セルフビルドの設計・工事監理・確認申請を依頼したい方へ

セルフビルド

セルフビルドとは?

 
セルフビルドとは自分の家を自分で建てる事です。
もちろん自分ですべてを作ることも可能です。
 
また、ハーフセルフビルドと言って、大変なことや危険なことはプロに任せて比較的簡単なことだけを自分でやることでもできます。
 
私としては
・設計・工事監理を建築士に
・基礎工事を基礎業者に
・棟上げまでの木工事を大工さんに
・給排水工事を給排水業者に
・電気工事を電気業者に
依頼することをオススメします。
 
こうするとかなり楽をすることができると思います。
 

セルフビルドに資格は必要か?

 
法律的に個人でも自分の家を自分で建てることは特に問題ありません。
 
しかし、木造住宅の場合、100m2を超えるか、3階建以上の場合は設計・工事監理は建築士でなければすることができません。
(地域によっては条例によって上記の数字が違うことがあります)
工事監理というのは工事が設計図通りに行われているかどうかを確認する仕事です。
 
電気工事は電気工事士でなければ行うことができない部分があります。
給排水工事は公設の上水道管に繋ぐ部分については自治体の指定した業者でないと工事できない場合があります。
 
必要な部分だけをプロに依頼すれば比較的、楽にセルフビルドすることができます。 
  

セルフビルドと確認申請

  
延べ床面積が100m2以下・3階建て以下の木造建物は自分でも設計・工事監理を行うことが可能です。
確認申請も一応、受け付けてくれます。
ただし、一般の方が確認申請を出す場合は、提出するべき書類・図面が増えます。
特に姉歯建築士の構造計算書偽装事件以降は審査などが厳しくなっています。
詳しくは自治体の建築審査課などでご確認ください。
 
100m2を超えた場合は建築士に設計・工事監理を依頼する必要があるので、確認申請も建築士に依頼した方がいいでしょう。
  

セルフビルドの場合、住宅ローンは利用できるか?

結論から言うと、セルフビルドの場合でも住宅ローンを組むことは可能です。
セルフビルドで家を建てたい方から
「銀行に相談したところ『工務店やメーカーを通さないとローンは組めない』と言われた」
という相談を受けたことがあります。

住宅ローンの審査基準

住宅ローンの審査基準は各銀行で秘密にしていますが、一般的には下記のような基準で審査しているようです。

住宅ローンを返せそうかどうか?

例えば

  • 頭金の有無
  • 住宅ローンの金額
  • 完済時の年齢
  • 現在の年齢
  • 年収
  • 勤務先の勤続年数
  • 他に債務などがないか

などからあなたに融資した場合、返済できるかどうかを審査するようです。

担保があるか?

一般的に住宅ローンを借りるためには土地・建物に抵当権を設定します。
あなたが住宅ローンを返せなくなったら、土地・建物を差し押さえて競売にかけ、債権を回収します。

返せる?・返せない場合でも回収できる?

銀行としてはあなたに住宅ローンを貸した場合

  • 返せるか
  • 返せない場合は土地・建物を売って回収できるか?

などを審査しています。

銀行の担当者が『工務店やメーカーを通さないとローンは組めない』と言った理由

銀行の担当者が『工務店やメーカーを通さないとローンは組めない』と言った理由は下記のようなことが考えられます。

その銀行では前例がない

セルフビルドで家を建てるのは、ごく少数派です。
「工務店やメーカーを通さないとローンは組めない」
と言った銀行の担当者が

  • セルフビルドについて知らない
  • セルフビルドでの住宅ローンに前例がない
  • 担当者がそう思いこんでいた

と思われます。

住宅ローンを他の用途に流用されないため

住宅ローンは他の融資に比べて金利が低く設定されています。
銀行としては住宅ローンを貸した場合は必ず家を建ててもらう必要があります。
住宅ローンを他の用途に流用することは不正利用になります。
それを確認する方法として、ハウスメーカーや工務店の見積書や請負契約書を住宅ローンの融資の際に提出する必要があります。
セルフビルドの場合、ハウスメーカーや工務店の見積書・請負契約書がないため、上記のようなことを言われた可能性があります。

確実に家を建てることを確認したい

銀行は一般的に住宅ローンを借りるためには土地・建物に抵当権を設定します。
あなたが住宅ローンを返せなくなったら、土地・建物を差し押さえて競売にかけ、債権を回収します。
住宅ローンを貸す以上、確実に家を建ててもらう必要があります。
それを確認するためにハウスメーカーや工務店の見積書・請負契約書などを確認したいと思われます。

