外部とスムーズに繋がるウッドデッキ・遠藤浩建築設計事務所 遠藤浩さん
部屋の前にウッドデッキを取り付けることで、外部とスムーズに繋がり、視覚的にも動線的にも広がりをつくり出し、四季折々の自然を感じ、くつろぎのアウトドアリビングが生まれます。
ウッドデッキについて遠藤浩建築設計事務所 遠藤浩さんに伺いました。
ウッドデッキとはどのようなものですか?
木製の板をスノコ状に並べ、平らな床面をつくり、室内でも外部の地面でもない中間的な用途で利用するためのプラットフォームのことを言うと思います。
気軽に部屋から外に出られ、外部の風を感じ、陽の光を浴び、木々などを眺めながら自然に親しむ空間をつくり出します。
室内と床のレベルを合わせ、よりスムーズに繋がるように一体感を演出したり、オーニングやテントを設置して、陽射しや外部の視線をコントロールしてみたり、サンルームのようにガラスで囲い、全天候型の半外部空間とするのも、更にいろいろな用途が広がって面白いでしょう。
天気の良い日には、みんなでカフェテラスのようにお茶を飲んだり食事をしたり 、ビヤガーデンや夕涼みも良いと思います。お子さんをのびのび遊ばせる場になったり、室内犬が散歩するスペースになったり、用途はさまざま、考えるだけでもワクワクするのではないでしょうか。
更に、見た目も優しい木の風合いや裸足で踏みしめる心地良さ、外気温に左右されにくい木の性質を生かして、内と外の間に安らぎの空間がつくれることでしょう。
貴社がウッドデッキを手がけるきっかけがありましたら教えて下さい
車椅子生活を想定する住宅の場合、車椅子を床のレベルまで(50cm前後)上げるスロープが必要になってくるわけです。
日本の住宅事情を考えると、玄関廻りにゆとりがなく難かしいことが良くあります。
それなら、比較的玄関廻りよりもゆとりを取ることが多い庭先で対応できないか考えました。
庭が広がるリビングの前は、テラスを設けて楽しい空間を演出したりします。
そこにリビングと同レベルの床のウッドデッキを設け、さらにスペースを確保しやすいところを見つけて、緩やかなスロープを取り付けると、楽に室内に出入出来るようになるわけです。
そんなことを設計したのがきっかけで、やってみることが多くなりました。
因みに、場所を取らない段差解消機という電動で上下するリフトを使う方法もありますが、操作の面で、お年寄りには、ちょっとハードルが高いので、介護者付きで使われる時にはやむを得ず設置することもあります。
ウッドデッキのメリット・デメリットを教えて下さい
部屋の前にウッドデッキを取り付けることで、外部とスムーズに繋がり、視覚的にも動線的にも広がりをつくり出し、四季折々の自然を感じ、くつろぎのアウトドアリビングが生まれるわけです。
裸足のまま外に出られ、ゴロンと寝ころんでみたり、物思いに耽って見たり、みんなで楽しくBBQをするのもいいものです。メリットは、とてもあると思います。
ただ、使う材料によって、メンテナンス上、メリット、デメリットになる場合があります。
今は、耐候性の良い木材が輸入されていますので、長く使えるものがいろいろありますが、硬い木なので、加工がとても大変です。値段も高いです。それは、デメリットかもしれません。
また、耐候性の良い木材が日本に入って来るまでは、比較的湿気に強いヒノキやマツなどが使われ、縁側やウッドデッキは、外部で木を使う以上、古くなって傷んで来たら取り替える前提で設置されて来ました。それらは、加工性が良いので、修理しては塗装し、こまめなメンテナスをしながら、使う選択肢もあります。メンテナンスに手間がかかるという意味では、デメリットかもしれません。
ウッドデッキの価格はどれくらいですか?
材料や大きさによっても随分と変わってきますが、定期的にメンテナンスを行い、いずれ取り替るお考えであれば、安く抑えられますし、20年30年メンテナンスフリーにされたいということでしたら、大きい面積ですと材料費、工事費で100万円以上になることもあります。
ウッドデッキの塗装はどのようにしていますか?
