、材料や場所などの条件が揃えば可能です。
(発酵させる場所が必要になります。)
 

土壁のカビ対策はなにか行っていますか?

 
特に行っていませんが、施工後の乾燥に時間をかける必要はあります。
 

土壁の上に塗装することも可能でしょうか?

 
直接のペイントは、土壁が水分を吸ってしまうため、出来なくはないですが難しいです。
仕上げの土壁の材料に色を着ける方が現実的になります。
 

土壁の作り方を教えてください

 
「土」に刻んだ「わらスサ」などを混ぜ込み、「水」を入れそのまま発酵するまで時間を置きます。
発酵すると、発酵臭も出て材料に粘りが出てきます。
 
時間がかかるので、「泥コン屋」という土壁を作って売っている会社もあるようですし、左官屋さんによっては常備しているところもあります。
 

土壁の家が得意な工務店なども紹介して頂けますか?

 
はい。
土壁の得意な左官職人と仕事をしていますので、大丈夫です。
 

土壁の上に漆喰を塗ることも可能でしょうか?

 
本来、土壁は仕上げではなく「下地」でした。
土壁の上に漆喰仕上げを施す事で完成していたため、漆喰を塗る事は可能ですし、漆喰で調色を行い色を着けることもできます。
 

 

土壁の材料はどのようなものでしょうか?

 
土壁の作り方にもある通りですが、その土地のもので作れるので、地域により土壁の色が違っていたりします。
 

土壁の場合、断熱はどのようにするのでしょうか?

 
いろいろなやり方があるかと思いますが、効果的で相性が良いのは土壁+外張り断熱だと感じます。
 

外壁を土壁にすることも可能でしょうか?

 
昔は外壁も土壁や土壁+漆喰だったので、可能ですが断熱を何で行うかにもよると思います。
 

千鳥のいえ_土壁伝統構法のゲストハウスの設計で工夫した点を教えてください

 
「千鳥のいえ」は意匠的なだけでなく構造的にも土壁を利用し、壁量計算を土壁で計算しました。
 
建設地が静岡県だったため建築基準法で要求される構造等級よりも上にする必要があり、耐力壁のバランスなどを工夫しつつ、一部に構造上耐力壁としてカウントできる「格子壁」を意匠的に映えるよう組み込んでクリアしています。
 
当初は古民家の移築も視野に入れていらっしゃったお客様だったため、一部の梁に古材も使用し、昔ながらのダイナミックな空間と現代での使用に耐える間取りとしました。
 

 

土壁の家は工事期間がかかりますか?

 
はい、通常の建物と比べると1.5倍位の工事期間になります。
また、土壁が凍る恐れもあるので、地域によっては施工時期を考慮する必要があります。
 

土壁の家の設計期間も普通より時間がかかりますか?

 
一般的な設計事務所での設計期間とあまり変わらないと思います。
 

部分的な土壁の家やマンションリフォームでの土壁も設計してもらえますか?

 
はい。
現代の工法の中にインテリア的に土壁を取り込む事は得意ですので、土壁に限らず左官仕上げ一般で、いろいろな表現をご提案しています。
 

スピカ建築工房 一級建築士事務所 滝川 良子さんの土壁の建物・設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
千鳥のいえ_土壁伝統構法のゲストハウス

民家移築も視野に入れられていたため、所属している団体の民家バンクを活用する事も検討しながら、最終的には一部の柱、梁などに古材を使用する事になりました。お客様がお好きな民家や和の設えなどを、一緒に拝見させていただきながら、最終インテリアまで一緒に選定させてもらっています。

 

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

昨日は、アチコチで、いろんな方々と打ち合わせでした。

お客様、工務店、メーカー関係者等々。

いろいろです。

頭がこんがらがったりしないんですか?