セルフビルドでも住宅ローンを借りることは可能

銀行の事前審査で必要な図面・書類を揃えて説明する

住宅ローンを借りるためには事前に建物の図面・見積書などの提出を要求される場合が多いです。
そのような場合はセルフビルド支援を行っている建築家・分離発注をてがけている建築家に依頼してください。
銀行の事前審査に必要な書類の作成をやっていただくことができます。

セルフビルド支援を建築士に依頼するメリット

 

確認申請で提出する書類が減る

 
建築士が確認申請を提出する場合は、確認申請の手続きを簡略化してもいいということになっています。
そのため、提出すべき書類・図面の枚数が減ります。
 

変更がしやすくなる

 
確認申請に書いた部分を変更する場合には確認申請の変更届けを提出する必要があります。
ご自分で確認申請をされた場合は、提出書類の数が多いので、ちょっとした変更でも変更届を出さなければいけなくなることが考えられます。
建築士に確認申請を依頼する事で細かい部分を変更しやすくなります。
 

工事監理をしてもらえる

 
ご自分の建物なのでもちろん念入りに施工されると思いますが、知らずに手抜き工事になってしまうことになる可能性があります。
建築士に工事監理を依頼していると
「ここの釘の間隔はは100mm以下にしてくださいね」とか
「ここにはこんな金物を付けてくださいね」とか
指摘してもらえますので助かります。
また中間検査などが必要な場合はその手続をしてもらうことができます。
 

アドバイスをもらえる

 
ご自分でわからないことはアドバイスをもらうこともできます。
また、建築士の知っている業者を紹介してもらうこともできます。
  

住宅ローンの審査に必要な図面・書類なども作成してもらえる

 
住宅ローンの審査に必要な図面・見積書などを作成してもらうことができます。
  

ログハウスをセルフビルドしたいあなたへ

最近ではログハウスがキットになって販売されています。
しかし、確認申請などは自分で手配する必要がある場合が多いようです。
ログハウスのキットを購入してセルフビルドを検討している方も、ぜひ事前に建築家に相談してください。
適切なアドバイスを受けたり、確認申請・工事監理などを依頼することができます。

建築家相談依頼サービスとは

 
建築家相談依頼サービスは一般の方が簡単に設計を依頼できる建築家を探せるサービスです。 
建築家相談依頼サービスに投稿すると、セルフビルド支援・セルフビルドの設計・工事監理・確認申請をしてもらえる建築士を簡単に探すことができます 
セルフビルドで家を建てたい方はぜひ建築家相談依頼サービスに投稿をお願いします。 
   

建築家相談依頼サービスの流れ

 
建築家相談依頼サービスの流れ
 
依頼を引き受けてくれる建築家を探すまでたったの2ステップ 
依頼したい仕事の内容を書きこむだけで 
依頼を引き受けてくれる建築家を探すことが出来ます 
  

  1. 依頼を記入する
    下記のフォームに建築家に依頼したい仕事の内容を書いて下さい。
  2.  

  3. 返信がメールで届く
    あなたの依頼を引き受けたい建築家から返信がサイトに掲載され、メールで届きます。
    返信を書いていただいた建築家にはプライベートメッセージを送ることができますので
    連絡をとりあってください。
    お断りする場合もお断りのメッセージを送っていただければ幸いです。

  

建築家相談依頼サービスの料金


 
建築家相談依頼サービスは会員建築家が支払う参加料で成り立っています。 
そのため、一般の方は無料でサービスを利用することができます。 
なので、参加していただいた建築家には誠実な対応をお願いいたします。 
   

セルフビルド支援を手がける建築家一覧

 

 
 

セルフビルド関連の設計事例

 

ページ

  

セルフビルド関連の依頼事例一覧

 

   

投稿する前のご注意

 
 
建築家依相談頼サービスは一般の方は無料で利用できますが、下記の点にご注意ください。 
  

冷やかし半分での投稿はご遠慮ください

 
  
当サービスは真剣に建築家に仕事を依頼したい方のためのサービスです。冷やかし半分での投稿はご遠慮ください。 
  

できるだけ返事をしてください

  
  
建築家相談依頼サービスで返信を頂いた建築家にはできるだけ返事をするようにしてください。お断りする場合でもプライベートメッセージなどを使って連絡いただければ幸いです。 
   

