トップライト・インタビュー・中川龍吾建築設計事務所 中川龍吾さん


 
トップライトにより採光条件の良くない場所に自然光を導き入れることや、上昇気流を利用して自然な家の換気をはかることができます。
トップライトについて中川龍吾建築設計事務所 中川龍吾さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 中川龍吾建築設計事務所 中川龍吾 の写真
東京都練馬区関町南4-8-13
03-3929-7684

貴社がトップライトを手がけるきっかけがありましたら教えて下さい。

 
住宅を手がけるようになる以前は、美術館や博物館、文化会館といった施設の設計を手がけていましたが、そのような比較的規模の大きな施設では、トップライトやハイサイドライトといった手法で室内に自然光を採り入れることは当然のようにありました。
光を採り入れるだけでなく、法的な関係から排煙口としての機能を持たせることも多いものでした。
 
そのようなことから、住宅を中心に設計活動を始めてからも、トップライトにより採光条件の良くない場所に自然光を導き入れることや、上昇気流を利用して自然な家の換気をはかるといったことは、私にとっては特別なことではなく、むしろ設計手法のひとつとして自然に身につけていたように思っています。
 

トップライトをよく使用する理由を教えてください。

 
特に都内の住宅地では、1階には南から陽が入らない条件の敷地、南に庭を設ける余裕がない敷地、隣家が接近している為に窓からの採光が期待できない敷地が多くあります。
 
南北に細長く、南に面する部屋が1室とか2室しか配置ができない敷地も多いものです。
また周辺からのプライバシー確保や防犯対策といった観点からも外壁面に大きな窓を設けたくないといったケースも多々あります。
 
光を採り入れるための中庭を設けることも解決策ではありますが、そのような庭を設けるのも敷地や予算にゆとりがなければできないものです。
 
そのような場合に、家の中で薄暗くなりがちな建物の中央部や建物の北側にトップライトを設けることにより、家の広い範囲に自然光を採り入れるものとしてトップライトは非常に有効な手段だと考えています。
 
トップライトからの光は窓から入る光の量の4倍、つまり1ヶ所のトップライトで同じ大きさの窓4ヶ所相当の光が得られるといいます。
 
そこで私は、上記のような条件の敷地に家を設計する際には、単に最上階の部屋の1室にトップライトを設けるというのではなく、吹き抜けや階段室、2階の廊下等の上部にトップライトを設けるようにしているものです。
 
私の事務所ではこのような手法の家を「天空光の家」と名付けていますが、ひとつのトップライトで2階の複数の部屋に自然の光が差し込むようになるだけでなく、下階や更にはその下の階までも光が降りそそぐようにしているものです。
 
また、このトップライトを可動式として中間期にはこれを開けることで、煙突効果により家の中に空気の対流が生まれ、家中の自然な換気をはかることができるようにもなるものです。
 

 

トップライトの価格はどれくらいかかるのでしょうか?

 
サイズ(大型or小型)、開閉の有無(固定式or可動式)、作動方式(手動or電動)等によって価格はさまざまです。
 
小型の固定式であれば数万円ですが、大型の電動のものですと90万円位かかるものもあります。
その差はケタ違いの金額にもなりますので、必要な用途・機能、設置場所、トップライトの重要度、全体工事費とのバランス等、さまざまな観点から、どのような形式のトップライトを採用するかは、充分に検討した上で決めることが重要だと思っています。
 

トップライトのガラスはどのようなものを使っていますか?

 
サッシ部のガラス以上に断熱性能には気をつけなければならないものですが、ガラス主体のトップライトの場合には、遮熱・断熱合わせ強化ペアガラス、Low-e強化ガラスといったものを使用しています。
 
アクリドーム型の場合には、タフライトドーム+ポリカーボネイト中空シート+網入りガラスといった仕様が一般的です。
 
暖房方式にもよりますが、私が手がける住宅では床暖房を採用することが多いため、これまでの経験ではトップライトのガラス面が結露したケースはありません。
 

 

リフォームでトップライトをつけるということもできるのでしょうか?