なんて聞かれることもあるのですが、

基本的にはありません。

「基本的に」と書いたのは。。

詳細なことになると、記憶があいまいになったりすることも

あるからです。

夜、事務所に戻ってから、

とある家創りの詳細を検討しました。

すごい落書きですよね(笑)

でも。

結構大事な内容ばかり。

ポイントになったのは、窓周りです。

窓は、アルミ+樹脂サッシの既製品を使います。

当然ですけど、その既製品をきれいに、

しかも性能が落ちないように納める必要があります。

基本的な納まりは頼りにしたながらも、

この案件に特有の条件に照らし合わして

何がいいのかをイメージします。

実際、そのイメージができるのかどうかを

書き込みながら確認していきました。

来週、構造設計者と打ち合わせがあるので、

それまでに、しっかり検討しておかないといけません。

なぜかというと。。

この家。

構造がすごいことになっています。

相当な経験がないと解決できないほど。。

構造の意向をしっかりを考慮しながら、

デザインとのバランスを考えていきます。

いろんな意味で、すごい家になりそうです。

ワクワクしてきます!!

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

キッチンからリビングダイニングを見ています。

最近では、見かけなくなりましたが、

キッチンが独立しているカタチです。

調理に集中できるし、

汚れが広がらないので、とてもよいのですが、

キッチンに一人でいる感じが好まれず、

最近では、ほとんど見かけません。

でも。

来客が多く、おもてなしする機会が多い方の場合は、

独立しているキッチンもあったりします。

でも。

そんな時には、キッチンにも大きな窓をつけて、

開放的にしてみましょう。

それはさておき。

写真では広く見えていますが、

実際は、少し窮屈な印象なんです。

それを改善しようとして間取をごそっと変える予定。

こちらは、玄関脇にある和室。

来客をおもてなしする客間だったんでしょうね。

来客が多くないこともあって、

なかなか使いづらいようです。

こちらも、思い切って、壁を取り払ったりして、

全く違う感じにする予定。

お風呂は、1216サイズくらいでしょうか。

こちらも1621サイズに変更したりします。

なんて。

結構大胆なこと言ってるんですけど、

気が付きましたか??

1階は、ほぼ撤去してしまって、基礎から

床から創り直します。

開放的な間取りに。

となりますと、耐震が心配になったりしますよね。

でも。大丈夫。

耐震診断→補強もしっかりしますので。

さらに。

1階のみなのですが、床、壁、天井、さらには

窓まで、すべてしっかりと断熱します。

現状は、おそらく無断熱なので、相当な

冷え込みですが、すんごい改善するでしょう。

表面だけきれいに改修する。

予算によっては、それも一つの方法なんですが、

せっかくの機会なので、表面だけでなく、

耐震や、断熱、使い勝手まで、

詳しい建築家に相談しながら進めると

コスパのよいリノベーションになりますよ。

実際、詳しくないリフォーム屋さんや工務店、

建築家もいたりしますので、しっかり見極めてくださいね。

耐久性がある土壁・建築・都市設計インタースタディオ 笹木篤さん


 
土壁は耐久性があります。中国・アフリカ・ヨーロッパなどでは築4~500年の土の家が今でも現役で使われています。
 
土壁について建築・都市設計インタースタディオ 笹木篤さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 建築・都市設計インタースタディオ 笹木篤 の写真
愛媛県東温市河之内4885 「一畳庵」
089-966-4288

 

土壁とはなんですか

 
土を主に使用した壁で厳密な定義はないはずです。
仕上げに使用する表面材と壁体を形成する本来の土壁の両方を指すようです。
以降は壁体としての土壁についてのみご説明します。
主に3種類あると考えられます。
 

  1. 塗り壁:竹小舞や木摺などを骨にして粘土系の土を塗る工法。柱梁に持たせるので自立しない。
    (塗り壁という言葉を使っていますが、正式名称は知りません。ご存じの方がいらっしゃいましたら是非お教えください。)
  2. 「版築造」:粘土と真砂土の中間ぐらいの粘性の土に石灰を混ぜて押し叩いて固める工法。
    土だけで自立し、構造体になる。
  3. 「練り塀」:主に塀に用いる工法だがたまに建築にも用いられる。
    小舞等の骨を使わず、粘土系の土だけを層状に塗り足す自立する壁。
    石や瓦などを併用することがある。

 
このうち一般的に住宅に使用される土壁は、①の塗り壁です。
塗り壁の中には柱の幅内に納まる「真壁」と、柱の外側に塗り足して柱を壁内に埋め込む「大壁」があります。
「土蔵造り」は外大壁、内真壁の工法です。
 

 

