医療者・患者・関連業者の動線を区別した診療所・加藤隆久都市建築事務所 加藤隆久さん
診療所の間取りでは医療者の動線、患者の動線 そして医薬品など関連業者の動線を区別することが重要です。
診療所について、加藤隆久都市建築事務所 加藤隆久さんに伺いました。
貴社が診療所を手がけるようになったきっかけがありましたら教えて下さい
庭が見える診療所の仕事は、知人のインテリアデザイナーが施主と知り合いで、住宅と診療所の移転計画の設計を相談されましたが、計画内容を見てインテリアデザイナーでなく建築家に依頼すべきと紹介されました。
経験としては、知人の医者から診療所の設計を依頼されたこともあります。
さらに、以前組織事務所にいたとき総合病院の建て替えを含む再開発(９年かかりました)にも携わったことがありました。
診療所と病院の違いを教えて下さい
病院：ベット数20床以上、診療所：ベット数0～19床以下。
診療所はどのような施設基準があるのでしょうか？
医療法と関連法規、建築基準法と関連法規など
診療所を設計する際に注意している点を教えてください
新規開設か建直しかによりますが、医療行為で特に配慮したいことの確認。
建直しの場合は、今までの経験で工夫していることあるいは不具合を感じていることなどの確認。
診療所の間取りで注意している点を教えてください
医療者の動線、患者の動線 そして医薬品など関連業者の動線を区別すること。
廃棄物は産廃処理と通常処理に分ける必要があること。
医療者の休息スペースも大切であること、など。
庭が見える診療所の依頼者からはどのようなご希望がありましたか？
それまでの診療所と住居は敷地内に別棟としてありました。
敷地移転の建て替えでしたが、診療所と住居が１棟としてつながりながら、プライバシーやセキュリティは完全に分離してほしいということがご希望でした。
庭が見える診療所は住宅も併設しているそうですが、住宅を併設する上で配慮した点があれば教えてください
施主の希望どおりプライバシーやセキュリティは完全に分離しながら院長先生の行き来はセキュリティのかかる扉１枚としました。
その希望をどのように叶えましたか？
診療所と住宅をそれぞれ方向の違うL字形とし、住宅は南の庭を囲み、診療所は北の庭を囲むことにしました。
いずれも敷地形状を生かし、庭と建物が一体となって魅力ある空間を創ることを目指しました。
土地探しから相談にのっていただけますか？
今までも候補地について建築的条件からアドバイスして土地を購入された施主がいます。
土地を探すことはできませんが、候補の土地についての建築的アドバイスはできると思います。
診療所を開業したいと思っている方になにかアドバイスがありましたら教えて下さい
建物は、機能を満たすことが必要条件ですが、人がその中で人生の多くの時間を過ごすことを考えれば、そこで過ごすことに魅力を感じる空間でなければ十分条件を備えているといえません。
最近は、オフィス(事務空間)ですら生活の場としてとらえるべき時代です。
施主に希望することはありますか？
空間の魅力と価値(難しい意味はありません)を評価する人のために設計したいです。
加藤隆久都市建築事務所の診療所・設計事例
| 画像 | 建物の名称 | 紹介文 |
|---|---|---|
 | 庭が見える診療所 | 長さ８０ｍの敷地を有効に使い、複雑な機能的要望を満たすため、多くのケーススタディを造って計画の整理をした。最終的には住宅と診療所の２つのL字形を組み合わせ、内部と外部の調和と統合により豊かな空間を造ることを目指した。 |
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