近隣に迷惑を掛けずに音楽を楽しめるオーディオルーム・青井俊季建築設計事務所 青井 俊季さん
大型のスピーカーをしっかり鳴らすと、相当な音量、音圧が生じます。近隣に対して迷惑にならないよう、また、家の中の他の部屋にも家族の生活に支障が生じないように、防音対策が必要です
オーディオルームについて青井俊季建築設計事務所 青井 俊季さんに伺いました。
貴社がオーディオルームを手がけるようになったきっかけがありましたら教えて下さい
以前、私が事務所で実施していた月一度の「住まいづくり講座」を半年間受講されて、その後に設計のご依頼をいただいたお客様のご主人の方が大変なオーディオマニアでした。
「収集したオーディオ機器のコレクションを思い通りに並べて、大音響で鳴らしても近隣に迷惑を掛けずに音楽を楽しめるオーディオルームが欲しい。」
というご希望をいただいた事がきっかけでした。
オーディオルームで注意する点があれば教えて下さい
オーディオルームの設計で、私が基本的に配慮するのは以下の3つの点です。3点全てにおいて費用をかけて実現できるのが理想ですが、ご予算面の事情から必要最小限の仕様となる場合が多いというのが実情です。
- 防音
大型のスピーカーをしっかり鳴らすと、相当な音量、音圧が生じます。近隣に対して迷惑にならないよう、また、家の中の他の部屋にも家族の生活に支障が生じないように、防音対策が必要です。 - 音響・吸音
オーディオルームの本来の目的は、良い音で音楽を聴くことですから、スピーカーから出る音を良い響きで鳴らす部屋にしなければなりません。理想的には床・壁・天井の仕上材を全て天然木にして、床→スピーカー背後の壁→その他の壁→天井の順に柔らかい樹種にしていくといった手法が良いとされます。また、部屋の縦横の寸法比や天井高、天井の形状、適度な吸音のための吸音材の使用なども音響に関わる要素となります。 - オーディオを楽しめる室内環境
オーディオルームである以前に快適な部屋でなければ、長時間良い音で音楽を聴きたい場所にはなりません。部屋の温度・湿度・換気・通風・適度な採光や照明など、居住性を高める配慮も必要です。
オーディオルームの仕上げはどのようなものを採用していますか?
基本的には音響に悪い影響を与えない材料という配慮はしていますが、木造住宅の場合、防音のための下地にはコスト面から石膏ボードを用いることが多く、壁紙を貼ったりそのまま仕上材として見せる天然木の合板を採用したりしています。
オーディオルームの費用はどれくらいでしょうか?
防音などの機能、仕上、音響、設備など、様々な要素に一般的な部屋をつくるよりも費用がかかります。
お客様と細かな相談をしながら、どれだけ費用が掛けられるか、家全体のコストとのバランスを考慮しながら設計を行いますが、通常の単位床面積あたりの単価よりも10~20%増以上の費用がかかると考えた方が良いと思います。
オーディオルームの防音はどのようにしていますか?
重低音を遮音するために最も効果的なのはコンクリートで空間を包むことですが、鉄筋コンクリート造となると高いコストがかかります。
木造の場合は、厚めの石膏ボードを2重張りにしたり、防音シートを下張りする仕様にしています。
石膏ボードや合板を張る場合、板自体が音により振動して壁内部で起きる太鼓鳴り現象を防止するため、下地の胴縁間隔を通常よりも狭くして、壁内部に吸音と断熱を兼ねた羊毛断熱材を隙間なく入れています。
窓まわりの防音はコストがかかりますので、コストを抑えるためには、窓を設けないか、なるべく小さな窓にして、窓まわりの気密性を高め、ガラスの厚さを厚くするなどの配慮を行います。
オーディオルームのある家で工夫した点を教えて下さい
この家のお客様は土地探しの段階からご依頼をいただいたので、オーディオルームを設置することにも適した、道路から1.5m高くなったこの敷地を探し当てることができました。
大音量にも対応できる防音室を、この高低差を利用して半地下方式にすることで、完全な地下室にするほどのコストを掛けずに実現できました。
防音室と玄関まわりを鉄筋コンクリート造、地上部分を木造とする混構造を生かしたデザインにバランスよくまとめ、総費用をご予算内に収めることもできました。
防音室の室内側には、吸音と断熱の機能を兼ねた羊毛断熱材を採用し、壁・天井の仕上材には白樺合板を用いて、音響レベルの向上とコンクリートの部屋でも木の温もりを感じられるように工夫しました。
↑オーディオルームのある家
オーディオルームのある家Ⅱで工夫した点を教えて下さい
「オーディオルームのある家Ⅱ」では、ご予算面でさらに限られた条件でしたので、床面を50㎝ほど地盤面より埋め込むにとどめ、上部は木造でつくりました。
壁は厚めの石膏ボード2重張りとして、スピーカーの背面は針葉樹合板張り仕上としています。
合板張りの反対側の壁には一面の木製棚を造り付けとして、レコードや書籍を入れる事により、隣地側へのさらなる防音対策となるように設計しました。
また、このオーディオルームでは、建て主さんの拘りにより、音響に影響のある電磁波防止のための特殊な配線器具を使用しています。
↑オーディオルームのある家Ⅱ
地下のオーディオルームも設計していただけますか?
