生活される方の視点に立ち豊かな過ごし方ができるグループホーム・荻原雅史建築設計事務所 荻原雅史さん


 
グループホームの開業には、クライアントの方の高い志を適えるために、収支計画の算定や多くの設置基準への適合、行政との綿密な折衝などクリアしなければならないハードルは数多くあります。
 
グループホームについて荻原雅史建築設計事務所 荻原雅史さんに伺いました。

お話を伺った建築家

 

ユーザー 荻原雅史建築設計事務所 荻原雅史 の写真
中野区本町6-44-3-101
03-6454-1427

グループホームとは何ですか?

 
公益社団法人日本認知症グループホーム協会によりますと、認知症グループホームの本旨は、「認知症の方が小規模な生活の場で少人数を単位とした共同住居の形態で、食事の支度や掃除、洗濯などをスタッフが利用者とともに共同で行い、一日中家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活を送ることにより、認知症状の進行を穏やかにし、家庭介護の負担軽減に資することにある」とあります。
 
認知症グループホームは老人福祉法においては第二種社会福祉事業と位置づけられ、特別養護老人ホームなどいわゆる社会福祉施設とは異なります。
建築基準法では共同住宅や寄宿舎、老人福祉施設などとして用途上取り扱われることがあり、法的に位置づけが曖昧であるようです。
  
認知症高齢者を対象としたグループホームの歴史を紐解くと、1980年代に、スウェーデンの小さな街の一般的な二階建ての家ではじめられたグループリビングケアと呼ばれるケアが、今のグループホームの発祥といわれています。
 
日本では1990年代はじめにグループホームのような建築形式がはじまったようです。厚生省も1996年に「痴呆性老人のためのグループホームの運営事業」に着手し、翌年に運営費の補助制度を創設しました。
そういう意味では比較的新しいビルディングタイプであるといえるかもしれません。現在は認知症対応型である認知症高齢者グループホームのみならず、学習障害など、他にもさまざまな障害に対応したタイプのものがあります。
 

貴社がグループホームを手がけたきっかけがありましたら教えて下さい。

 
知人の紹介で、すでに別の場所で、グループホームを経営されておられる方から相談を受けたのが、一番はじめにグループホームを手掛けさせていただいたきっかけです。
 
クライアントは、すでに土地を所得されておられたのですが、資金面や行政機関との調整も含め様々な要因が重なりしばらく計画が塩漬けになっていました。
 
加えて計画を難しくしている要因に、場所が都内で、敷地面積が狭く東京都の安全条例で定められた窓先空地(避難経路)を確保すると収支に見合う一定数の住居の確保が難しいということもありました。
そこで、再度計画を仕切り直し、基本計画、行政や消防との協議からはじめさせていただきました。
 
計画当初はグループホーム特有の基準を把握することや、補助金に間に合わせるためのタイトなスケジュールに乗せることなど苦労することも少なくはありませんでしたが、クライアントや行政の方等と綿密に打ち合わせをすることで一歩ずつですが計画を前に進めることができました。
 

 

グループホームの間取りを考える際に気をつけていることを教えて下さい。

 
共同生活住居毎に、常勤換算で、利用者:介護職員=3:1以上の比率で介護職員を配置することが定められています。
間取りを決定する際も、この職員人数とのバランスを考慮しながらユニット数を考えています。
 
また、とかく敷地にゆとりの無い場所では各居室が画一的に配置されがちです。
同じ居室の広さでも動線スペースや共用のスペースの配置の仕方によって居住環境はとてもよくなると考えているので、生活される方の視点に立ち少しでも豊かな過ごし方ができるよう心がけています。
 
 

グループホームにはなにか基準があるのでしょうか?