 
もちろん可能です。
 
ただし屋根の下地補強や防水面での処置が必要になると同時に、天井裏の断熱工事等も伴ないますので、室内だけのリフォームを行う場合にはやや大がかりな工事になり、コスト面でも割高なものとなります。
 
屋根の葺き替えも行うようなリフォームであれば、関連工事が少なくなりますので、比較的リーズナブルなコストで設置ができるものとなります。
 

可動のトップライトというのもあるのでしょうか?

 
住宅用のトップライトは回転型や片開き型が一般的です。
部屋の上部に単独で設けるようなトップライトの場合には、これらのものを採用しています。
 
一方で、家全体の採光をはかるような場合によく採用しているものはパンタグラフ式のものです。
トップライトが垂直に上昇するもので、近年は雨を感知して閉まるトップライトもあるようですが、これですと余程の横なぐりの雨でもない限り、雨が室内に吹き込むことはありません。
 
基本的には、装置に頼るのではなく、物理的に雨が入らないようになっているものの方が良いと思います。
 

トップライトのメーカーでおススメがありましたら教えて下さい

 
お勧めと言って良いかどうかは別として、よく使用するのは、天窓ではベルックス、アクリドームのものでは菱晃のものを使用しています。
後者の場合で可動式・パンタグラフ形式のものにあっては、ナブコでも扱っていますが、後発メーカーということもあって私は菱晃のものを使用しています。
 

 

トップライトの納まりで工夫している点がありましたら教えて下さい。

 
トップライトは屋根面に穴を開けるたり、立ち上がりを作ったりことになりますので、設置に当たっては注意することが多いものです。
 
まずは設置する位置です。
納まり以前の話になってしまいますが、屋根の形態を決める際にはトップライトの位置との関係を充分に考慮するようにしています。
できるだけ屋根頂部に設けること、頂部ではない場合にあってもできるだけ水上に設けることが原則だと考えています。
 
どうしても水上への設置が難しい場合には、屋根の勾配に対してトップライトを平面的に45°回転させて設けるといったこともしています。
つまり、屋根面を流れる雨水の流れに対して可能な限りトップライトがその障害にならないようにと考えているものです。
 
次に検討するのが立ち上がりの高さや板金の納め方になります。
屋根面を流れる雨水だけでなく、はね上がった水に対して防水面での問題はないか、雪がかぶった場合に毛細管現象で水が浸入しないかといった観点で検討をしています。
 
もうひとつが屋根の下地材です。
トップライトを設けるということは、棟や軒先、ケラバといった部位に加えて屋根面に防水上の弱点を1ヶ所つくることになりますので、一般的な屋根以上に素材面でもしっかりした下地材使うようにしています。
 
具体的には片面粘着のゴムアス材を使用しています。
破れるおそれがないこと、ビスや釘部の止水性、素材自体の耐久性といったことが主な理由で、ここで防水を行い、屋根材はそのカバー、保護材であるといった考え方をするようにしているものです。
 

中川龍吾建築設計事務所 中川龍吾さんのトップライト設計事例

  

画像 建物の名称 紹介文
杉並の家(天空光の家)

■「採光と通風」の確保
旗竿地における採光と通風の確保というご要望に対して、家の中心の最も暗くなる場所に吹抜を設け、この吹抜の上から陽ざしを採り入れるものとしました。

田端の家(防音室とお茶室のある2世帯住宅)

「2世帯のより良い関係性を築くことができる家」
「家族それぞれがゆったりと自分の時間を過ごせる家」
「機能性や耐久性の高いしっかりとした家」
「明るく風通しの良い家」
「ワンランク上の性能を有する家」

宮坂の家

広い家ではないものの、ご主人が家でも仕事ができるスペース、
仕事上必要な書類を格納できるスペースをリビングの近くに設けたいというご希望がありました。
そこでキッチン脇の道路を見通すことができる位置に造り付けのデスクカウンターを設けました。

府中の家(ペットとゆったり暮らす家)

この住宅は、仕事を引退されたご夫妻が、愛犬と共に郊外の住宅地に移住してゆったりと暮らすための住まいです。

比較的広い敷地であったことから、愛犬を放す庭を可能な限り大きく残しながらも、1階に生活の場の大半を設けた住宅です。

   

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