家事や育児がしやすい家・アトリエ橙 奥山裕生さん・オープンハウス見学レポート

外観

東京都練馬区に自宅兼ショールームである「アトリエ橙」を構えた、奥山先生にお話をお伺いしました。
ご自身の経験をいかした「家事や育児がしやすい」家づくりとはどんなものなのでしょうか?
 
自宅兼ショールームでお話をお伺いしてきました。
 

設計者

家族3人で暮らす「大人が住む家」

こちらのショールームのコンセプトをお聞かせください

こちらの家のコンセプトは「大人が住む家」です。
夫婦と高校3年生になる娘が暮らしており、1年前の2016年に完成しました。
この土地が気に入った理由としては、「利便性」と「フラットで素直な扱いやすい土地であること」ですね。
探し始めて1~2週間で見つけました。
設計には約8ヶ月、工事には約6ヶ月程度掛かりました。
普段は土地探しからお手伝いをさせて頂くことが多く、小さなお子さんをお持ちのファミリータイプを手掛けることが多いです。
 

「家事や育児がしやすい」家づくりの工夫

「家事や育児がしやすい」というのが家づくりのひとつのテーマと伺ったのですが

リビング

そうですね。
私は家事を大切に考えていて、掃除がしやすい住まいづくりに取り組んでいます。
収納が多いのは、外に物をださないで済むように、散らからないように考えた結果です。
物が床に散らばっていなければ掃除はすぐに終わってしまうものですよね。
収納計画をしっかりと立て、手が届かないところや掃除がし辛い所をなくすことが重要なポイントだと考えています。
 

収納でどなたでも取り組めるコツはありますか?

例えば、リビング・ダイニングの机の上は、散らかりやすい場所のひとつだと思うのですが、我が家では収納ケースにラベリングをして戸棚の中にしまってあります。
薬や文具などを収納して一目でわかるようにしているんです。
こうした工夫は、まず収納したいものを全てリストアップするところからスタートします。
しまう場所を決めてしまうことで、掃除がしやすくなるだけではなく、物を探す時間を省くことができるのもメリットです。
 

アイロン台専用の収納があるそうですね

アイロン台収納

妻から要望があったのですが、スタンドをたたまないで収納できるアイロン台をキッチンの横に設置しています。
調度リビングが見渡せる位置にあり、家事をしていても孤独を感じることが無いように配慮をしました。
妻も喜んでくれています。

本当に家事が楽になりそうな工夫が詰まったお宅ですね

勿論収納だけではなく、家事導線にもこだわりを持っています。
キッチンからバスルーム・洗面台、そしてベランダまでが直線になっているので、家事のために無駄な動きが必要ないんです。

小さなお子さんがいるご家庭ではどんな工夫をなさるんですか?

実は私は、娘が生まれた頃に主夫をしていた経験があるんです。
その経験をもとに、例えば小さなお子様がいるおうちではリビングの片隅に小上がりの畳スペースを作って、兄弟の具合が悪くても、そこに寝かせてもうひとりの面倒をみられるように配慮をしています。
家づくりというのは、その方の生活や価値観に対して「共感」が必要だと考えているんです。
嬉しいことに、こうした経験をいかしたアイディアが、「そこまで分かって貰えるんですね」という感謝の声に繋がることが多くあります。
 

随所に工夫がちりばめられた家

こちらの家の特徴を聞かせてください

3.75畳個室

この家の特徴としてひとつに1階に3人の個室をそれぞれ設けたことが挙げられます。
広さは3.75畳程度なのですが、作り付けの棚やベッドを設置したり、ウォークインクローゼットがあったりするので使いやすいと思います。

個室の照明はスポットライトなのに明るいですね

私は照明も大切にしていて、「必要なところに必要な明かり」を考えて配置しています。
間接照明を使用している箇所も多いのですが、照明は全てLEDです。
以前はLDKで60平米のマンションに住んでいたのですが、80平米3LDKのこちらの家でも電気代は同じかそれ以下なんです。
電化製品は新しくしましたが、エアコンは1台から3台に増えているんですけどね…。

リビング

リビングも特徴的ですね

リビングが7.5畳、ダイニングが10.5畳あるのですが、ソファを置かないで大勢が集まりやすい「サンクリビング」を採用しています。
サンクとは「沈み込む」といういみで、画像のように段差を設けてり、座り方の多様性を演出したリビングになっています。
大人でも7~8名であれば座ることが出来ますよ。
 

ロフトはどうしてリビングが見える位置が空いているんですか?

ロフト

ロフトは映画館の2階席のイメージで、あそこからリビングのテレビを観ることが出来るんです。
大人の遊び心といったところでしょうか。

内装には自然素材が多く使われていますね

漆喰の壁やムク材のフローリングなど、住む人が健康でいられるように自然素材にもこだわりを持っています。

つけて良かった設備と、こんなものがあったら良かったと思う設備をお聞かせ下さい

床暖房は良いですね。
現在は特に不満はないので、つけておけばよかった設備は浮かびません。
 

外装も素敵ですね

外観・夜景

ありがとうございます。
道路側をすっきりと見せるために、エアコンの室外機を道にはおかないようにしました。
壁には、アクセントで木のルーバーをつけてみました。

家づくりで気になることを聞かせてください

先生のお考えになる、家づくりで欠かせないポイントを教えてください

「ローコスト住宅」という言葉が独り歩きしていますが、お金をかけるポイントがあります。
「断熱」「機密」そして「構造の安全性」は、しっかりとお金をかけておきたい所です。

お施主さんは、どういう経緯で先生の所に来る方が多いですか?

ホームページを見て下さったお子さんをお持ちのファミリー世帯が多いですが、若いご夫婦のご相談も多くあります。

立ち入ったことをお伺いしますが、平均の工賃を教えていただけますか?

土地代や設計費は別として、平均の工賃は約2,200万~2,600万円前後が一番ボリュームが多いです。
土地や予算か決まっていない方もいらっしゃるので、ローンのアドバイスをさせて頂くケースも多くあります。
そうした相談が「ひとつの窓口」で出来ることに、魅力を感じて下さる方も多いです。

今回拝見させていただいた自宅兼ショールームですが建築しようと思ったきっかけはありますか?

設計事務所はモデルハウスがないですよね。
自宅であればいつでもハウスメーカーのように、建築事例をお見せすることができるのが良いと思いました。
事務所は別にあって、普段はそちらで仕事をしています。

一般の方も見学は出来るのでしょうか?

年に2回の公開日御設定している他、ホームページ経由でメールをいただければ、個別で対応することも可能ですので、お気軽にお声がけください。

一つひとつの質問に、丁寧に答えて下さった奥山先生。
ヒアリングを特に大切にしていらっしゃるそうで、打ち合わせの平均は15~20回にもなるそうです。
「落としどころを探して、何回も一緒に考えるようにしているのです。
 無理に着地させないで、ご納得いただけるまで一緒に考えます」
と教えててくださいました。
ゼロからのスタートでも、安心してご相談できるので、家づくりをお考えの方は是非、奥山先生のショールームに足を運んでみてください。

あおみ ゆうの

ライター:あおみ ゆうの
制作集団ことのは代表。3人の子どもと一緒に、毎日楽しく過ごしています。