 
人員基準、設備基準、立地基準、運営基準が主にあります。
特に建築的な設備基準としては、主に以下のような基準があります。
 

  1. 1事業所当たり、ユニット(共同生活住居)の数が2以下であること。
  2. 1ユニット(共同生活住居)は、定員が5人以上9人以下であること。
  3. 居室・居間・食堂・台所・浴室・事務室・面談室などの必要な設備を有すること。
  4. 居室は、原則として1名ずつの個室(但し、夫婦で利用する場合は2人部屋でも可能です)とし、床面積が有効面積で7.43㎡以上(和室の場合は4.5畳以上)あること。
  5.  

グループホームの設計で気をつけているポイントを教えて下さい。

 
建築本体の設計の充実もさることながら、周囲の環境にも配慮をおこない、近隣の方々にも理解を頂くことが建築後の運営をスムーズにおこなうためにも重要だと考えています。
まだまだ一般の方々にはグループホームがどのようなものか浸透していない部分もあり、不安に思われる近隣の方もおられるからです。
 
グループホームはそれ単体での運営に加え、如何に地域の方々と結びついて交流しているかといったことも非常に重要です。
計画・設計のプロセスの段階から地域の方々にある程度情報公開や説明をおこなう必要も感じています。
 
入居者と運営スタッフが介護する-されるという立場ではなく共に生活するといった点が大きなグループホームの特徴でもあります。
 
したがって、設計においては、基準に適合することはもちろんのこと、生活される方と運営される方どちらか一方にとって使い勝手がよいというだけではなく、双方の視点に立ち居心地・プライバシー・セキュリティ・緊急時の避難等あらゆる面が充実するように気を付けています。
 

グループホームの補助金の手続きなども手伝っていただけますか?

  
勿論可能です。
 
グループホームは各自治体や年度によっても建築状況が大きくかわってきます。
自治体によってはすでにご計画のエリアで施設が飽和状態になっていたり、逆に不足していたりすることもあります。
またタイミングによってはすでにその年度の事業所整備の募集を締め切ってしまっているということも間々あるようです。
 
そういったことからも特に行政の方との綿密な下打ち合わせや協議が必要になってきますので、お気軽にお問合せいただき、まずはご計画地の行政的な状況把握からお手伝いさせていただきます。
 

グループホームを開業したいがなにからはじめたらよいかわからない方の相談にも乗っていただけますか?

 
勿論可能です。
うちの事務所は敷居がとても低いのでお気軽のご相談ください。
 
グループホームの開業には、クライアントの方の高い志を適えるために、収支計画の算定や多くの設置基準への適合、行政との綿密な折衝などクリアしなければならないハードルは数多くあります。
 
ある意味、制度的には非常に複雑化しており、流動的な部分もあるともいえます。
そういう意味で、事業者の方々、建築の専門家、行政・福祉の専門家等それぞれのエキスパートがチームを組んでそれぞれの専門分野の課題を克服することが重要になります。
 
一緒に、1つずつ課題をクリアにしていきましょう。
 

御社が設計するグループホームの特徴はどんなところですか?

 
グループホームは認知症の方々が今まで永年慣れ親しんだご自宅から新たに入居されるというケースも間々あります。
したがっていくら居住環境や設備が素晴らしくてもそれだけでは入居される方々の新たな生活への不安が解消されえないのではないかと考えています。
そういう面から、できるだけ生活の気配を感じる空間づくりや古い記憶に配慮した空間づくりをおこなっています。
 
例えば、それぞれの居室からリビングやダイニングの気配を感じられるように配置することや、敢えて水栓を入居の方々になじみのある旧式のひねるタイプのものにしたりするといった具体です。
時には建築だけではなく家具やインテリア、日用品も含めたアドバイスをさせて頂くこともあります。
 

荻原雅史建築設計事務所 荻原雅史さんのグループホーム・設計事例

  

画像 建物の名称 紹介文
阿佐ヶ谷のグループホーム

杉並区阿佐ヶ谷におけるグループホームです。 間口が狭く奥行きのある敷地に、法的に必要な窓先空地を確保し、残余の部分において高齢者に配慮したシンプルな空間構成としました。居室・リビング等の居住スペース部分とエレベーター・階段など避難導線部分の2つのボリュームから構成されています。

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