地下室は防音対策上非常に有利ですが、建築コストが地上よりもかかるので、ご予算に余裕があれば設計は可能です。
窓を設けにくい地下室への採光や、土に接する面の防水、湿気対策など、快適な居住環境の確保が課題になります。
オーディオルームをDIYで作りたい方のサポートなどもやっていただけますか?
既存の住宅などを改修してオーディオルームをつくる場合など、DIYのサポートは可能です。木材、仕上材、吸音材などの材料を直接購入するための支援業務、電気工事など資格が必要な作業を、専門業者への直接発注により費用を抑える発注調整業務など、通常のDIYリノベーションと同様にお受けしています。
オーディオルームのリフォームなどもやっていただけますか?
今お住まいの家をリフォームしてオーディオルームをつくったり、既存のオーディオルームの防音性能を高めたい、音響を良くしたい、居住環境を良くしたいなどのリフォームも可能です。
オーディオルームのある家を建てたいと思っている方になにかアドバイスがありましたら教えて下さい
土地を購入しての家づくりの場合は、土地探しの段階からご相談いただくことを、理想の家づくりのためにお勧めします。
どの程度本格的なオーディオルームをお考えか、それにどの程度の予算をかけられるか、家の中のオーディオルームの位置付けをどうするかなど、家全体の予算計画を含めて家族での話し合いを重ねながら、建築家と一緒に家づくりをされると良いと思います。
貴社の業務の対応可能なエリアを教えてください
事務所から車で概ね1時間までは、通常の料金で対応いたします。
それ以上の遠隔地の場合はご相談の上交通費等の経費をご負担いただければ対応が可能です。
ローコストでオーディオルームのある家を持つ方法があれば教えてください
今、リモート勤務等で田舎への移住希望者が増えていますが、お隣との距離が離れている空家をリノベーションしてオーディオルームのある家をつくれば、防音対策は最小限で済みます。
さらに、古民家のような昔の木造住宅の大きな空間をリノベーションすれば、無垢の木で包まれた良い音の鳴る部屋で心置きなく音楽を楽しむことができます。
私の事務所は都会にも比較的近い田舎の里山にあります。私自身はオーディオマニアではありませんが、事務所の隣にある古民家をリノベーションして、大きなスピーカーを鳴らして音楽を楽しんでいます。
https://aoitoshiki.com/works/old_fork_house/
京都の丹波地方と福井の若狭地方をメインに、空家探しからのご相談も承っています。
青井俊季建築設計事務所 青井 俊季さんのオーディオルーム・設計事例
画像 | 建物の名称 | 紹介文 |
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オーディオルームのある家 | 一番の主要なテーマは、理想のオーディオルームをどのようにつくるか、ということでした。その事を念頭に、数ヶ月掛けていくつかの土地を実際に見て歩いた結果、たまたま道路から1.5m高くなったこの土地が見つかりました。 | |
オーディオルームのある家-Ⅱ | ローコストでの設計になりますが、オーディオルームの防音を第一に考えて、まずは敷地の一番公園寄りに配置し、地盤面より50㎝ほど掘り下げています。 |
オーディオルーム・メニュー
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