周りの自然を建物の中で感じられる終の棲家・多田建築設計事務所 多田博さん


終の棲家は平屋にしてワンフロアで生活のすべてが完結できることが大事です。
終の棲家について多田建築設計事務所 多田博さんに伺いました。

お話を伺った建築家

 

ユーザー 多田建築設計事務所 多田博 の写真
藤沢市湘南台5-1-3-607
0466-42-1793

多田さんが「終の棲家」の設計を手掛けるようになったきっかけやこの分野に力を入れるようになった経緯を教えてください。

 
終の棲家とは「自分の人生の最後の居場所」だと思います。
そしてその場所を決める覚悟ができた時、そこに建てるすまいを依頼することになります。
私が終の棲家について深く考えるきっかけは、二世帯住宅です。
二世帯の親世帯は、終の棲家ということを意識されていました。

終の棲家として家を新築する場合、マンションや介護施設と比べてどのような点がちがうのでしょうか。建築家に設計を依頼するメリットを教えてください。

 
終の棲家は動物の巣のようなものだと考えます。
長年培った生活の形にピッタリと合う巣のような建物。
自分の住みたいイメージを伝えて実現できることが、建築家に依頼するメリットではないでしょうか。
その点、マンションや介護施設は違うかもしれません。

終の棲家に適した間取りや広さのポイントを教えてください。「館山の家」は17坪というコンパクトな平屋でしたが、小さな家でも豊かに暮らすための工夫はどこにありますか。

 
適した間取りは人それぞれなので一概にはいえませんが、平屋であることが一番大事でしょう。
「館山の家」はコンパクトながら周りの自然を建物の中で感じられる工夫をしています。
窓から海が見える地形を活かしながら静かで豊かな生活ができるように計画しました。

50代、60代から終の棲家を計画するとき、「今の暮らし」と「将来の暮らし(体が不自由になったとき)」の両方を考えた設計で気をつけていることを教えてください。

 
まずは、平屋にしてワンフロアで生活のすべてが完結できることが大事です。
細かいことでいえば、トイレは寝室の直近に配置し、介護のために少し大きめに作ります。
廊下は極力設けずにヒートショックにならないような工夫をすることでしょうか。
また将来車椅子生活になっても移動がしやすいように動線は広めに計画します。

「館山の家」は海辺の国立公園内という特殊な立地でしたが、潮風や景観対策などの規制をどのように設計に活かしましたか。

 
館山の家は、目前が海の広がる景色の良い立地です。
その反面、海風が強い場所でもあります。
建物は低い平屋にして、屋根の形状を強い風を受け流す工夫をしています。
外壁は潮風に強い木の外壁を採用し、国立公園という場所にふさわしい外観になっていると思います。

「鎌倉山の家」はお茶と着物がご趣味の終の棲家でしたが、趣味や好みを住まいに反映させる際、どのように要望をかたちにしてきましたか。

 
お茶や着物について考えながら、設計をすることは私にとってとても楽しい作業です。
建て主のさまざまな要望を聞きながら、その人柄を知ることを大事にしています。
時には食事をしながらお話をお聞きします。結構大事なことで、一緒にご飯を食べると相手の本質が見えてくることがあります。

子供がいらっしゃらないご夫婦やおひとりさまが終の棲家を考えるとき、将来の管理・メンテナンスのしやすさという観点で設計上どのような点を意識していますか。

 
終の棲家は、二世帯住宅以外は私のなかではご夫婦だけまたはおひとりでの住まいと位置づけています。
将来のメンテナスはできるだけかからない設計を心がけています。

終の棲家の設計相談を受けるなかで、お客様が最初に悩んでいることや、よくある「失敗・後悔」のパターンはありますか。

 
どんな方でも御高齢になると年を重ねて行くことの不安があります。
その不安と向き合いながら設計することをこころがけています。

「終活」として終の棲家を考え始めるタイミングや相談のきっかけとなりやすいライフイベントはどのようなものが多いですか。

 
自分の人生の最後に居たい場所を決める覚悟ができた時でしょうか。
人生の中で死を意識し始める時、たとえば身内の死などが多いと思います。

終の棲家を新築で建てたいと考えている方にはじめの一歩としてどのようなアドバイスをされますか。

 
まずは、人生の最後に居たい場所を決め、今後の人生をどのように過ごしたいかイメージを持つことが大切です。
その上で信頼できる建築家に要望を伝えることがよいのではないでしょうか。

貴事務所に設計・監理を依頼できるエリアを教えてください。

 
神奈川県、東京都、静岡県、千葉県、長野県、山梨県 です。

多田建築設計事務所 多田博さんの終の棲家・設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
館山の家~海辺の町で暮らす終の棲家

玄関は大きな土間とし、ご夫婦の趣味である自転車や釣り道具がおけるようにしました。
海側にコーナーで大きな窓を設け、海や緑の景色を部屋の中に取り込みました。
床はブラックウォールナットの無垢材、天井も木を表して温かみのあるインテリアとしています。

鎌倉山の家~茶室のある詫び寂びの家

鎌倉山の裾野に広がる竹林に面した緑豊かな敷地。
建て主はお茶と着物が趣味のご夫妻。
鎌倉らしい竹林を愛でながら余生を過ごす終の棲家としてこの場所を選ばれました。外壁はメンテナンスフリーの土壁とし、緑に溶け込む外観としています。

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