配線工事
工事で行う場合は当たり前のことですが床、壁、天井内に配線を隠蔽します。
ただ、普通の通信用信号線とは違う扱いもあり注意が必要です。
建築の電気工事と同時にシアターシステム用スピーカーケーブルを支給、或いはメーカー、型番を指定して施工してもらいます。
同時に扱いを慎重にする必要がある映像ケーブルは木造等でも配管方式で配線を施工してもらいます。
ケーブルの規格が変わることもありますが、機器への取り回し(将来の機器交換等も含めて)でコネクターが痛み、突然使えなくなり交換する場合があります。
映像ケーブルはコネクター付きで配線しますので、そうした配慮が必要です。
その他に、リモコンの為の赤外線信号ケーブルやLANケーブルも施工してもらいます。
全て、通常の弱電工事であり、これらを床、壁、天井内に施工し機器の直前で体裁良く取り出しが出来ないと本格的なシアターシステムとは言えなくなってしまいます。
とても納まりの良い壁面取り出し用のスピーカー端子や映像端子がありますが、ノイズの混入や信号の劣化防止の為になるべく通線孔等で直接に機器に接続したいものです。
配線の種類と量が多いので、現場との打ち合わせがかなり重要です。
ビルトインスピーカー
スピーカー類は新築ならば壁や建具の中にボックスを作りその中に入れて見えないようにします。
そのための設置方法やスピーカーを隠す専用スピーカーネットの納まりとその配色にも気を使います。
ただ、一部のデザイン性の高いスピーカーメーカーのものはインテリアの要素として積極的に見えるように建築側のデザインを調整したりすることもあります。

↑壁面収納の扉の中に仕込んだフロントスピーカー

↑壁に仕込んだフロントスピーカー。扉や壁に同面、枠無しでスピーカーサランネットを納めている。
プロジェクターのビルトイン
当初からその投影距離を計算に入れた位置に機器を建築にビルトインさせます。
これも下がり壁や収納スペース等があれば、その部分に仕込みます。
あとは天井内にビルトインさせる場合にも前述のように機器のカバーをデザインして意匠にしてしまう場合もあります。
狭いスペースにビルトインする場合には機器の発熱量が大きいので、ファンによる排熱とそのためのサーモスイッチを設置する場合もあります。

↑壁面にビルトインされたプロジェクター、排熱とメンテの為に開閉可能な化粧格子にて納めている。
大型液晶テレビのビルトイン
液晶テレビを映像機器として使う場合には、大型の液晶画面自体を出来るだけ壁や造り付け家具の中に入れて、利用していない時にはあの真っ黒なディスプレー面を見せないようにしています。
インテリア空間に脈絡の無い黒い大きな無機質の面が存在するのは強く避けたいと考えています。

↑液晶テレビ収納用の造作家具扉(上下に壁面センタースピーカーとフロントトップスピーカーがあり、扉が空いた時には音が通るように、扉はスピーカーネットで作られている。

↑液晶テレビを出した状態(扉は上下に開き)テレビはメンテ時にはダンパーヒンジで手前に倒せる機構を持っている。
ビルトイン機器スペース
アンプやディスクプレーヤー類は収納スペースや造作家具の中に見えないように収納させることが私のシアターシステムの大原則です。
メタリックで冷たい機械とその中に表示される表示ランプ類はインテリア空間とは異質の存在です。
ただ、機器の操作は殆どが一般的に赤外線リモコンであり、その信号を隠蔽された機器に送る為の赤外線伝送システムを用意しています。
この赤外線システムは壁や天井面に小さな受光器だけを設置するだけなので、殆どその存在さえも気が付かない程度で済みます。
残念ながら適当な赤外線システムが国内に無いため、輸入して使っています。
また使い勝手上は、ディスク交換のやり易さを配慮して必要なディスクレコーダーやプレーヤー類はユーザーのすぐ近くに配置することもよくやります。

↑ダウンライトの直径が110mmなので受光器が小さいのが分かる

↑壁面に設置する赤外線受光器で直径15mm厚さ4.5mmのコインより小さい形状で、受光すると小さなLEDが光るので信号が受信されていることを確認できるようになっている。
リモコンの統合
多くのリモコンが部屋の中に散らばるのは好ましい風景ではありません。
リモコンを少なくする方式は、今ではかなり選択肢が増えた世界となりつつあります。
ここにきて急にはやり始めているスマートスピーカでも可能なようですが、一番原始的な方法は学習リモコン或いはプログラムリモコンです。
私がいつも使っている赤外線伝送システムのメーカーにもいくつかのシステムがあります。
これについて解説するとそれだけで本が書けるかもしれません。
リモコンに関しては、凝り始めれば簡単なプログラムを組むことで、ワンタッチで電動の遮光カーテンを閉め、同時にスクリーンを下ろし、アンプ、プロジェクター、プレーヤー等の電源をオンにし、最後に天井の照明をまるで映画館のような感じで徐々に暗くすることも出来ます。
また見終わった時点で、その逆の手順で部屋を通常の状態に戻すことさえもワンタッチで行えます。
ここまで行うと、たまにではありますが、メーカー間の赤外線信号等の相性や赤外線信号のノイズで動かないリスクも出たりします。