●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など):
私鉄ローカル線の駅前で近年宅地整備がなされたばかりの敷地に、住居、アトリエ、書庫が一体となった建築の計画である。デザイナーである建築主が要望したのは、最低限の生活が確保できる住宅部分、スタッフと自身の作業場が分離されたアトリエ部分、そして現在まで描きためた膨大な量のデザイン原画を保管する為の書庫であった。そこでまず下階を住居、上階をアトリエとする2層構成とした上で、中間階として約10畳の広さを持つ書庫を挟みこんだ。その結果、書庫を含む天井の低い3層部分と天井の高い2層部分が一つの建物の中で入れ子状に混在することとなり、挟み込まれた書庫によって押し出されたように現れた上下階の凹凸は、天井高や床レベルの変化を生み出し、各ボリュームに適した機能空間を適宜対応させることによって、コンパクトではあるが非常に変化に富んだ内部空間となっている。