要介護状態になっても暮らしやすいサービス付き高齢者向け住宅・荻原雅史建築設計事務所 荻原雅史さん


 
サービス付き高齢者向け住宅は介護度の低い健常な方でも、万が一要介護状態になっても暮らしやすいように、介護動線まで考慮した綿密な動線計画がとても重要です。
 
サービス付き高齢者向け住宅について荻原雅史建築設計事務所 荻原雅史さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 荻原雅史建築設計事務所 荻原雅史 の写真
中野区本町6-44-3-101
03-6454-1427

 

サービス付き高齢者向け住宅とはなんですか?

 
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢化や独居化が急速に進む中で、高齢者の居住の安定を確保することを目的として、バリアフリー構造などを有し、介護・医療と連携し高齢者を支援するサービスを提供する住宅です。
 
都道府県知事への登録制度のもと国土交通省・厚生労働省の共管により創設されたビルディングタイプです。
「サ高住」(さこうじゅう)と略して呼ばれることが多いです。
 

貴社がサービス付き高齢者向け住宅を手がけるようになったきっかけがあれば教えてください

 
サ高住の設計に携わる前に、グループホームの設計を縁あって手掛ける機会がありました。
高齢者施設はさまざまな基準や協議、ノウハウが必要になることから、その時の経験が買われお声掛けいただきました。
 

 

サービス付き高齢者向け住宅にはどのような基準があるのでしょうか?

 
登録基準は建築・設備、サービス、契約の3つにおいて各々設けられています。
また各都道府県毎に独自基準が定められていることがありますので、事前協議が重要になってきます。
 
建築・設備に関して大きなところでは、下記のような基準があります。
 

  • バリアフリー法への適用(車椅子利用者の円滑化経路の確保、EVや廊下幅などの寸法規定、多目的トイレなど各種設備の設置など)
  • 各専有部分の床面積が原則25㎡以上(共用の居間・食堂・台所その他が十分な面積を有する場合は18㎡以上)
  • 各専有部分に台所、水洗便所、洗面設備、収納設備、浴室の設置(共用の台所、収納、浴室が適切に確保されている場合は専有部分に水洗便所、洗面設備を備えていれば可となる場合も有り)

 
サービス面では、状況把握サービス及び生活相談サービスを提供することが求められ、ケアの専門家が少なくとも日中常駐することが求められます。
 

サービス付き高齢者向け住宅の建設費はどれくらいですか?

 
サービス付き高齢者住宅の建設費は一般的な住宅に比べると若干高くなりがちです。
その要因としては、個室以外の共用部やエレベータ、スプリンクラーなどの設備に費用がかかること、各部屋の大きさが一般的な住宅に比べやや小さいため設備費用のウェイトが大きくなることが挙げられます。
建築の規模、地域性やその時の社会情勢により変わりますので一概にはいえませんが、都心部では木造でも60万/坪~は考えなくてはならないと思います。
 

サービス付き高齢者向け住宅を設計する上で注意している点を教えて下さい

 
バリアフリーや補助金等諸々の基準に適合することは勿論ですが、介護度の低い健常な方でも、万が一要介護状態になっても暮らしやすいように、介護動線まで考慮した綿密な動線計画がとても重要だと考えています。
また、サービス付き高齢者住宅は、補助金の投入などからも住宅でありながら公共性の高い建築であると言えます。
そのため、イニシャルコストなどの短期的な視点のみならず、40年、50年といった長期的な視点にたって持続・更新可能な仕上げや設備の選定をおこなっています。
 

実際に住む高齢者のために配慮している点があったら教えて下さい

 
運営の立場から、安全性や見守りを重視しすぎると、とかく画一的で逃げ場のない窮屈な建築になりがちです。
そこで、サ高住を計画する際には、大勢で集まることができる大きいスペース、数人で集まれる中くらいのスペース、適度にプライバシーが守られひとりの時間が過ごせる小さなスペースをちりばめるように配慮しています。
また上層階はどうしても外とのつながりが希薄になりがちになりますので、開口部の位置や大きさへの配慮、デッキなどの半屋外空間の設置などをこころがけています。
 

施設で働く職員のために配慮している点があったら教えて下さい

 
こういった施設では、入居される方と働かれるスタッフとの関係も大変重要になってきます。
スタッフ側の観点からみて、安全・安心に見守れる建築計画とすることも勿論重要ですが、そこで長い時間を過ごすスタッフにも快適に働いていただけるよう、事務スペースの充実を図るとともに、家具や照明などの配置やデザイン、色遣いにも気を配っています
 

「吉川サービス付き高齢者向け住宅」・平面図

 

吉川サービス付き高齢者向け住宅・1階平面図

↑1階平面図

吉川サービス付き高齢者向け住宅・2階平面図

↑2階平面図

なにから始めたらよいかわからない……という方の相談にも 乗っていただけますか?

 
勿論可能です。
まずはお話だけでもお気軽にご相談ください。
  
サービス付き高齢者向け住宅の開業には、クライアントの方の高い志を適えるために、運営体制の確立、収支計画の算定や多くの設置基準への適合、行政との綿密な折衝などクリアしなければならないハードルは数多くあります。
 
また制度的にも非常に複雑化しており、流動的な部分もあるともいえます。
そういう意味で、事業者の方々、運営する方、建築の専門家、行政・福祉の専門家等それぞれのエキスパートがチームを組んでそれぞれの専門分野の課題を克服することが重要になります。
 
一緒に、1つずつ課題をクリアにしていきましょう。
 

補助金申請の手続きなども手伝っていただけるのですか?

 
補助金申請の手続きなどでは、ソフトである運営面の体制準備とハードである建築面の計画準備が大変重要になってきます。
特に建築計画面では専門的な知識が必要になってきますので、行政の方との綿密な下打ち合わせや協議などを代行させていただき、ご計画地の行政的な状況把握をさせていただきます。
 

サービス付き高齢者向け住宅を建てたい方になにかアドバイスがあればお願いします

 
土地の活用をされたい方、福祉関係の経営をされており新たにサービス付き高齢者住宅の運営を考えておられる方などから色々とご相談を受けています。
計画には、運営、建築、行政関係のノウハウと専門的な知識が必要になってきますので、1つ1つのファクターやスケジュール感がとても重要になってきます。
ぜひ計画の構想段階から専門家への相談をなさってください。
 

荻原雅史建築設計事務所 荻原雅史さんのサービス付き高齢者向け住宅・設計事例

  

画像 建物の名称 紹介文
吉川サービス付き高齢者向け住宅

埼玉県吉川市のサービス付き高齢者向け住宅です。
38室43人分の居室がある2階建施設です。
食堂・居間や浴室等からなる共用部と1人若しくは2人(ご夫婦)用の個室から
構成されます。