細長い敷地を余すところなく使った自邸・アーキシップス京都 古前極さん
アーキシップス京都 古前極さんの自邸は細長い敷地に建つ細長い建物です。
京町家の坪庭のように、建物に外部を導入し、室内の隅々まで光と風を届けることができます。
アーキシップス京都 古前極さんに自邸について伺いました
自邸の設計で工夫した点を教えてください
自邸「竹林風洞」は、間口8m×奥行き31mの細長い敷地に建つ、アトリエ併用住宅です。
居住者は有職夫婦、木造二階建て、敷地76.4坪、延べ面積53.5坪。
壁仕上げはモルタルに左官仕上げ一部杉板張り、屋根はガルバリウム鋼板です。
自邸の間取りで工夫した点を教えて下さい
- 南北に細長い北向きの敷地を、最大限に生かす
- どの部屋にも、二面の窓を設けて採光と風通しを確保する
- 仕事場と住まい、異なるタスクをゾーニング
- 必要最小限にして十分な空間と設備
- 休日の光を感じる明るいスペース
- 落ち着いた時間を過ごせる光を抑えたスペース
- 部屋ごとの壁面収納
- 最小限の家事動線
間口8m×奥行き31mの細長い敷地に、アトリエと住宅、4台の駐車スペースを作る計画です。
細長い敷地に建つ細長い建物は、京町家の坪庭のように、建物に外部を導入し、室内の隅々まで光と風を届けることができます。
そこで細長い敷地の表から裏までを、
アプローチ+駐車スペース(外) → アトリエ(中) → 中庭(外) → 住宅(中) → 裏庭(外)
と、余すところなく使うことにしました。
屋外と屋内が交互に配置される建物の室内は、常に二面の外部に接します。
相対する2面から風と光を得られる室内は、春夏の換気と秋冬の日射熱を取り込み、一年を通して快適な空間になります。
アトリエと住宅のゾーニングを様々に検討し、敷地の前半分をアトリエに、奥の半分を住宅にする構成としました。
アトリエは開かれた場所としてゲストをお迎えし、奥の住宅に進むとプライベート度が上がる構成です。
アトリエの1階はミーティングスペースと打ち合わせで使用するカタログやサンプル、2階にデスクトミーティング、ファイル収納を設置。
住宅部分の1階はダイニングとキッチンでレストランのように、2階は寝室とリビング・バスルームでホテルの客室のように構成。
家具とキッチンは造作、購入したダイニングチェアとソファは色・質感を統一しました。
屋内は化粧室と洗面・バス以外は壁がない一つの大きな空間で、玄関を入ったら視線が裏庭まで抜ける、広々した開放感が特徴です。
2面の窓や吹き抜けの窓から入る光で、室内はいつも陽光に満たされます。
打ち合わせの際には家づくりの明るい未来を提示し、休日には心身を解放できる空間になります。
ダイニング奥の裏庭デッキには軒天が広がり、室内に直射日光が入らないように計算しました。
壁面と天井の珪藻土は僅かな光も乱反射するため、間接光が室内を包む柔らかい空間となります。
各部屋には壁面一面の収納や本棚を設置し、各フロアに納戸または外部収納も設置。
物・本・ファイル類が室内にあふれ出ないよう、モノの行き場を作りました。
家事導線を最小にするため、キッチンは家電収納のバックセットとキッチンカウンターで構成。
洗濯から衣服の収納も、2mの距離内に集中しました。
ライフスタイルの違いによって、クロゼットの位置も夫婦で変えています。
自邸の外観で工夫した点を教えて下さい
- 城下町に溶け込む外観
- 建築家の自邸としてのモダンな外観
敷地は亀岡城址の旧町内景観保全地域にあり、落ち着いた街並みに溶け込む外観を心がけました。
コンセプトは竹林風洞とし、竹林に佇む京町家、格子の上に光と風がこぼれ落ちるシーンをイメージ。
間口8mを駐車スペースと植栽スペースに分けて竹林を設け、住宅へのアプローチとしました。
京町家の新しい解釈として、格子やモノトーンの伝統的なモチーフと、ガラスやタイルなどレトロモダンな素材の融合しました。
モノトーンの建物に面格子、大きなガラス面に竹林が映える、懐かしくも新しい外観です。
自邸の内装で工夫した点を教えて下さい
- 時代を超えた美しさ、佇まいのある室内
- 非日常なリゾート感を日常に
室内は珪藻土や無垢フローリング・タイルなど、自然を感じる素材で仕上げました。
家具や建具は基本素材の色と質感で造作、色や質感のノイズが発生しないタイムレスなインテリアを心がけました。
各部屋に二箇所の開口部を設けることで、どの角度からも窓外の緑が目に入ります。
中庭を抜ける風が葉を揺らし、上から降り注ぐ光は葉に反射して室内を緑の光で包みます。
アトリエでの仕事も休日の時間も、視線を上げると光と緑、睡蓮鉢の揺らめく水面が目に飛び込み、日常に心を休めるリゾートな瞬間を作ります。
自邸のキッチンはどのようなものを採用したのでしょうか?
冷蔵庫などの調理家電は数も表面積も多く、そのまま露出すると空間に違和感を生じがち。
そこで調理家電が隠れるよう、バックセットに建具を造作しました。
家電にも換気は必要なので、扉は鎧戸としています。
キッチンカウンターはダイニングテーブルと並行するアイランドで、トップと側面は人工大理石、カウンター内側の面材はステンレス。
シンク・食器洗い機とIHクッキングヒーターを内蔵します。
ダイニングテーブルとその壁面にある収納は、フローリングと同素材の面材で造作。
室内の素材と色の数を限定することで、調和の取れたインテリアを実現できました。
敷地はうなぎの寝床と言われる間口が狭く奥行きが長い敷地ですね。この土地は購入されたのでしょうか?
土地は先祖がお城勤めだった頃からこの地にあります。
間口を狭くして奥行きを取るいわゆる「鰻の寝床」は江戸時代の税制に由来すると言われますが、そのエピソードそのままの敷地です。
うなぎの寝床に家を建てる際の注意点を教えて下さい
細長い敷地に建物を敷地いっぱい建てると、採光面は表と裏だけになります。
上からの光をどのように取り込むかが、大きな課題になります。
そこで中庭や坪庭、トップライト、ハイサイドライトなど、上からの光と風を取り入れ方を考えます。
細長い建物は構造的に横からの圧力を受けやすいので、長辺方向を複数の耐力壁で区切る必要があります。
そこで耐力壁が生活や視線の邪魔になったり無駄な部屋ができないよう、住む人のライフスタイルを熟慮した、慎重なプランニングが求められます。
自邸はアトリエ兼住宅ということですが、併用住宅を建てる際に工夫した点があれば教えて下さい
住む人一人ひとりの、ライフスタイル見極める作業が求められます。
仕事と生活を完全に分離したい人もいれば、限りなく融合したい人もいます。
仕事の内容によって、併用部分の作り方や規制が異なります。
それらを見極めた上で、最適なプランを求めましょう。
自邸を見学させていただくことも可能でしょうか?可能な場合は予約の方法などを教えていただければ幸いです
もちろんです。
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アーキシップス京都 古前極さんの自邸・設計事例
画像 | 建物の名称 | 紹介文 |
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竹林風洞 | 当社のアトリエ兼自宅、コンセプトは「竹林風洞」。 |
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