テラスより錦江湾を望む
夫婦二人の終の棲家を建てたい。錦江湾の反対側にある開聞岳を見て過ごしたい。
過去の住宅写真を見て決定されました。
平屋の建物ですが、回遊性を持たせたり、屋根裏部屋をつくったりしてプランが単調にならないようにしました。
アプローチ
リビングよりキッチンを見る
リビング。左の窓から錦江湾を望む
キッチンより錦江湾を望む
和室。和室の窓からは桜島が見える。
ダイニング。明るく景色のよい場所。
このあいだ竣工した「旗竿地のコートハウス」のアプローチ奥の玄関軒下には、溶融亜鉛メッキ仕上げにされたアルファベットの「A」に似たスチール製のパイプを鉄工所で製作してもらい設置しました。
ちなみに太いスチールパイプ部分は、厚さ2.3ミリ、60.5φで、細い部分は、厚さ2.3ミリ、32φです。
これは、ご主人が所有されているバイクの盗難防止用ポールで、専用キーでロックします。
ベースプレートとアンカーボルトは、土間コンクリートの中に埋め込まれているためとても強固で頑丈です。また、スチールは錆びにくい溶融亜鉛メッキ仕上げになっています。
こういう建て主さんからのご要望に応えられるのは、設計事務所ならではないでしょうか。
西側道路より望む
道路に囲まれた土地ですので、多くの方は外からの視線を気にされると思うのですが、敢えて外に開くことで、近所の方や通行人の方と良好な関係が築けるだろうし、側道は幸いにも車は通らないので、そこを庭として建物に取り入れることでこの狭い土地で豊かな暮らしが実現できるはずだと考え、今のカタチになりました。ただ、室内からの景色は道路や高速道路しか見えず、景色から自然を感じることは無いので、室内の仕上げを節のある構造用合板をそのまま用いたり、浴室を板張りにしたり、トップライトで空だけを感じたりすることで、それを解決していこうと考えました。物干場は外部だと排気ガスが気になったため、バルコニーも設けず、脱衣室を珪藻土で仕上げ、物干場として使えるようにしています。
公園側から望む
道路より1m高い敷地は西側に公園があり、空を含めた最高の景色が望めます。クライアントがこの敷地で望んだのは、プライバシーが守られながらもその景色を大事にした家でした。土間、木、石など和の素材を好まれ、真四角のハコではなく、下屋や軒が深い家を強く希望されました。 1mの高低差をコンクリートの擁壁で処理するのではなく法面のままとし、そこにウッドデッキとルーバーを設けることで公園とゆるくつながりながらもプライバシーを保てるように解決しました。杉板貼りの深い軒からつながるリビングの勾配天井越しに見える空や、リビングに鎮座するムロの大黒柱、無垢の素材感を大事にした杉のフローリング、サワラ板貼の浴室、御影石貼の土間など和のテイストを随所に散りばめられた公園との距離感が程良いおおらかな住宅となりました。下屋と屋根との勾配を変えることで、大地に力強く根付く印象を与え、公園側から見るとより大きな印象になるよう工夫しています。
2階LDK
南側に3階建住宅が建つ、前面道路の狭い敷地でクライアントが望んだのは開放的で明るいガレージ付の住まい。南側は庭などのために空間を設けるのが定石ですが、この住宅では建蔽率のメリットを生かし、目一杯に寄せています。1階の採光は平面的には望めないため、各所に「光の筒」を挿入することで、空間に立体的な明るさを求めました。また、それと同時に1間(1820mm)2階部分を跳ね出すことで、狭い北側をすこしでも広く使いながら、2階の空間を確保しています。広がった建物は「光の筒」により光が降り注ぐと共に、視線が様々な場所で交わることで、家族の気配を感じ、筒を自然と見上げてしまうことで、開放感を得られるように考えました。
メインファサード
道路斜線制限によりあまり高い建物に出来ないため、1階を半分地下に下げることで、タテの空間を確保できるようにし、その半地下部分により生まれた段差をリビングとダイニングにも活用することで空間を柔らかく仕切っています。コンクリート打放しの壁や造作のキッチン、浴室、各所に散りばめられたタイルなど、クライアントの個性がたくさん詰まった、空間変化に富んだオウチとなりました。
LDKのスキップフロア