貴社が土壁の家を手がけるきっかけがありましたら教えてください

 
中国福建省に点在する版築造の巨大な土楼の一つに宿泊した時、空気の柔らかさに驚きました。
板敷きの上に毛布一枚のみという状態なのにぐっすり眠ってしまいました。
まるで故郷の実家に帰ったように身体が空気に同化したようでした。
ここで理屈を超える土の威力を体感したのがきっかけです。

土壁のメリット・デメリットを教えてください

 
以下は、一般的な塗り壁についてご説明します。
 
メリット:

  1. 言葉にするとウソ臭くなってしまうほど、多くの計り知れないメリットがあります。
    断熱性、調湿性、蓄熱性、放射熱、室内空気の温度変化などがありますが、
    これらのことはどこにでも載っているので省略させていただきます。
  2. 意外かもしれませんが、耐久性があります。
    中国・アフリカ・ヨーロッパなどでは築4~500年の土の家が今でも現役で使われています。
    条件さえ整えば、コンクリートよりもむしろ長持ちすると言えます。
  3. シンプルです。極めれば。
  4. 世界中どこでも通用します。
    つまり古民家風とは限らず、あらゆる表現に適います。

 
デメリット:

  1. 土壁は伝統構法の木造とセットであるべきなので、伝統的な技術を持つ大工さんと左官屋さんが必要です。
    このような伝統技術を持つ職人さん達は、近年数が激減しているようで、探し当てるのはかなり苦労します。
    真壁では土の威力をはっきり体感するのはなかなか難しいかもしれません。
    一方大壁をこなせる左官屋さんはさらに希少です。
  2. 土壁はどの工法でも水害に弱いのが弱点です。
  3. 左官屋さんの腕次第で、強さ、美しさ、安さが大きく左右されます。
    かえって中途半端な職人さんほどいろいろな条件を付けられ、高く請求されてしまいます。
    ちなみに2018年7月豪雨で約2Mの水流に襲われた築180年の豪商の民家の土壁は僅かな損傷だけで健在です。
    当時の職人技術の高さには驚かされます。

 

 

既存の家を土壁にリフォームすることも可能でしょうか?

 
目的によります。

  1. 本来の土壁の良さは、厚い壁体が生むものだと考えています。
    その効能を活かすかどうかの問題です。
  2. 構造的な問題もあります。
    プレカットの木造は必然的に金物に強度を依存した構造になりますが、土壁の中で鉄は錆び易くなります。(土は中性なので。)
    また、伝統構法は地震に対して、全体が連動して揺れながら持ちこたえる構造で、貫+小舞+土の連携プレーが大切です。
    伝統構法の柔らかな強さと土壁の組合せが構造的なメリットでもあります。
    この点をどう捉えるのか、という問題です。
  3. もし表情だけ土壁風にする、と割り切るならば、なんとでもなります。
    しかしこの志向は本来の「土好き」としては?マークですけれど。

 

土壁をDIYで作ることも可能でしょうか?

 
はい、可能です。
セルフビルドにはもってこいの工法です。
 

土壁のカビ対策はなにか行っていますか?

 
良質の土を、適切な時間に適切な方法で寝かせて使用し、一定の期間が経つと黒くなることがあります。
これはカビではありません。
実はこれまで調べた土壁でカビが気になった記憶がありません。(経験不足かもしれませんが?)
 
しかし、設計上、風通しを常に工夫することは土壁に限らず重要です。
完璧な高気密よりも肌では感じないほどの微妙な通気性を持たせ、単位体積当たりの高断熱性を求めるよりも、壁体と空間全体の断熱性+体温に近い放射熱と適度な対流、という総体的な空気環境を設計しています。
自ずとカビ対策になっていると考えています。
 

 

土壁の上に塗装することも可能でしょうか?