ユーザー 建築家紹介センター 仲里 実 の写真

 

幼い兄弟犠牲の家は崖条例対象外だった

 
広島県で2014年8月20日に発生した土砂災害では大きな被害がありました。 
被害に遭われた方には謹んでお見舞い申し上げます。 
またお亡くなりになられた方の御冥福をお祈りします。 
 
下記のようなニュースがインターネット上に載っていたので気になりました。
写真も掲載されていました。
 
兄弟犠牲の家、崖条例対象外 広島土砂災害
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/111543
「広島市の土砂災害で、幼い兄弟が犠牲となった安佐南区山本8丁目の住宅が、崖近くに建物を建てる場合に安全対策を求められる広島県の「崖条例」の対象外だったことが1日、分かった。同様に崖下に立つ2軒隣の住宅は対象だった。」
 
著作権法上の問題がありますので写真は転載しませんが、上記のページなどをご覧ください。
左から2軒めの家が土砂災害で兄弟が犠牲になった家、その2軒隣の右端の家は崖条例の対象になっているそうです。
 

崖条例とは

 
崖条例とは崖に近接する住宅の安全を確保するための法律です。
崖が崩れた場合のことを想定して崖から一定の距離を離しなさいという主旨の条例です。 
離すことができなければ擁壁を作るなどがけ崩れを防止するための対策をする必要があります。
地域によっては鉄筋コンクリート造の建物ならOKの場合もあるようです。
 

広島県の崖条例の概要

 
最初に広島市のがけ条例を調べてみました。
下記のページで調べた限りでは広島市では崖条例は特に制定されていないようです。
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1266363725483/
 
次に、広島県のがけ条例はどのように規定されているのか調べてみました。
下記のページの第四条の二に記載されています。
http://www3.e-reikinet.jp/hiroshima-ken/d1w_reiki/347901010016000000MH/3...
 
「住居の用に供する建築物を建築する場合には、その敷地(災害危険区域内にあるものを除く。)が、二メートルを超える高さのがけ(地表面が水平面に対し三十度を超える角度をなす土地をいう。以下同じ。)の上にあるときにあつてはがけの下端から、五メートル以上の高さのがけの下にあるとき(特別警戒区域内にあるときを除く。)にあつてはがけの上端から、当該建築物との間にそのがけの高さの一・七倍以上の水平距離を保たなければならない。」
 
わかりやすく言うと
「5M以上の高さの崖の下に家を建てる場合は、がけの上端から崖の高さx1.7倍、離しなさい」
となっています。
ただし、緩和規定が書いてあり、がけ崩れの災害防止工事などをした場合は離す必要がありません。
 
調べて見た時、わりと緩やかな規定だと感じました。
 

福岡県の崖条例の概要

 
参考までに、福岡県の崖条例だと下記のようになっています。
 
http://www1.g-reiki.net/pref_fukuoka/reiki.html
からログインして、「第12編 建築」→「福岡県建築基準法施行条例」とクリックして第五条に書いてあります。 
 
「がけ(地表面が水平面に対し三十度を超える傾斜度をなす土地をいう。以下同じ。)の高さ(がけの上端と下端との垂直距離をいう。以下同じ。)が三メートルを超える場合においては、当該がけの上にあつては当該がけの下端から、下にあつては当該がけの上端から水平距離が当該がけの高さの二倍に相当する距離以内の位置及び当該がけには、居室を有する建築物を建築してはならない。ただし、次の各号の一に該当する場合においては、この限りでない。」
 
わかりやすく言うと
「3M以上の崖の下に家を建てる場合は崖の上端から崖の高さx2倍、離しなさい」
となっています。
こちらも緩和規定があって、がけ崩れの災害防止工事をした場合などは離す必要がありません。
 

広島県と福岡県の崖条例の比較

 
比較してみると下記の表になります。
下記の表は崖下に家を建てる場合に限定しています。
全国のがけ条例を調べたわけではありませんので、全国的にはどうなのかよくわかりません。
福岡県のがけ条例と比べるとかなり緩やかだと思います。
もちろん、なんでも厳しくすればいいというわけでもありませんので難しい問題です。
 

地域規制を受ける崖の高さ離す距離
広島県5m崖の上端から崖の高さx1.7倍
福岡県3m崖の上端から崖の高さx2倍

 

崖条例の対象外になった理由

 
写真で見る限り、2軒隣の対象外になっている家よりも崖は高く見えます。
5メートルは超えているように見えます。
 
がけからの距離は同じくらいに見えます。
2軒隣の対象になっている家もがけの高さの1.7倍以上離れているようには見えませんが、がけの災害防止工事などを行っているものと思われます。
 
