古民家再生・インタビュー・田中博昭建築設計室 田中博昭さん
歴史を背負っている建物を、しっかり後世に伝えていくことは大事なことです。
古民家再生について田中博昭建築設計室 田中博昭さんに伺いました。
貴社が古民家再生を手がけたきっかけがありましたら教えて下さい
設計事務所を開設した時の最初の依頼が古民家ではありませんが、民家の再生(増築・改修など)でした。
このときの普請は陶芸作家の「おもてなし空間づくり」のお手伝いでもありました。
古いものと新しいものを違和感なく融合することの感動を得た瞬間でもありました。
この普請の経験が今日の設計スタイルを決定づけている要素の一つになっている気がします。
参照:住宅建築1990・12月号
古民家再生のメリット・デメリットを教えて下さい。
それぞれの価値観での捉え方で、デメリット・メリットと判断するのでしょう、
敢えて、デメリットは新築以上に現場検証や設計に時間を要することです。
内外部の床・壁・天井や設備も蓋を開けてみないと予測できない場面に出くわすことがあります。
雨漏りによるシロアリ被害や腐れなど化粧で覆われている部位は特に顕著です。
痛みの進行状況では、クライアントへのプラン変更と説明なども当然出てきます。
建築家の経験が問われるときでもあります。
メリットとしてお話しさせていただきますと、その建物が刻んできた歴史を共有できること。
また、いろんな部位を扱いながら、当時の職人さんの息遣いが聞こえてくるように感じています。
手当次第では新築以上の耐用年数があります。
古民家再生のポイントについて教えて下さい
古民家を再生するときは、旧情復元が基本だと思っていますが、普請当初と比べ、現代の住まい方には大きな変化が起きてるわけで、そのままでは使えないことが多分にあります。
構造的な手当てを施したり、傷みの酷いところは思い切った減築も必要だと感じています。
これには、建築家の経験、技量、デザイン力、臨機応変な対応と大工さんの技術力が必要になってきます。
また、打ち合わせの為、現場へは新築とは違って頻繁に出向くことになります。
古民家再生の費用は新築に比べてどうなのでしょうか?
新築に比べコストは抑えることができると思っていますが、水廻りは新たに改修すると新築以上にコストは掛かるようです。
リフォーム会社でなく貴社に古民家再生を依頼するメリットを教えて下さい。
意匠面だけでなく、建物の歴史を受け止め、語りかけてくる建物に耳を傾けます。
構造面からも、しっかり手当てしながら最善の方法を検討していきます。
わがアトリエでは、パートナーに使い勝手などの動線計画を、詳細設計を私が担当しています。
二人のバランスが必要になってきます。
古民家を再生したいと思っている方になにかアドバイスがありましたら教えて下さい。
歴史を背負っている建物を、しっかり後世に伝えていくことは大事なことです。
スクラップアンドビルドより、古民家は再生すれば、今風の新築建物以上に耐用年数があります。
是非、この機会に終の棲家として空き家の再構築利用なども検討されてはいかがですか。
最初のご相談は無料ですので、お気軽にどうぞ。
日本人の心には「もったいない精神」が今も宿っています。
家具や衣類、小物まで時代の流れの中で受け継がれていきます。
建物もそうでありたいと願っています。
戦前に普請された建物は、戦後復興のために出来た建築基準法の括り以前のもので、大工方の技術が最高水準まで達した建築なのです。
このような時代背景の建物を見逃すわけにいきません。素晴らしい遺産です。
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