錆びにくく軽量で耐震性に優れ、耐用年数が長いガルバリウム鋼板・三浦尚人建築設計工房 三浦尚人さん


ガルバリウム鋼板は錆びにくく軽量で、屋根にも外壁にも使える金属素材です。
一方で、素材そのものは断熱性と遮音性を持たないため屋根下地での対策が必要で、厚みや貼り方によって仕上がりも変わります。
ガルバリウム鋼板について三浦尚人建築設計工房 三浦尚人さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真
練馬区石神井町1-15-16-203
03-6326-2141

貴社がガルバリウム鋼板を屋根や外壁に採用するようになったきっかけを教えてください

 
設計事例にあります「中庭のある平屋住宅」で、屋根の勾配を出来るだけ緩くして水平を強調したかったため、耐久性に優れ、軽量かつ緩勾配が可能なガルバリウム鋼板を選択しました。
 
また、凹凸のあるプラン(間取り)だったため、凸部をアクセントとしてガルバリウム鋼板のスパンドレル材(角波型のガルバリウム鋼板)を採用したことがきっかけです。

ガルバリウム鋼板のメリット・デメリットを教えてください

 
メリットは、高い耐食性(錆びにくい)、軽量で耐震性に優れている、耐用年数が長い、縦ハゼ葺きや横葺き、一文字葺きなどデザインの選択肢がある点。
 
デメリットは、素材そのものは断熱性と遮音性を持っていないため、屋根下地の段階で十分な断熱材と遮音の対策を行う必要がある点。
 
また、ガルバリウム鋼板自体は錆びにくいが、他の金属からのもらい錆びや傷などから錆びが発生するケースがある点に注意が必要です。
さらに素材自体が薄いため、特に外壁で使用する場合には強い衝撃による凹みが生じる恐れがあります。

住宅に使うガルバリウム鋼板の厚みは何ミリが適切ですか?0.35ミリと0.4ミリではどのような違いがありますか?

 
一般的には、屋根と外壁共に0.35㎜が適切かと思います。たった0.05㎜の違いですが、強度や加工性、質感などが異なります。0.4㎜のほうが凹みや変形に対して強く、歪みが出にくい反面、より硬いため現場での手加工による折り曲げ等に技術力が伴うためです。

屋根と外壁でガルバリウム鋼板の厚みは使い分けていますか?厚みによって価格はどのくらい変わりますか?

 
特に屋根と外壁で厚みは使い分けていません。材料自体の価格差は、平米あたり数百円程度だと思います。

ガルバリウム鋼板の屋根は雨音が気になると聞きます。どのような対策をされていますか?

 
屋根下地あるいは天井側で吸音・遮音対策を行います。
吸音性に優れた密度の高い断熱材(グラスウール・ロックウール・セルロースファイバー)で十分充填する。
また、野地板の厚みを通常より厚くしたり、野地板の上に遮音シート(高密度ゴム系)や粘着層付き改質アスファルトルーフィング(遮音性能付きルーフィング)を施工する。

ガルバリウム鋼板の家は夏に暑いというのは本当ですか?暑さ対策を教えてください

 
誤解です。
 
金属素材自体は熱伝導率が高く、日射を受けると表面温度が上昇しやすい性質がありますが、現在では遮熱塗膜や断熱材と一体型の建材があり、通気工法と屋根断熱が標準化されているため、適切に施工されれば特に室内が暑くなることはありません。
 
効果的な暑さ対策としては、ガルバリウム鋼板には赤外線を反射する遮熱塗料が標準化またはオプションで塗布されている製品があるので、それを選択する。
 
もちろん、ブラックやネイビーなどのダークカラーを選択されても遮熱塗膜仕様を選択すれば問題ありません。
 
また、ガルバリウム鋼板の裏面にポリウレタンフォームといった断熱材が密着された製品もあり、それを選択するという方法もあります。
 
私がよく採用する方法としましては、上記の遮熱塗膜仕様のガルバリウム鋼板を選択しつつ、屋根と外壁において通気工法を採用することで、熱が室内にこもらないようにしています。
 
さらに、屋根直下や天井裏に厚みのある断熱材を隙間なく充填したり、遮熱透湿防水シートや遮熱遮音シートを屋根下地(野地板)の上に敷くことにより、輻射熱を反射させる方法もあります。