 
土壁と漆喰の組合せは絶妙です。
言わばダウンフェザーとゴアテックスのように、呼吸しながら防水する性質と断熱性がうまく組み合わさっており、一枚壁でこれほど多機能な壁は現段階では他に存在しないのではないでしょうか。
半端な思い付きで特別な塗装を試す必要性がなかった、というところです。
 
土壁の効能を殺す処理方法ならいくらでも存在しますが、呼吸を保ちながら何らかのコーティングを試す場合は、そのたびにメーカーと職人と調整しながら実験する必要があります。
(信用できるマニュアルはないと思いますよ。)
 

土壁の作り方を教えてください

 
土壁用の土は、腕利きの左官屋さんが吟味して「土屋」さんと呼ばれる業者に発注します。
その土に藁スサを混ぜて数カ月かき回しながら寝せて置きます。
できた土を鏝台にある程度盛り、鏝で掬って塗りつけます。
 
荒壁なら団子にして小舞に投げつけたりもします。
意外に簡単で作業は速いです。(出来映えは別として)
 
しかし、その前に小舞を組まねばなりませんでした。
具体的には直接ご相談ください。
 

↑土壁ワークショップの様子
 

土壁の家が得意な工務店なども紹介して頂けますか?

 
大工さんと左官屋さんを個別に探す必要があります。
左官屋さんの中には活動範囲が広い職人さんも少数いますが、大工さんの場合は活動範囲が特定の地域に限定されることが殆どです。
 
2種の職人がセットになっている工務店、というのは、地域限定です。
つまり地域によって異なるので、具体的には直接ご相談願います。
 

土壁の上に漆喰を塗ることも可能でしょうか?

 
最も相応しい組み合わせです。
 

土壁の材料はどのようなものでしょうか?

 
土に藁スサを混ぜて発酵させたものです。
土は地域によってさまざまな特徴があります。
また、荒壁用と中壁用では製作過程が異なります。
 

土壁の場合、断熱はどのようにするのでしょうか?

 
土壁自身が断熱材です。
ただし単位長さあたりの断熱抵抗は、スタイロフォームやグラスウールの約1/5と考えられるので、西日本なら200mmぐらいの厚さは欲しいところです。
しかし、多くの伝統民家は真壁で壁厚は100mm以下が一般的です。
瀬戸内地方やこれに準ずる気候帯であればこれで十分だとする考え方もあります。
 

外壁を土壁にすることも可能でしょうか?

 
勿論OKです。
そのための素材です。
ただし、庇をつけて漆喰あるいは大津壁などにする必要があります。
敷地境界線等の関係で庇を付けられない場合は、周囲環境に合わせた技術的な工夫が必要です。
 

鉄骨+土壁の家の設計で工夫した点を教えてください

 
これは世界的にも歴史的にも大変珍しい組み合わせだと考えています。
構造体の揺れと壁体の揺れが異なるはずなので、この2つを「縁を切ってつなげる工夫」をしています。
いわばエクスパンションジョイントのような考え方です。
 

 

土の教会の設計で工夫した点を教えてください

 
これは木造モダニズム建築の改装ですが、伝統が破壊された時期だったので、モルタルの外壁でした。
モルタル壁を土壁に変えることで木造建築に命が吹き込まれると感じました。
 
土壁や漆喰は世界中で使われて来た伝統素材であり、教会建築にも調和することを確信していたので、技術的な工夫よりも、教会員の方々への説明を工夫しました。
また、土壁はセルフビルドが可能な工法であり、教会はもともと教会員の方々が協力し合って建てる風習があったので、これがうまくマッチしました。
木造の構法や庇の処理など、土壁の周囲の点でいろいろな工夫をしています。
 

 

土壁の断熱性はどれほどでしょうか?

 
概ね、一般的な断熱材(スタイロフォーム、グラスウール)などの1/5ぐらい、というのが過去の実験データです。
通常の断熱材は壁体とは別に付加する形になるので、2重(以上の)壁になります。
 
一方、土壁や木は、壁体=断熱材なので、1枚の壁体がそのまま断熱材になり仕上げにもなる、というシンプルさがあります。
全体の厚みで断熱性能を発揮するので、予定する断熱性能に合わせて厚さを決めることができます。
 

土壁とする場合の工期はどれほどでしょうか?

