混構造・インタビュー・Atelier建築設計事務所 杉浦 繁さん


 
混構造にすることで鉄筋コンクリート造の持つの堅牢さや耐震耐風性と木造の持つ快適性や住み心地を併せ持つことができます。
 
混構造についてAtelier建築設計事務所 杉浦 繁さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー Atelier建築設計事務所 杉浦 繁 の写真
春日井市鳥居松町5丁目88番春日井ビル4F
0568-87-2124

 

貴社が混構造を手がけるきっかけがありましたら教えて下さい。

  
当事務所ではそもそもビルや共同住宅などの建築を多く手がけてきていたのですが、そのため木造などよりもむしろ鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造などを得意としておりました。
 
ところがおかげさまでいつの日からか住宅の設計なども多々ご依頼頂くようになってまいりまして工務店さんなどと猛勉強させていただき現在では木造などもたくさん手がけております。
 
そんな木造をたくさん手がけだした時期に、鉄筋コンクリートの住宅をご要望のお客さんに依頼頂いた時のことです。
その土地は山地にある非常に眺望の良い敷地でお客さんもそれが気にいられていたのですが、山地であるが故に大きなコンクリート擁壁の上の敷地であったため鉄筋コンクリート造で建てることは擁壁の底板にあたってしまうために杭が打てず基礎が造れないために不可能でした。
 
そこで擁壁の底板をはずれた部分に鉄筋コンクリートの大壁と車庫を設けそこから奥に木造の主屋が載る混構造を考えて建てることになったものです。
 
そもそもコンクリートを得意としており木造にも強くなった、そんな下地があったのが大きかったのではないでしょうか、自然と混構造なら出来るという発想が生まれてきたように思います。
 

混構造のメリットとは何ですか?

 
単純に考えれば鉄筋コンクリート造の持つの堅牢さや耐震耐風性と木造の持つ快適性や住み心地を併せ持つことが出来るということでしょうか。
ようするにコンクリート造と木造のいいとこ取りが出来るということを言われています。
 
それはその通りだと思いますが、私はそれだけだとは思いません。
確かに混構造はメリットはいろいろとあると思いますがそれに対するデメリットも大きくなると思っています。
お金もかかります、設計も難しくなります、施工も難しくなります、難しくなればミスの出ることもあり得ます。
 
それでも混構造にする最大のメリットというのは、混構造でしか出来ないことがあるということではないでしょうか。
構造にすれば出来るということ。
 
敷地状況などから難しい、お客様の要望をかなえることが難しい、鉄筋コンクリート造では出来ない木造では出来ない、出来ないことはないまでもデメリットが大きい、そんな時に混構造を採用します。
 
あくまでもなぜ混構造にするのかが大事であり必要だと考えています。
 

 

混構造の建物を設計する際のポイントを教えて下さい。

 
通常、混構造といえば鉄筋コンクリート造と木造の複合構造をさすことになるのですが、当たり前な話なのですがそれぞれにはそれぞれの長所と短所があります。
その長所を必要な部分部分にうまく割り振ることが混構造設計のポイントです。
 
傾斜地などで上階の居住部は快適性の高い木造とし堅牢で土圧を受けることが出来る鉄筋コンクリート造で斜面に車庫などの地下や1階をつくる、コンクリートの遮音性の高さを生かしてスタジオを造りその横や上に木造で主屋をつくる、など長所を生かし短所を他の構造体で補うようプランニングをします。
 
その上で木造と鉄筋コンクリート造はまったく異種の構造体ですから何から何までその持つ性質性能は違いますのでそれをうまくつなぎあわせることが必要です。
異なる性質のものをつなぎ合わせるのは実は非常に難しいことです。
 
揺れ方などの全く違う構造としてはもちろんのことなのですが、屋内で両構造が合う場合などは断熱結露対策や気密性をどのように考えるのかなどは考え尽くす必要があります。
 
出来ることならばそれぞれの長所を取り入れた上で2つの構造体をまったくつなげずに別々で造れればそれにこしたことはないと考えています。
 

混構造の場合、構造計算はどうしているのでしょうか?

 
全体の構造計算は必ず行います。
建物規模が小さいから不要とか鉄筋コンクリート造部分だけ計算して木造部は適当になどということはあり得ません。
 
申請に必要かとか適合判定が必要かどうかなど関係なく全て構造計算を専門の構造屋で必ず行います。
むしろ混構造だからこそ必ずやらなければなりません。
 
そのためにも日頃から混構造を得意とする構造屋さんをみつけておくことは非常に大事なことだと思います。
 

「三つ屋根の家」を混構造にした理由を教えて下さい。

  
「三つ屋根の家」はもともとあったお宅が古くなったのと、お子様の手も離れたので将来を見越した平屋にしたいと建て替えのご依頼で建てられたお宅です。
 
その敷地奥には元々ご主人自慢の立派なお庭がありました。
そのお庭を残したい生かして欲しいとのご要望があったのでその庭の緑が家の中の各部に飛び込んでくるお宅をと設計したものです。
 
