医療施設としての機能性を最優先にした診療所・株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘さん


 
診療所は人命を扱う施設ですので医療施設としての機能性が最優先されます。
 
診療所について株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

  

ユーザー 株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘 の写真
東京都文京区本駒込5−2−5フローラ本駒込602
03-6902-0108

 

貴社が診療所を手がけるようになったきっかけがありましたら教えて下さい。

 
YKK健康管理センターは工場跡地の有効活用計画の中で企業診療所を設置したいとの要望から実現しました。
わかたけの杜では高齢者施設における医療ケアの必要性からサービス付き高齢者向け住宅と複合したに24時間対応の在宅療養支援診療所として実現しました。
 
いずれも母体となる施設をサポートする診療所ですが、一般の診療所と機能は変わりません。
 

 

診療所と病院の違いを教えて下さい

  
医療法により決まっています。
病院は20床以上の入院施設を持つ医療機関です。
(医療法第1条の5第1項)
つまり入院患者のベット数が20以上の、比較的規模の大きい医療機関を指します。
 
一方診療所(クリニック)については無床もしくは19床以下のものと小規模の医療施設となります。
(医療法第1条の5第2項)。
 

診療所はどのような施設基準があるのでしょうか?

 
建物に係る主な法律は、医療法、自治体条例、建築基準法、都市計画法、建築基準法施行令、消防法、バリアフリー法などよって立地から各部寸法など細かく規定されています。
同じ項目でも法律によって異なる規定がある為、各法律の中で最も厳しい規定を守る必要があります。
 

診療所を設計するで注意している点を教えてください。

 
まずは運営されるドクターのご意見を第一に考えます。
人命を扱う施設ですので医療施設としての機能性が最優先されます。
 
建築界においては医療施設にデザインの良い名作が少ないと言われることがあり、全国どこに行っても同じような施設がたくさんできてしまいました。
しかし、「機能=命を扱う」といったことを考えた場合の当然の帰結でもあります。
 
では建築家は何もできないのでしょうか?。
そうではありません。
外観や医療行為と直接は結びつかない外観や待合室などではデザイン的試みが可能でしょう。
 
しかし、私たちは待合室ではなく実際の治療行為が行われる診察室において「病院的な」空間を変える必要性を感じ、絵を飾ったり壁紙を暖かい色調にするといった付加的方法ではなく、もっと本質的な部分で診療所を変えたいと思っています。
 

 
 

YKK健康管理センター(診療所)の依頼者からはどのようなご希望がありましたか?

 
規模や機能、必要所室の面積や予算、利用者のプライバシーへの配慮など、ドクターとクライアント双方から事細かな要望がありました。
また、計画敷地敷全体を「森」として再生することが決まっておりましたので、環境との調和は最も望まれたことでした。
 

その希望をどのように叶えましたか?

 
まず敷地との関係ですが、敷地のランンドスケープデザインが企業イメージを象徴する一つの風景となるよう、森の中に点在する「ルーム」(芝の矩形広場)のコンセプトが導入されていることから、森とルームの接点に沿って施設を配置することで風景の一部となるようにし、ルームに対して閉じる一方森に対しては最大に限開くことを考えました。
 
森とルームの境界線に金属メッシュ型枠表しの壁面を立て、将来壁が錆びて植栽と一体化するようにすることで景観に配慮し、その上に内部の機能に合わせた凹凸を持つ薄くて軽い屋根を壁との隙間をつくってそっと浮かせました。
これによって開かれたルームに対してはプリバシーを尊重しつつ屋根と壁のスリットから光と風が入り、森に対して最大限開かれたプランを実現しました。

内部では、待合室や職員の食堂などはルーム側の閉じた壁面とスリット開口からの光と影が印象的な静かな空間とし、診察室など医療行為が行われる部屋を森側に配置しました。
 
体を見せる行為が行われる診察室は本来最大限のプライバシーを尊重した閉じた空間とすることが原則ですが、あえて大きな窓を開けて積極的に患者に自然「森」を見せることによる心理的な効果「緑が望める病室では患者の治りが早い」という行動科学における調査論文をテーマとしました。
 
つまり医療空間にエビデンスに基づくヘルスケアデザインを持ち込むことで医療行為が行われる新しい空間を実現したのです。
 

 

土地探しから相談にのっていただけますか?

 
診療所の土地探しで重要なことは、地域での同業競争など開業する場所の選定を誤れば経営を左右しかねません。
地域の総人口や年齢別構成、発展性や将来性、交通の便などのマーケティングを把握した上で、条件に叶う適切な場所を決定するということが不可欠です。
 
私は建築家ですので診療所の土地探し専門のコンサルタントと相談しながら土地を探す必要があります。
また、診療所は一般的な個人開設のほか、企業診療所や高齢者施設に付属する、店舗のようにテナントとして入る場合など様々な形態があります。
 
その都度ご要望に沿うようにしています。
 

診療所を開設したいと思っている方に なにかアドバイスがありましたら教えて下さい。

 
診療所は当然医療行為が行われる場ですが、一方不安を抱えながら来る患者とドクターが対峙するコミュニケーションの場(居間)でもあります。
地域によっては高齢者のコミュニティーの一端を担っている側面があるかもしれません。
衛生的で冷たい機能的な側面と、居間としての癒しの側面との両方のバランスが大切です。
 
大都市では開放的に作ることが難しい場合がありますが、光や風や緑、実際の広さを補う豊かさを空間に取り込む方法は無限にあります。
そこが建築家の腕の見どころでもあります。
  
設計者とたくさん話し合って、多くの案を比較検証して最良の答えにたどり着くことが必要です。
また、機能を損なわない範囲で少しだけ常識を疑うことも必要かもしれません。
 
私たちは診療所や病院を専門としている設計者ではありません。
住宅から高齢者福祉施設や学校など様々な種類の施設をこれまで設計してまいりました。
その引き出しの多さから医療施設専門の設計者と違った良い意味での「型破り」な提案をすることがあります。
  
「医療施設の常識を知らないのか」とお叱りを受けることもあるでしょう。
しかしその中で化学反応が起こり常識や慣習を見直すきっかけとなり、新しい診療空間を生み出してきました。
  
設計者とのコミュニケーションを大切にし、お互いになんでも言える最良の設計パートナーを見つけることが設計者選定に際してもっとも重要なことではないでしょうか。
 

 

診療所の最新作があれば教えて下さい

 
最新の診療所建築事例はサービス付き高齢者向け住宅「わかたけの杜」との複合建築として2015年 度グッドデザイン賞金賞(経済産業大臣賞)を受賞しました。
以下のhpをご覧ください。 
 
・グッドデザイン賞
http://www.g-mark.org/award/describe/42926
 

株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘さんの診療所・設計事例

   

画像 建物の名称 紹介文
わかたけの杜 クリニック棟(診療所 訪問看護・介護事業所 サービス付き高齢者向け住宅)

サービス付き高齢者向け住宅(ワンルーム20㎡4戸、1DK40㎡4戸)、24時間対応在宅療養支援診療所、24時間訪問介護・看護事業所を併設した複合建築物です。

YKK健康管理センター(診療所)

富山県黒部市にある企業診療所です。

 

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