 

  1. モノにもよりますが、約1年以上、というのが一般的です。
    土壁の施工の速度は意外に速いのです。 
    荒壁、中壁、仕上げ、という工程の間には一定の乾燥時間が必要ですが、その間に他の作業を進められるので、工程を工夫すれば一般的な在来木造工法と大差はありません。ただ、中塗り~仕上げの間は1年ぐらい空けた方がよいので、一旦完成して入居後1年ぐらいたった後に最終仕上げをするのがベストです。
  2. 木材の伐採や、左官工事には、適切な時期があります。
    また木材や土を寝かせる期間も必要です。
    設計期間も含めて時間配分が複雑なので、ゆとりが必要です。

土壁とする場合の工事費はどれほどでしょうか?

 
大壁(土蔵造り)の場合、設計的な工夫を行い、上手い施工業者と組めば、80万円/坪で可能だと考えています。
しかし、職人の個人差、地域差などは非常に大きいので、現場に応じて調べる必要があります。
 

土壁とする場合の構造上のメリット・デメリットを教えてください

 
メリット:
金物を極力使用しない伝統的な木造構法に、貫+小舞+土壁という組合せを想定して説明します。
全体が多少揺れながら支え合う構造形式なので、一か所に応力が集中せず、負荷が分散します。
つまり、筋交いや金物に頼る構造ではその部位に応力集中が過度に起こって破壊されれば全体が一気に弱くなることがありますが、そのようなことが起こる確率は低く、耐震性に余裕がある、と考えられます。
 
デメリット:
壁量の総長さは、筋交い・合板などを用いる工法よりも長く採る必要があります。
壁が多くなる分、熱容量が大きくなるので熱環境的にはメリットとなります。
 

版築造とはどのようなものですか?

 
塗り壁の土よりもややサラッとした土(シルト?)を用いて、これに石灰と少々の水を混ぜて、型枠に中に入れて搗き固めます。
土のコンクリートのような工法です。
木造軸組みや小舞を用いず、土だけで自立します。
かつては多くの塀や建築物に使用されていたようです。
平城京の土塀は版築造で再現されており、構造設計もされています。
 
一般的に壁厚が50cm以上あり、伝統的な中層住宅の1階の壁厚は1M近くになります。
しかしこれほど厚い土壁の場合、断熱性は厚さ分だけ高くなるわけではなさそうです。
(実験住宅による実験結果です。)
広く世界中の伝統住居で用いられています。
中でも中国の客家の土楼は有名です。
ドイツには約200年前に建てられた7階建てのビルが健在です。
現代でも多くの建築家が版築造の建築を手掛けています。
 

版築造の例:〇〇土楼

↑版築造の例:〇〇土楼
 

練り塀とはどのようなものですか?

 
実は私もまだよく理解していない分野ですが、粘土を塗り重ねて作る自立した壁のようです。
塀に使用されることが殆どですが、中には建築の外壁面にも使用されています。
小舞などの骨を使わず土だけで壁を作ることができます。
土だけでは弱いので石や瓦などを挿入することがあります。
これは土の量を減らして安く仕上げるためとも言われます。これから勉強します。
 
 

練塀建築の例:M家堆肥舎

↑練塀建築の例:M家堆肥舎
 

珪藻土と漆喰(石灰)との違いは何でしょうか?

 
珪藻土はかつて七輪に使用していたサラサラの粒子の細かい土ですから、それ自体で壁に付着できません。
必ず溶媒と接着剤との併用が必要になります。
水と混ぜれば塗ることができる石灰とは異なります。
この溶媒・接着剤がどのような物質を使用しているかが気になる所です。
本来のエコとは何か?という問題に突き当たります。
 
又、単位体積あたりの吸放湿量は高いかもしれませんが、室内環境に影響するのは吸放湿の総量です。
厚く塗る素材の方がより自然な吸放湿だとも考えられます。
また、珪藻土は限定素材であり、土や石灰のように地球上いたる所で採れる一般的な素材ではありません。
採取現場の環境破壊を考慮することも大切だと思います。
 

建築・都市設計インタースタディオ 笹木篤さんの土壁の建物・設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
土の教会

地元の木材による伝統構法の手法を用いた建築です。 建具はすべて木製です。
断熱材は無農薬米の籾殻を薫炭処理したものを使用しています。 100%自然素材です。
アトピー等のアレルギーをお持ちの信者さんもいたので、誰でも安心して使用できるようにしました。

