↑横浜市南大田斜面地の家・平面図・断面図
土地の状況

親御さんが所有する敷地があり、親御さんの家のお隣に建築をしました。
西側には親御さんご世帯のお宅があり、東側は道路に面しています。
傾斜地で、南側がさがっており、北側はあがっています。
元々は親御さんが家庭菜園として利用されていた傾斜地で、南側に古い擁壁がありました。
南傾斜地なので日当たりは良好、駅からのアクセスも良い好立地です。
問題点
お施主さんからは、「既存の擁壁を新しくしつつ、家に至るアプローチも改善して欲しい」というご要望がありました。
今回のように古い擁壁がある場合には、合法的な擁壁であるかをまず確認する必要があります。
主に敷地条件とコストの問題が大きく、ハウスメーカー・工務店・設計事務所に相談しましたが、契約に至らなかったり、契約破棄になったりしたそうです。
設計事務所への依頼を決意し、三村さんにお話をした頃には、最初に家を建てようと考えてから約7年もの月日が経っていました。
擁壁と地下室を一体化させることで予算を削減!
最初の概算見積もりでは、予算を2,000万円オーバーしてしまいましたが、施工会社の尽力や仕様の見直しなどにより、最終的には当初予算に200万円プラスという形で収まりました。
工事会社の手が空く時期を選んだり、地下室のコストを抑えるポイントを踏まえたりすることで、予算を削ることができます。
また今回のように、別に擁壁を作るのではなく、擁壁と部屋を一体型にすることで、工期を短縮したり予算を削減したりすることができます。
古い擁壁にはいくつかの問題がありま、そのまま使用することができませんでした。
地下に設けたシアタールームは、「新しく擁壁を作るより、趣味の部屋を作りましょう」という三村さんからの提案です。
擁壁を作るのは、建築会社ではなく土木会社であり、許認可を取得するのにも時間や工数が掛かります。
擁壁を建物と分離すると、その分コストが高くなります。
特にハウスメーカーは擁壁分離型しか対応できないケースが多く、見積もりが高くなってしまう傾向にあるそうです。
その他に工夫した点
ロケーション的には南斜面なので、南側の眺望をいかしどこの階からも景色が見られるよう、バルコニー・ルーフテラスを設置しています。
1階と2階の動線は階段の回りを回廊する形になっており、家事動線に優れていて、生活しやすいのも特徴のひとつです。

シアタールームのアクセントになっている石壁は、数量が少なければそこまでコストは掛かりません。
新島の軽石を使用しており、見映え以外に軽さだけではなく吸音効果があるのも特徴です。
現在では、映画を見るだけではなく、お子さんのカラオケルームとしても活用されています。

大幅なコストカットを実現したのは、随所にみられる工夫です。
例えば、洗面台は2つのボウルを使用していますが、メーカーのものだと30万円程度になってしまいます。
ボウルを入手して大工さんにお願いすることでコストカットを実現しました。
既製品を使用するだけなら楽ですが、値段が高かったりマッチングしなかったりすることも多くあります。
また、外装は「ガルバリウムでシンプルに」というご要望がありました。
メンテナンスがほぼかからないだけではなく、3階建てなので重い瓦を避け屋根の軽量化を実現しています。
三村さんが手掛けるお宅は、敷地的に傾斜地などの問題を抱えているケースも多くあるとか。
だからこそ、経験をいかして適切のアドバイスをすることができるそうです。