ただ庭を残して平屋にしますと敷地の奥行きが足りなくて道路側にどうしても駐車スペースがとれなくなるわけです。
そこで多少の高低差を利用してコンクリートの車庫を埋め込ませその上にかかるように木造の主屋を建てることにして混構造とすることで敷地の奥行きの不足を解消しお庭を残すことが出来ました。
 
出来上がってみると玄関からリビングから座敷からと全面にお庭の木々が飛び込んでくるお宅となりました。
 

 

「Kurenai色のある家」は高低差のある敷地ですが、何か工夫した点がありましたら教えてください。

 
「Kurenai色のある家」は非常に苦労した思い出深い家です。
 
何しろ道路と敷地の高低差が4m近くもあった上にそこに残されていた擁壁が現基準には達しない古い擁壁であったために作り替える必要があったからです。
擁壁というのは非常にお金がかかりますが、当然お客さんの出せるお金は決まっていますので全部をコンクリートの住宅というわけにはいきませんでした。
 
そこで擁壁は経済性からコンクリートではなく杭をなしにすることが出来た間知石の擁壁を採用し道路面から敷地上に上がるための階段室棟を鉄筋コンクリート造として上に木造の主屋を建てるという混構造というか混々構造とすることにしたものです。
 
ここでは、このコンクリートの階段室棟と木造の主屋は構造体はつなげないようしています。
実はこのお宅、玄関戸は階段室を上がった向こうにありまして混構造ではありますがその構造体はあえてくっつかないようにしています。
 
屋根はかかっていますので傘をささずに道路面から家の中まで入れますが構造体はつながっていませんので基礎は別として安価を実現させました。
 
設計も工事も大変でしたが苦労すればするほど良い家が出来上がります。
 
このとんでもない高低差は住宅地でありながら絶景といっても過言ではない眺望をこの家に与えてくれました。
何しろ1階に座っていても窓の外に隣家は何も見えませんから。
 

 

混構造の家を建てたい方になにかアドバイスがありましたら教えて下さい。

 
どんなものでもそうなのですが、どんな構造にも長所と短所がありメリットとデメリットが混在します。
混構造の家というのはうまくすれば長所やメリットを重ね合わせてよりよい家を作り上げることが出来ます。
 
ただ、当然短所やデメリットも重ね合わされてしまうことにもなるわけです。
なので設計や施工にはより細心の注意が必要で、少々お金もかかります。
 
まず、なぜ混構造にしたいのか、どうして混構造にする必要があるのかからよく考えてみてください。
そこから始まってそのメリットをうまくかみ合わせられれば唯一無二のお宅を造り上げることが出来ます。
 
それと、混構造は設計にしろ施工にしろ鉄筋コンクリート造と木造の双方を熟知した人でなければ大変なことになります。
住宅専門の人の場合、けっこう設計者にしろ工務店にしろそういう人って少ないものですからよく探してみてください。
 

 

ハウスメーカーや工務店ではなく貴社に混構造の家を依頼するメリットを教えてください。

  
一般的には混構造の家というのはハウスメーカーや工務店で建てることははかなり難しいことだと思います。
 
同じものを工場でつくって同じ材料で同じ工法で同じ家を建てている方達には同じでないものを造るのには無理があります。
結局の所、お客さんが知らないところでどこかの下請け設計事務所や工務店に高額を支払って依頼していることになってしまいます。
 
私達の仕事はただ家を設計してデザインして建てることではありません。
同じ家は一軒として建てることはない、その場所その環境その人その要望にもっともふさわしい形やデザインを考え出すことがそもそもの仕事です。
 
技術と知識と経験を駆使してアイデアをだしデザインを構築して唯一無二の家を生みだしお客様の夢を叶えることが仕事です。
普通には出来ないことを可能にすることができればそれに勝る喜びはありません。
 

Atelier建築設計事務所 杉浦 繁さんの混構造・設計事例

  

画像 建物の名称 紹介文
ポルシェの見える家

丘の上に完成したとても景色の良い住宅。コンクリートの建物が御希望でしたが、傾斜地ということと地盤が擁壁上にあり構造的に難しいため基本構造は木造です。そこで道路からのファサードにコンクリート打ち放しの大壁を設けて階段擁壁と一体化を図り、木造とRC造の混構造としました。

Kurenai色のある家

高低差のある敷地に間知石擁壁を設け、その上に建てられた混構造のお宅です。敷地の状況から難しい設計となりましたが、むしろそういった難しさが楽しくもあり、完成したお宅にも印象的な形態や空間を生み出させています。

三つ屋根の家

遠くない将来、老後を向かえるご夫婦がこれから過ごされるお宅です。
このお宅はLDK・寝室・ホール・和室と水回りの三つのブロックに分かれ、それぞれに流れ・陸屋根・切り妻の三つの屋根を掛けています。

 

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