鉄骨+土壁の家

規模の大きな個人住宅であり、コスト的にも恵まれておりましたので、それなりに希望は多くありました。一つ一つの要求に応えることと、大枠を決めて進めることは別次元の作業になり、そのやりくりに努力しました。

土壁の家-N邸

土壁の良さを知っていただくために実例を体験していただきましたが、それが一つの契機になっていたかもしれません。デザイン的にも居住性の面でも優れているということが理解され、方向性が固まったという感じでした。コスト面でかなり格闘しましたが、うまく射程距離範囲内に納まり、大変満足されています。

土壁の家-I 邸

木造土壁の良さや、設計の良し悪しについて知識のあるクライアントで、打合せはスムーズに進みました。設計者として苦労した記憶がほとんどない建物です。

 

ユーザー タイラヤスヒロ建築設計事務所 平 泰博 の写真

鎌倉の長屋 の竣工写真 その1 
https://www.taira-arch.com/works/kamakura-no-nagaya/ 

古材の扉を玄関の目隠しに使用しています。 

桟が壊れていた部分がありましたが、職人さんが綺麗に補修してくれました。 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□□
一級建築士事務所 タイラ ヤスヒロ建築設計事務所
T:090-6016-7288

M:info@taira-arch.com

U:www.taira-arch.com 

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

昨日、とある方からいただきました!

こちら。

掛川市の深蒸し茶なんです。

それと横にあるのは、信楽の紅茶なんですって。

掛川にお住まいということで、お土産でいただきました!

(信楽は身内の方のお土産)

夜に早速いただいてみたのですが。

とてもいい香りのお茶でした!

イギリスやフランスの紅茶も好きなのですが、

緑茶というのも、いいかもしれません。

もしかしたら。。これを機会に、

日本のお茶にもハマっていきそうです。

お茶や紅茶だということもうれしいのですが、

それ以上に、こうやってお心遣いをしていただけることが

何よりもうれしいです。

感謝です。

そうそう。

実は、ここ半年ほどかけて、自社のサイトを

リニューアル中です。

大きな方向性が固まって、いよいよサイトのデザインへ。

建築家としての軸は全く変わらないのですが、

雰囲気はずいぶんと刷新する予定です。

お楽しみに!

夕方からは、とあるメーカーさんと打ち合わせ。

現在設計中の住宅の断熱についてです。

実は、すごい快適さを実現するために、

新しいチャレンジをする予定。

チャレンジといっても、私が採用するのが初めて

というだけで、アブナイ内容ではありません。

一から説明いただいたのと、気になる点について

しっかりとお話伺えました。

知ったつもりで、進めてはいけませんので。

新しいことは、しっかりと専門家にヒアリングしながら、

慎重に検討・採用していきます。

常に、最善、最適を目指して、日々勉強ですね。

I-2049、調査の際の同行(東京都在住・調査地は愛媛県)

ユーザー PIN の写真
投稿者: 
現住所‐都道府県: 
東京都
現住所‐郡市区町村: 
渋谷区
依頼内容: 

この度、文科省委託事業「効率的かつ効果的な学校施設の整備に関する事例集作成業務」に関する現地視察と言う案件があり委託事業会社の者です。弊社は東京にありますが、上記につきまして「愛媛県松山市立**中学校」での聞き取り調査に行く際、地元の「1級建築士」の先生にご同行をお願い致したくご連絡させていただきました。事例集作成の為、全国より11か所の小中学校が選定され愛媛県からは「松山市立**中学校」が選ばれてました。教育委員会、行政、施工会社の3者からのヒアリングに2hのご参加をお願いいたします。ヒアリングの参加と弊社担当者が学校設備の写真撮影する際のサポートをしていただく業務となります。学校設備調査は、子どもの安全を守る社会貢献に繋がる案件ですので、ご協力いただけます建築士の先生がいらっしゃいましたら是非よろしくお願いいたします。報酬や詳細につきましては別途ご連絡させていただきます。
 
1/30(水)or 2/4(月)松山市立**中学校
時間調整中です。
 
何卒ご検討下さいますようお願い申し上げます。
 
 
建築家の所在地について:
同じ都道府県・近県の建築家を希望する
 





軒並の小径

●設計事例の所在地: 
兵庫県芦屋市
●面積(坪): 
36.2
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