東側に6階建のRCマンション、南側には2階建の母屋がある敷地に対し、できる限りの日当たりを求めるため、南北に分断させた5層からなるスキップフロアを採用しました。さらには、ロフトやくら収納などのボーナスフロアを最大限に活用することで、コストを抑えながら3階建に近い床面積を確保することを可能にしています。家族の一員である猫の遊び場にもなる吹抜はマンションと母屋のわずかな隙間からの光を、西側に向けたバルコニーからは風を取りこめるよう配置。クライアントのこだわりでもあった自然素材をふんだんに使いながら、けっして広くない敷地にスキップフロアによる豊かな空間が広がったのではないかと感じています。
和室をリノベーションしたリビング
母屋の横に建つ、祖母が暮らした築10年程の住宅を孫が家族と暮らすために増築・リノベーションした住宅です。母屋との間にある中庭を暮らしのなかに取り込めるようにLDKを配し、大きな屋根の懐を利用することで、空間に広がりを与え、陽あたりの良くない北側には、坪庭と、浴室の大きな窓によって、明るさと彩りをもたらせました。
南側の風景を一望できるリビング
のどかな風景に囲まれた高台に建つ住宅です。田舎のようでありながらも、建蔽率30%、容積率50%という法規制のため、敷地に空地が必然的に生まれるのが特徴的な場所でもあります。その敷地に南側隣地が建築前ということも考慮しつつも、「南側の風景を大事にした家」をコンセプトに計画しました。軒の深いリビングは南に梁を見せながら伸ばすことで、外を内に取り込むと共に、外と内との一体感を持たせました。和室を含めた個室はすべて南に向け、2階は屋根に乗れる程の大きめの窓を設置し、景色を感じられるよう工夫しています。バルコニーも防水が施されたものでなく、木で製作することで、全体の雰囲気を損なわないよう配慮しました。また、仕上に桧の床や真壁の珪藻土などを採用することで空間に落ち着きと懐かしさを求めています。
傾斜地のメリットは傾斜地ならではの唯一無二の住空間を手に入れることができることです。 傾斜地について市原忍建築設計事務所 市原忍さんに伺いました。
工務店から傾斜地における建売住宅の企画・設計を依頼されたことがきっかけです。
メリットは傾斜地ならではの唯一無二の住空間を手に入れることができることに尽きると思います。また周囲と高低差がある場合は、眺望や採光・通風の条件が平地と比べて良くなります。 デメリットとして挙げられることの多い「工事費が高くなること」や「平らな庭をつくりにくいこと」については、アイデアと設計力で解決できることも多々あります。 しかし設計者が介在しないとその見通しを立てにくい点がデメリットと言えるかもしれません。
計画地ばかりに目がいきがちですが、隣地との高低差や既存擁壁の仕様など、周囲の状況を十分に確認することが大切です。隣地に大きな高低差や安全性を有しない擁壁があると配置計画の自由度が低くなります。
敷地の大きさや傾斜角度などにより基礎の形状が大きく変わりますので、お答えするのが難しい、というのが正直なところです。いずれにしても安全かつ廉価な基礎形式を採用します。
造成費のなかでも残土処分費が高くつくため、切土と盛土の量を敷地内で相殺できるような計画をたてます。
まずは擁壁をつくらなくても良い方法を探すところから始めます。 擁壁が必要な場合は、自立した擁壁をつくらなくても済む方法を検討します。基礎と土留めを一体的に設計したり、最下階をコンクリート造とするなど、建物の一部が擁壁の役割を担う形式を採用すると工事費を軽減できます。
注文住宅では予算が潤沢にない場合、お施主様の要望により外構工事を後回しにする傾向があります。その点、建売住宅は建物と外構を一体的に計画しやすいので、傾斜がより魅力的に映るような造園計画を心掛けています。
機会があれば是非とも挑戦したいです。
まずは直観でこの敷地・眺望を手に入れたいと感じるかどうか、がポイントだと思います。土地購入の動機が消極的な場合(平地よりも価格が安いから購入など)は、あるいは後々おとずれるかもしれない問題に取り組むのが大変です。 傾斜地は建物の完成イメージを描きにくいため、設計者に助言を求めることも有効な手段です。理想の住宅を実現するまでの道のりが、平地に建てる場合と比べて大変ですが、その分、完成したときの喜びもひとしおです。
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写真:太田拓実
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