既存の躯体はそのまま活かした劇場・荻原雅史建築設計事務所 荻原雅史さん


劇場の設計では観客と演者双方の動線計画が非常に重要となります。
劇場について荻原雅史建築設計事務所 荻原雅史さんにうかがいました。

お話を伺った建築家

 

ユーザー 荻原雅史建築設計事務所 荻原雅史 の写真
中野区本町6-44-3-101
03-6454-1427

貴社が劇場をてがけるようになったきっかけを教えて下さい

 
若葉町ウォーフは知人と協働で設計をおこなわせていただいたのですが、もともとのきっかけは、地元で開催した建築展をクライアントが観に来てくださって、若手で面白いのがいると興味を持ってくださったのがはじまりです。
 
学生時代は関西にいたのですが、アルバイトで大阪城ホールや旧京都会館でコンサートのアルバイトスタッフをしていたこともありますので、劇場への思い入れは格別にある、依頼頂いた時はことのほか嬉しかったです。

劇場の平面計画で注意している点を教えて下さい

 
観客と演者双方の動線計画が非常に重要となりますので、細心の注意を払って計画をするようにしています。
劇場とひと括りにいっても様々な形式がありますので、どのような劇場の形を望んでいるのかクライアントと綿密な打ち合わせを行うようにしています。
 
周囲との関係でいうと意外に重要なポイントとなるのがバックヤードの出入口をどこにもってくるのかが腕の見せどころです。
立地条件にも拠りますが、メインストリートは顔になる部分ですので配置は避けたいですし、かといって機材の搬出入などもありますのであまりに狭い路地からのアクセスも使い勝手が悪くなってしまうと思います。

 

劇場のファサードで注意している点を教えて下さい

 
やはり劇場は多くの方に来て頂く場所ですので、アイコンとなるような独自性が必要だと思います。
それは単に奇抜なものをつくるということではなく、地域の文化や周囲の景観と調和しつつも、素材や外壁や屋根の形状でオリジナリティを持たせることが重要だと考えます。
最終的には、劇場のデザインが地域のアイデンティティになるようなものをつくりたいと思っています。
 
また劇場の看板や照明も含めたトータルデザインが必要になると思いますのでグラフィックデザイナーや照明デザイナーなど専門家の方々も交えた計画がひとつのポイントになってくるかと思います。

劇場の内装で注意している点を教えて下さい

 
劇場内部では、やはり音響計画が一番重要です。
劇場形式にも拠りますが、音響特性を最大限に引き出すために、壁や天井の形状、素材、吸音・反射特性について注意を払っています。
あわせて劇場外からの音を遮断し、また劇場内の音が外に漏れないように遮音性能にも十分に配慮します。
 
座席に計画ではステージの視認性についても当然注意が必要です。
固定座席の場合は観客が舞台を見えやすくなるよう、座席の傾斜や配置の検討が必須です。
柱などの視界を遮る障害物を避けることも重要ですので初期の段階から構造設計者との綿密なやりとりも必要になってきます。
 
またホワイエなどの待合の空間は、観客が劇場に入る前後にくつろいだり、歓談したりするスペースになりますので、劇場全体でのデザインコードを踏襲しつつも、落ち着いた雰囲気が提供できるような木などの柔らかい素材の選定も時に必要だと思います。

法律上、注意する点がありましたら教えて下さい

 
計画の規模や内容にもよりますが、劇場は不特定多数の方が利用する施設になりますので、基本的に建築基準法別表第1(1)項「劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもの」に該当し特殊建築物になります。
 
そのため、耐火性能や避難の安全性確保、消防法上の消火設備の設置などの要件が厳しくなりますので事前に関連各署との綿密な協議が必須になります。
 
また劇場や映画館は住居系地域の環境を害し、工業の利便性を妨げるといった観点で法律上取り扱われているので、基本的に商業系の地域か準工業地域でのみ建築が可能となりますので、計画候補地の用途区分を事前に確認しておく必要があります。
ただし、規模が200㎡未満のものについては、準住居地域での建築も可能となりますので小劇場やミニシアターなどの計画は当該地域でも計画できます。

若葉町ウォーフで工夫した点を教えて下さい

 
若葉町ウォーフは元々銀行だった建物を改修した事例で、かつ簡易宿泊所など他の機能を併設したプロジェクトでしたので、既存の躯体はそのまま活かし、各用途が成立するように調整するのが大変でした。
敷地はたまたま角地で2面道路に面していたので、劇場への動線と宿泊者の動線をうまく分けることができました。

若葉町ウォーフは改修のようですが、劇場の新築設計もやっていただけますか?

 
勿論対応可能です。劇場には、法的なことだけでなく音響やバックヤードなど専門的な知見が必要なことが多くあり、弊社のこれまでの経験が活かせます。
 
また劇場というと少し敷居が高い印象を持ってしまいますが、公共の大規模な劇場だけでなく、地域の拠点となるような小劇場や舞台のプロジェクトなども対応可能ですのですので、ぜひお気軽にご相談ください。

劇場を建てたい方・改修したい方にアドバイスがあればお願いします

 
設計のフェーズも重要ですが、設計の前段階にあたる計画段階や、建物竣工後の運営段階の計画も非常に重要です。
計画段階では、立地選定やニーズ分析、資金計画が非常に重要です。
劇場という用途の性質上、立地する地域の文化活動や街の雰囲気も踏まえた計画が必要になるでしょう。
 
また運営段階では、地域との連携、プロモーションやマーケティング、劇場のメンテナンスや更新性について考慮した計画立案が必要になってくるかと思います。

貴社に設計・監理を依頼できるエリアを教えて下さい

 
日本全国で対応可能です。
また海外のプロジェクトも条件が合えば対応可能です。

荻原雅史建築設計事務所 荻原雅史さんの劇場・設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
若葉町ウォーフ

「ひとが集まる ひとが出会う ひとがつながる」
横浜市中区若葉町の街並みに自然に溶け込んで見える、昭和の風情を残す築50年のビル。

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