地域の方からも愛される教会・クラフトワン一級建築士事務所 山本昌史さん


 
教会の建設資金は献金によるものです。
したがって、教会の信者の方すべてがクライアントであります。
クラフトワン一級建築士事務所 山本昌史さんは、すべての信者さんの声に耳を傾けるように気をつけているそうです。
 
教会についてクラフトワン一級建築士事務所 山本昌史さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー クラフトワン一級建築士事務所 山本昌史 の写真
福岡市東区筥松3-12-7
092-982-0054

 

貴社が教会を手がけたきっかけを教えて下さい。

 
まず、以前勤務していた設計事務所でプロジェクトマネージャーとしてチャペルの設計を担当しました。
ホテルに付帯したキリスト教式の結婚式を挙げるためのチャペルです。
当時(1998年)チャペルが無いとホテルのランク付けの評価が下がると言うことで、チャペルを建設するホテルが増えていました。
依頼が来て所長と話し合ったのですが、結婚式場だからといって商業的なデザインにするのでは無く、キリスト教の団体からも貸してほしいと言われるような本格的な教会を目指すことにしました。
幸い施主の理解と予算にも恵まれ、鉄筋コンクリート造で楕円錐形のダイナミックな建築を実現することができました。
 
次に手がけた教会は、独立してから私の事務所として請けた仕事で、プロテスタントの教会でした。
信者の方から推薦を受けた7社によるコンペ(設計競技)で、私の案が1等に選ばれ実現したものです。
幼稚園を併設した教会でしたので、次世代の交流、そして地域との交流の場としての教会が求められていました。
礼拝堂と幼稚園と外部がシームレスに連続した平面計画が評価され、1等に選んでいただきました。
開かれた空間の中に、閉じた祈りの場としての礼拝堂があるという構成の教会です。
 

教会とチャペルの違いを教えて下さい

 
私自身は、キリスト教の教会と結婚式場のチャペルの違いをあまり意識しておりません。
意識しているのは、どちらを依頼されても「本格的な建築」を目指すということです。
 
本格的な建築とは何か?と訊かれると、なかなか一言で答えるのが難しいのですが、例えばいまある正式なキリスト教の教会も必ずしも正しい建築になってはいないように思うのです。
木造や鉄骨造なのに、組積造を模したような教会が見受けられます。
ヨーロッパの組積造の教会のイメージが強くてそれに近づけたいのでしょうが、木造ならば木造、鉄骨造なら鉄骨造の教会の形があると思うのです。
それを追求していきたいですね。
チャペルを依頼されたときも同様です。
  

  

教会の設計で気をつけている点を教えて下さい。

 
教会の建設資金は献金によるものです。
したがって、教会の信者の方すべてがクライアントであります。
ですから、すべての信者さんの声に耳を傾けるように気をつけています。
もちろん、予算の都合などですべての声を反映することはできませんが、まず「聞く」という姿勢が大事だと思っています。
 
それから、教会にはいろんな方がおられます。
必ずしも建築に詳しい方ばかりではないので、いつもよりわかりやすく説明をすることを心掛けています。
ご高齢の方は目が悪かったりしますから、打ち合わせのための図面の文字をいつもより大きめにするとか、遠くからでも判るように模型を大きめに作るとか配慮するようにしています。
 

宗派によって教会の形なども違ってくるのですか?

 
私が関わった教会はどれもプロテスタントの教会で、カトリックの教会は関わったことがありません。
したがって、カトリックのことは実感として判りませんが、教会の形についてこうでなければならないと厳しく注文を受けたことはありません。
 
ただ、「香住ヶ丘の教会」の設計時、礼拝堂の屋根に関してだけはご指摘を受け、屋根は天に向かって伸びていくものでなければならないと言われました。
この教会は、礼拝堂と幼稚園と牧師館という3つの機能が複合した教会だったのですが、これらの機能をひとつにまとめるのにフラットルーフが都合が良かったため、当初礼拝堂の屋根もフラットで考えていたのです。
自分でも教会らしくないかな?とも思いましたが、モダニズムの建築はフラットルーフが基本ですから、モダニズムの美学に則った教会を目指そうと考えていました。
しかし、このご指摘を受け、プランを再度見直すことで礼拝堂の屋根も勾配屋根へと変更しました。
 

 
また、プロテスタントの教会の中でも、バプテストと呼ばれる宗派は、洗礼の儀式の時、全浸礼といって、洗礼を受ける方が牧師と一緒に聖壇の裏側にあるプールに入り、全身を水に浸す必要があるのです。
したがって、講壇の裏にプール、その近くに牧師と洗礼を受ける方のための控え室が必要となります。
十字架についてですが、プロテスタントの教会では、外部にだけ取り付け、礼拝堂内部にはつけないという宗派もあるようです。
カトリック系の教会の十字架にはキリストの像を取り付けるようです。
 

近隣住民への説明会にも協力していただけますか?