細い袋小路状の通りに面する、夫婦とその子供2人のために計画した延床面積33坪ほどの小さな住宅の計画。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

敷地は、兵庫県芦屋市の南に位置する。六甲山から芦屋浜へと注ぐ芦屋川の砂質土が堆積してできた扇状地と推測され、やや海に近い場所である。そのため地盤は若干軟弱ではあるが、芦屋の中では、比較的起伏の少ないなだらかな地形が形成されている。大きな通りから見ると、歩道から10mほど分岐した42条2項道路に接する。道路入口で幅員は2mを切る狭さで、重機類もほとんど入ることはできない。従って、当初から建て方も手上げになると想定し、大きな材がでないよう、できるだけ細切れなボリュームで計画を行った。結果として、4つに分けて棟を連続させ、施工性やローコスト化に配慮し、現状のヒューマンスケールな街路に沿って、両隣の建物と一体となって軒を連ねる形状をとっている。さらに、路地裏的な雰囲気をより強調する為、又、南側に出来るだけ広く庭を確保する為、天空率で道路斜線の緩和を受け、北側の道路境界際ギリギリまで建物を寄せている。そのため、道路幅員は法的に求められた拡張に対応しながらも、後退前の両隣の既存不適格建物との外壁面は綺麗に揃っている。ここで、分割されたボリュームのそれぞれに対し、道路斜線に抵触する箇所を中心に、天空率が有利に働くよう其々の棟の高さの再検討を行った。周囲に住宅が密集した地域であることから、開口部も、隣の家と重ならないよう、建物と建物の間に隙間が空いているところは、その余白を狙うよう調整している。道路に迫った建物は、通りに対し威圧的にならないよう、ファサードの南の空地や空へ向けて開きながら、ピロティやハイサイドライトをリズム感をもって配置してゆき、太陽の直射光の明るさと視線の抜けを北側道路まで引き込んだ。また、高さの異なる軒を連続させると共に、外壁のテイストも周囲と合わせることで、周辺環境との同一化を計っている。こうして1つの住宅の装いが、その場所の風景をなぞらえたかのように、街並みの中に上手くフィットしながら、狭い袋小路の環境全体を、より整った自然な様相へとアップデートすることができないかとス試みた。

その他の画像: 

ホール

吹抜

書斎

階段

ダイニング

和室

外観

夜景

¬(サシガネの家)

●設計事例の所在地: 
広島県廿日市市
●面積(坪): 
30.8
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

土地区画整理事業による換地処分の公告があったばかりの敷地だった。従前、辺り一帯の多くは農地で、そばにある浜側に抜ける大きな県道も開通したばかりだ。計画の始まった当初、西側に接道する区画整理道路以外、隣接する宅地にはまだ何も出来ていなかった。意匠を計画するための拠り所となるものも周辺にはほとんど感じられず、敷地に備わった文脈も面白いほど奇麗に清算された印象を受けた。そのせいもあってか、点在する出来たての住宅の影が妙に薄く感じられた。この、だだっ広く整然とした場所に建つ小さな住宅に、新しい街の風景の一部として、なにか特別な表情が与えられないかと、プロジェクトは始まった。建物の平面は、均質な矩型の区画割に対する素直な計画に反し、道路に向かってペン先を立てたような形状となっている。そのため、外観から建物の奥行きや大きさを直ちに察知することは難しい。南側から見ると、道路斜線ぎりぎりで折れ曲った、切妻屋根と一体のサシガネ型をしたヴォリュームが、桁行方向に東側に伸びてゆく。この、地表から伸びる板と鋼板のヴォリュームにプライベートな空間を配置し、その下に開放された白い箱を挿入した。白い箱の中にあるリビング・ダイニングのプライバシーは、南側に広がる「イチジク宅地」に植えられたイチジクの木によって、仮に守られる予定とした。区画整理後、地目を農地で維持するためにカムフラージュされた、畑にも宅地にも見える隣地の借景である。結果、庭は南側へ私道を越え、イチジク宅地まで拡張されている。将来、樹木が育てば、背後にそびえる中国山地と、手前のイチジク宅地の間に、サシガネ型の塊がすっと差込まれた佇まいが育つ。
土地区画整理事業も終わり、周囲の開発の加速度は増す。このサシガネの下で、これからどのような物語が育まれてゆくのだろう。美しい山脈を背景に、街の一部として変化してゆく過程を見続けるための小さな家。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