ガルバリウム鋼板とトタン(亜鉛メッキ鋼板)の違いを教えてください

 
どちらも薄い鋼板の表面をメッキ処理して保護した金属材料です。ただし、そのメッキ層の組成と耐久性に大きな違いがあります。
 
トタンは亜鉛のみでメッキしたものに対し、ガルバリウム鋼板はアルミニウム・亜鉛・シリコンの合金でメッキしたものです。
 
亜鉛が鉄の錆びを防ぐ防食作用の役割を持つ一方、アルミニウムが保護被膜作用の役割を持っています。
 
尚、現在ではSGL鋼板と呼ばれる、アルミニウム・亜鉛・シリコンにマグネシウムが加わった合金が主流になりつつあります。
 
亜鉛とマグネシウムが緻密な保護膜を形成することにより、従来のガルバリウム鋼板(GL鋼板)と比べて腐食進行を劇的に遅らせる効果があると言われています。

「旗竿地のコートハウス」では、外壁にブルーメタリック系のガルバリウム鋼板を採用されています。色や張り方を決める際に工夫した点を教えてください

 
建築主がガルバリウム鋼板という建材を気に入っていただいたこと、そしてカラーサンプルの中から私が勧めたカラーと建築主が好きなカラーがブルーメタリックと一致しました。
 
角波型のガルバリウム鋼板は縦貼りと横貼りが考えられますが、雨水が流れやすい点と途中で継ぎ目を設けたくなかったので、縦貼りを選択しました。
 
建材には標準長さが設けられており、コストや建築現場への搬入経路、デザイン等により貼り方(施工方法)を現場監督と板金業者とで検討する必要があります。
 
この住宅は2階建てで、高さ方向(縦方向)の途中で鋼板の継ぎ目(見切り材)を入れずにスッキリした外壁面にしたいという意向に従い、縦貼りにしました。

「狭小地に建つ木造三階建て住宅」では、排気ガスによる汚れを考えてガルバリウム鋼板を選ばれたそうですね。汚れやメンテナンスの面で、他の外壁材と比べてどうですか?

 
ガルバリウム鋼板は表面が金属で滑らかなため、ホコリや排気ガスなどの微粒子が付着しにくく、雨水で洗い流されやすいというメリットがあります。
 
また、吸水性が無いため、カビやコケ・藻が発生しにくく、日当たりの良くない北面や風通しの悪い狭小地でも外壁面を守るという利点もあります。

ガルバリウム鋼板は何年くらいもちますか?塗り替えなどのメンテナンスの時期と、長持ちさせるコツを教えてください

 
約15~20年ほど。
 
塗り替え時期の目安としては、窓廻りやその他のシーリング部分の劣化が気になる15年前後あたりに、外壁面の塗り替え(フッ素・高耐候塗膜)とシーリングの打ち直しを同時に行うことが適切でしょう。
 
工事には足場設置が不可欠なので、屋根や雨樋といった部分も合わせて確認して不具合箇所を修繕すると良いと思います。

ガルバリウム鋼板の仕上がりは職人の加工で差が出ると聞きます。きれいに仕上げるために、設計・監理で気をつけている点を教えてください

 
工事を請け負う工務店(現場監督)に板金工事は重要なポイントである旨を伝えて、技術の高い板金業者に工事をお願いする。
 
また、事前に施工納まり等について板金業者、現場監督と三者で打合せを行い、施工図を元に検討項目を共有する。

ガルバリウム鋼板の家を建てたいと考えている方に、アドバイスをお願いします

 
設計事務所や工務店にガルバリウム鋼板の特徴やメリット・デメリットなどを聞いて理解した上で選択すること(特に外壁で使用する場合、貼り方が様々あり、同じ素材であっても全く異なるので、この点については十分注意が必要です。もし、好みの貼り方や気になる貼り方の住宅があれば、一緒に見に行ったり、写真を撮って提示して共有すること。)
 
カラーについても光の当たり方等で色の具合や見え方が変わってくるので、サンプルで現場確認することが大切です。

貴社に設計・監理を依頼できるエリアを教えてください

 
東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県をはじめとする関東エリアを中心に全国各地

三浦尚人建築設計工房 三浦尚人さんのガルバリウム鋼板・設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
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