●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など):
築100年以上の地域の名家は数年前より空き家となっていました。
近所に住まわれていた住まい手にとって、この家は小さな頃からの憧れでもあったそうです。長屋門に繋がる納屋と蔵を持つこの家は、その昔、庄屋さんだったそうです。住まい手さんは年貢として米が持ち込まれていたのを覚えているとも、話して下さいました。
そんな憧れの建物の行く先を重んじた住まい手は建物への憧れと場所が持つポテンシャルに魅せられ、母屋を自らの住まいに、蔵や長屋門、納屋などを地域活性化の拠点とすべく屋敷を購入されました。
築100年以上と伺い、少し構えていましたが、内部を詳細に調査してみると、30~40年ほど前に大きくリフォームされた痕跡があちらこちらからに見受けられました。
コンクリートの基礎が打たれ、和室の設えも、その頃に一新されたようで歴史的価値を生かした形の工事とすることも考えましたが、その面影を伺えるのは、かろうじて構造体のみです。であるなら価値の無い造作は一新し、今様に暮らしやすくすべきとの判断を下しました。
母屋の南側には、使用時間の長いリビングダイニングキッチンを設け、北側には三間続きの和室を設けました。東側には水回りを設け、その近くに寝室を配置して生活動線がコンパクトになるようにしています。
母屋の南側には主庭を整備し、玄関前の東側と和室から眺める北庭も整えました。