 
もちろんです。教会は多くの人が出入りするだけでなく、日曜の朝から賛美歌を歌ったりして音が出ますので、近隣への対応も重要です。
地域の方からも愛される教会にするためにも、このようなプロセスは大事ですね。
 

チャペルの設計もしていただけるのですか?

 
もちろんお請けします。
その時は、先述しましたように、商業的なデザインに走るのではなく、本格的な教会建築を目指したいですね。
 

教会を建てたいのですがなにから始めたらよいかわからない方の 相談にも応じていただけますか?

 
教会は、会社のような組織と違い、トップが権限を持っているわけではなく、施設担当の専門職の方がいるわけでもありません。
信者一人一人が建設資金を献金しているので、皆がクライアントであります。
 
したがって、教会建設の話が持ち上がっても、なかなか全体の意見がまとまらず、何年も時間が過ぎていくケースが多いようです。
大抵、信者の誰かが知り合いの建設業者を連れてきて、計画案や見積もりを作らせるものの、他の信者の反対に遭い頓挫し、また誰かが違う業者を連れてきてまた反対に遭い頓挫、ということを繰り返すようです。
 
やはり、早い段階で設計者や施工者をフェアに決めるためのシステム作りが必要です。
私は教会建設に関わるならば、できれば設計者として関わりたいですが、もしご要望があれば、コーディネーターとしての仕事もしてみたい気もします。
その際には、自らは設計には関わらず、また業者を紹介することもせず、あくまでも第三者的に中立な立場で関わることが大事だと考えています。
 

これからどんな教会を手がけてみたいですか?

 
F教会計画は残念ながら実現しなかった案です。
三角形の形状で、講壇の背後が光庭になっていて、ガラスから光が差し込むようになっています。
そのガラスを支持するサッシュが十字架の形状になっています。
このデザインは、敷地の形状から自然と出てきた形ですが、他の敷地でも応用できるアイデアではないかと思います。
これをご覧になって興味を持たれた教会の方がいらっしゃいましたら、是非声をかけて下さい(笑)
 

F教会計画

 
最後に、建築の歴史は教会建築の歴史と言っても過言ではありません。
教会が神に近づこうとして高さに挑戦したことで建築の構造技術も進歩してきました。
現在、高さに拘ることは間違いかもしれませんが、構造的に美しい建築を目指すのが教会建築の正しい方向性ではないかと思います。
そのような教会を是非実現してみたいです。
 

クラフトワン一級建築士事務所 山本昌史さんの教会・設計事例

  

画像 建物の名称 紹介文
杜の教会

ホテルの敷地内に新築したキリスト教式の結婚式を行うウェディングチャペルです。楕円形の平面に、7度傾いた3次元曲面の外壁が特徴です。

香住ヶ丘の教会

無駄の無いプラン、安価でかつ耐久性のある建材を採用してコストダウンをはかり、依頼者の希望に応えました。

香住ヶ丘の教会牧師館

弊社が設計した「香住ヶ丘の教会」に併設された牧師館(牧師住居)です。牧師がプライバシーを確保しながら教会の執務を行うことが出来るよう、動線計画を工夫しました。

F教会計画

三角形の敷地形状を活かした礼拝堂を計画しました。

 

仕事の依頼はこちらから

 
 

建築家依頼サービスの申し込みは今すぐこちらから(無料)↓

建築家依頼サービス
 
当サイトの建築家に仕事を依頼したい方は下記から依頼したい仕事の内容を投稿してください。
投稿した内容は下記のページで公開され、当サイトの会員建築家から返信をもらうことができます。
 
https://kentikusi.jp/dr/netirai/jirei
 
このサービスは一般の方・業者の方でも無料で利用できます。
 

建築家依頼サービス・申し込み

依頼したい仕事の内容を自由に記入してください。(■依頼したい仕事■建設予定地■土地・テナントの所有・賃貸状況■建物についての希望■ご予算■希望する地域■建築家に依頼したいと思った理由■その他・・・など)
メールアドレスをご記入ください。このメールアドレスに確認用のメールをお送りします。 例:nakazato@kentikusi.jp
例:みのる
例:東京都
例:港区