被害にあった家がどうして対象外になったのか写真を見た限りではよくわかりません。
 
崖条例の対象になっていれば幼い兄弟が死亡するような被害は防げたかもしれません。
 

S-444、20坪3階建て2世帯住宅への建て替え希望(東京都)

ユーザー えんま の写真
投稿者: 
現住所‐都道府県: 
東京都
現住所‐郡市区町村: 
世田谷区船橋
ご相談の内容: 

都内杉並区、20坪3階建て2世帯住宅への建て替え希望ですが、難があります。
両親は2人、私は妻と子供2人の4人家族です。
 
大手ハウスメーカーに相談し外見調査をしていただいたところ、建物東側に崖があるため、東京都の建築安全条例により、1階部分、もしくはすべてをコンクリート構造にする必要があり、建築費用がかさむとのことでした。
 
また、西側の道路は4Mあり、20センチ下がらなければならず、北側を削ると3階は15㎡ぐらいの面積しかとれないので、1階に車庫を設けて2世帯住宅にしてもどのくらいの間取りと予算がかかるのかは、よく分かりませんでした。
 
始めは、土地を担保に頭金なしで、何となく2千万円台で建てられるものかと安易に想像していましたが(大手銀行の相談会では、2,000万なら恐らく通るでしょうと言われたレベルですので、予算としては3千万円ぐらいが限界なのかなと)。ところが営業マンは4千万、5千万という数字を口にしていましたので、審査が通るのかも不安です。
 
どこのハウスメーカーや工務店に相談したら良いのかもわかりませんでしたので、こちらに書き込んでみることにしました。素人で恐縮ですが、アドバイスやご提案をいただければ助かります。
 





House H

●設計事例の所在地: 
愛知県名古屋市
●面積(坪): 
31.5
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

外観、アプローチ

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

もともとこの敷地は小高い丘の一部で数年前まで緑豊かな森だった。近年、開発が進み、周辺は住宅地化されていったが、この敷地は無造作に造成されていた為か取り残されていた。
できるだけもとの状態に戻したい。そんな思いから計画を進めた。極力擁壁は作らず、土の出し入れもないようにし、法面を整備する。その結果できた平地に建物を配置した。
クライアントが手塩にかけて育てたクローバーが敷地いっぱいに広がっている美しい風景が日常の喜びになればと思う。

その他の画像: 

外観・アプローチ

外観

リビング・ダイニング

リビング・薪ストーブ

リビング・ダイニング

リビング・ダイニング

スタディールーム

洗面所

妙見町の家

●設計事例の所在地: 
愛知県名古屋市
●面積(坪): 
46
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

リビング・ダイニング

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

敷地は都市の大通りに面しており、周辺はマンションなどの開発が進んでいる。周辺環境の変化に流されることのないようしっかりとした骨格を与え、過度な表現を控えることを心がけた。昔から変わらない価値観や気持ちを考えて作った家は年月を経ても古くならないと思います。

その他の画像: 

鎌倉の茶室-小間「3畳台目向う切り」-1

●設計事例の所在地: 
鎌倉
●面積(坪): 
55坪
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

鎌倉の茶室-小間「3畳台目向う切り」

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

狭い敷地にどのように、2階を住居とし、広間と小間、路地、玄関、寄り付きを配置するか、鎌倉といえどもハウスメーカーの建物が建ち並ぶ環境にあって、どのように茶の別世界を構築するかに大変苦労した。

その他の画像: 

手前座をみる

躙口より露地

水屋より茶室をみる

外腰掛けより茶室方向

内露地を俯瞰する

下地窓
力竹(芽付竹)
光の回り込みを考慮して位置を決める。

ユーザー 大島功市建築研究所 一級建築士事務所 大島功市 の写真

前面R外壁の汚れ落しの確認をして…一通り終了したところで監督から連絡がありシートを外して全体確認!
コンクリート打放しは一部ではなく全体を見ることが大切!
クライアントにも見て頂き一通り説明をさせて頂く!
今回は…リトリン→レッカノン→デッグガードで覆う!
苔防止→表面強化→撥水の世界最高の三層構造!!!