ふかされた外壁面で呼吸する
杉板の外壁は、メンテナンス性を考慮して、開口部や雨樋、設備などの収まりと一切からまないようになっている。突付けた杉板を押縁でビス止めした壁材の自由度は高い。柔軟に取り替えが可能なことで、木造住宅の持続が保たれると考えているためである。また、大きくふかされて貼られた結果、下階の吹付けに庇の役割を果たすと同時に、長雨で木材が吸湿しても、躯体まで届かない程度の距離を保ち、木建廻りなどの水染も防いでいる。湿気をよせつけにくい、躯体にも優しい構造である。室内の換気は、極力機械に頼らない方法を採用し、リビング・ダイニングの大きな開口から吹抜けを介して寝室に抜ける方向性を持つ、自然で心地よい空気の流れをつくることを試みた。給・排気は、基本的には第3種換気法であるが、外壁を貫通して給気を得るような従来の方法ではなく、壁及び屋根の面内を一度通過するような長い給気ルートをとっている。板貼の外壁の裾から入った外気は、軒先にある屋根と壁の継ぎ目に走らせた細いスリット状の給気ラインから室内に取込まれている。これにより、冬期は外壁面で壁熱を取得し、重力換気によって壁体内にできる気流から、温まった空気のみが室内に入って来る。逆に夏季は、広い中空層によって壁体内や屋根内での熱の伝達を抑え、外壁と躯体表面の温度差により幾分冷やされた給気を得ることで、室内側の温度上昇率を下げている。

その他の画像: 

玄関

外観

リビング・ダイニング

エントランスホール

和室

子供室

寝室

吹抜

夜景

どんつきの家

●設計事例の所在地: 
兵庫県神戸市
●面積(坪): 
35.5
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

昭和40年に建てられた、築年数52年の格安中古物件のリノベーションプロジェクト。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

長く狭いアプローチの奥にある、閉鎖的な旗竿型の敷地に建つ木造2階建の住宅の周囲には、南側の僅な余白を残し、隣接建物がぴったりと囲んでいた。既存建物は、内部も小さく間仕切られ、昼間でも真っ暗に近い。また、幾度かにわたる改修や増築の跡も多く見られた。この継接ぎ感のある陰気で息苦しい室内を、明るく開放的な居住空間に整理するために、まずは、南面した既存開口部を最大限活かし、建物の奥まで採光を得るよう、適切な位置と大きさで吹抜けをつくるプランニングを行なった。さらに、解体中に湧いたもう一つの課題として、「どんつきの敷地」内にある「どんつきの部屋」の集合であることも、この住宅の計画上の問題点だと捉える。解消策は、終わらないシークエンスをつくることだ。部屋を抜けると部屋に出る、ぐるぐる回る、さらに進んだ「どんつき」の最終は、予備室を除き外部となるような見せ方を意識した。南側ファサードの土間に面した全ての掃き出しの開口を、建物へのアプローチとして捉え、1階のリビングからはじまった回遊性を、吹き抜けを介して2階にまで連続させるよう試みている。結果、2階の個室の建具にも可変性を持たせ、水回りを中心としたコア型のプランとなった。この、エンドレスなシーンを統合する一つのエレメントとして、構造的な要素としても働く2階の筒状の箱が、住宅の中心性を担っている。
思い返せば、この箱の位置が正確に決定したのも、工事が始まった後である。古い建物の改修では、工事を進めながら、その場に応じた柔軟な判断が必要だと考えている。被覆を剥がせば、その躯体にあらたな生命を感じることもある。既存建物の潜在的な価値をうまく利用し、未来に繋ぐことが建物の持続可能性を考える上で必要不可欠なことだと思う。しかし、造りながら考えていくプロセスが、制度上なかなか難しいことも実状の問題であろう。かと言って、簡単に安楽死させるわけにはいかない。

その他の画像: 

サンルーム

玄関土間

キッチン

子供室

書斎

リビング

ダイニング

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