イペ、ウリンのような耐候性のある木材でしたら、塗らなくても大丈夫ですが、木は、紫外線の影響で黒っぽいグレー色に褪せてきます。それを気にされる方は、少し退色してきたら塗装して、色褪せのない木の色を楽しんでいただくのが良いと思います。
ヒノキやマツ、スギ、ウエスタンレッドシダーなどを使う場合には、2、3年に1回は、塗装した方が長持ちすると思います。
塗料は、外部木材用塗料で、キシラデコール(日本エンバイロケミカルズ)やワンコートオンリー(オスモカラー)などです。キシラの方がホームセンターで比較的手に入りやすいかもしれません。
ウッドデッキの手入れの方法を教えて下さい
ホウキやブラシで、時々ウッドデッキに付着した砂や土を取ることをお薦めします。それをしないと、雨が降ったあとの木の乾燥を妨げるだけでなく、砂や土の中にいる不朽菌が木を腐らせる原因になってしまいます。
また、植木鉢やプランターをウッドデッキの上に置いて緑を楽しんだりする方もいらっしゃいますが、接地面の湿気がデッキ材を傷める原因になりやすいので、ときどき、移動させるか、下駄を履かせ湿気を逃がすような対策を取った方が良いでしょう。
塗装は、イペ、ウリンのような耐候性のある木材は、塗装しなくても30年くらいは持つと言われています。
それに比べて、ヒノキ、マツ、スギ、ウエスタンレッドシダー等は、2、3年に1回くらいは塗装を施し、メンテナンスするのが長持ちさせる秘訣です。
ウッドデッキの材料はどのようなものを使っていますか?
耐候性のあるものは、南米アマゾン産のイペやインドネシア、マレーシア産のウリンやセランガンバツ、ある程度時期が来たら取替えをすることを前提で、ヒノキやマツ、スギなどを使いコストを抑える場合もあります。
樹脂と木粉を混ぜ合わせ、押出し成型した樹脂木材というものも、腐らず、退色せず、半永久的に長持ちするので使います。
イペやウリンを上回る耐候性があるわけですが、ものによっては、夏の陽射しの強い日には、高温になりますので、素足の場合、火傷の危険性がありますので注意が必要です。
また、デッキ材を支える束や大引、根太を廃タイヤを溶かして固めたプラスチック角材を使ってコスト抑えたりもします。
ウッドデッキだけをDIYで作ることも可能ですか?DIYの支援などもやっていただけるのでしょうか?
ウッドデッキの構造は簡単ですので、作り方は、ネットや雑誌でも紹介されていますし、DYIがお好きな方は、比較的簡単に出来るのではないでしょうか。
樹種の選定、入手方法や作るコツのようなことは、実際、時々聞かれますので、その都度アドバイスさせていただいております。
ハウスメーカーや工務店ではなく、貴社にウッドデッキの家を依頼するメリットとは何ですか?
ただリビングの前には、ウッドデッキを設置するというような、単純な扱い方ではなく、車椅子で家を出入りするための装置であったり、二世帯住宅の親、子、孫、みんながコミュニケーションを取りやすい場の提供であったり、部屋に囲まれた中庭につくる屋根のないもう一つの部屋だったり、もうひと捻りふた捻り工夫を施しながら、さらに豊かな空間づくりを提案しております。
遠藤浩建築設計事務所 遠藤浩さんのウッドデッキ・設計事例
画像 | 建物の名称 | 紹介文 |
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全て障子で仕切る家 | 建具を全て障子にすることで、室内に柔らかい雰囲気を創りました。 | |
大木を柱に3本使った家 | お施主さんの要望は 落ち着いたタタズマイ(和のテイスト)で頑丈な家であることでした。そこで この家は丸太を使うこと積極的に考えました。 | |
海の見える家 | 海から100mの敷地に建つこの家は、抜群の展望です。 | |
ウッドデッキのある二世帯住宅 | 1階、親世帯(夫婦)、2階、子世帯(夫婦+子供2人)の完全分離の二世帯住宅。 | |
北浦和の家 | バルコニーの南側隣地にズラリと並ぶ2階建ての家・家・家・・・。この家々をかわし 東西に細長い敷地に “如何にして1階まで 日の光を入れるか?”がこの家の最大のテーマでした。 |
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