和風建築・インタビュー・渡辺貞明建築設計事務所 渡辺 貞明さん


 
長い間時間をかけて培われてきた歴史や様式、その延長線上に我々の現代の住まいがあるのだという意識の上にその時代の和風建築は成り立っています。
和風建築について渡辺貞明建築設計事務所 渡辺 貞明さんに伺いました

お話を伺った建築家

 

ユーザー 渡辺貞明建築設計事務所 渡辺 貞明 の写真
川崎市中原区木月1-4-15
044-434-4777

貴社が和風建築の設計を手がけたきっかけがありましたら教えて下さい

 
独立前に勤めていた早川正夫建築設計事務所は茶室の設計や歴史的建築物の復元,改修を数多く手がけてきた事務所で建築家堀口捨巳の設計姿勢を継承する事務所でした。
 
ここでは日本の伝統、歴史の延長線上にある現代の住まいを考える機会を与えられ、その経験が今の仕事の根底にあります。
 

和風建築の外観デザインで気をつけていることを教えて下さい。

 
ひとつひとつの建築が連なって、日本の町並みを形作っている事を忘れないようにしています。
我々の生活がグローバルになればなるほど、私たちは日本人としてのアイデンティティーをより明確に持たなければなりません。
建築はその日本らしさを具体的に表現する器としての役割を担っています。
 
法規や予算の都合により、大変難しい事とは思いますが、それぞれの建物の姿が連なって、自分の住む町並をつくり、そこで暮す事が誇りとなっていく事を忘れないように心がけています。
 

和風建築の玄関設計で気をつけていることをおしえてください

 
和風建築において、玄関に至るアプローチと玄関は単なる入り口の意味を超えて、非常に重要な演出の場所であり、訪れる人にとってその建物の「格」や内部の様子というようなものを予感させ、伝える事が大切かと思います。
 
できる限り、敷地入り口から玄関先がまっすぐに見通せるような配置は避けたいですね。
 

和風建築の屋根の設計で気をつけていることを教えて下さい

 
和風、特に数寄屋建築の屋根はこれ見よがしの構成は避け、軽快に素直に表現され、施主の美意識に対する見識を表現する意味で、重要だと思います。
更に軒裏の表現は和風建築の重要な見せ場でもある事を忘れないようにしなければなりません。
軒裏は当然ながら室内に座った時に美しく見える事も前提に考えます。
これも法規や予算により大変な制約を受ける部分ですが、設計上大切な踏ん張りどころです。
 
屋根の素材はできればいぶし瓦、銅板葺きを使いたいものです。
屋根の大きさや用途によって瓦の大きさを変え、軒先や棟瓦の形状もその建物の性質によって適切な選択をしなければなりません。
これも日本の風景を守っていくためには大変重要な要素です。
重い瓦を使う事で耐震性についても十分な配慮が必要ですが、建築基準法に基づく軸組計算書によって適切に考慮され、配置されていれば問題はありません。
瓦などの重い材で葺いた場合と、金属板石綿板等軽い材で葺いたものとでは、2階建ての場合、全体で23%ほど瓦のほうが耐力壁を多く要求されます。
 

 

和風建築間取り設計で気をつけていることを教えて下さい

 
数寄屋建築などでは建物の角部分に壁があると、本来日本建築が持っている、解放感や、外部空間、軒下の空間とのつながりが失われがちになる場合があります。
前述の屋根のところでお話した、要求される耐力壁の配置をバランスよく考慮しつつ、日本建築が本来持っている空間の本質をできる限り損なわないように間取りを設計していきます。
大変難しい事ですが、法規に振り回されて見失ってはならない事を常にしっかりと認識して設計します。
 

 

和風建築を建てたいと思っている方になにかアドバイスがありましたら教えて下さい。

 
私は「和風」という言葉があまり好きではありません。
この言葉は自ら、「和のような」なのであって「和」そのものではないと言っているようで違和感を覚えるのです。
たとえて言うと、日本らしさを表現するもののひとつに和菓子がありますが、これを和風菓子と言わないように、やはり日本独自の建築を和風建築というのは適切ではないと思うのです。
 
とはいえ、和風建築はすでに広く使われている言葉であり、今更頑なになる必要もありませんが、和ではなく和風(和のような・和モダンも同様)としか言いようのない建物が和モダンなどという言葉をかりて頻繁にみかけるようになったことに違和感を覚えるという事です。
 
長い間時間をかけて培われてきた歴史や様式、その延長線上に我々の現代の住まいがあるのだという意識の上にその時代の和風建築は成り立っています。
何か新しいものを造り出す時、先人の試行錯誤の末、それが長い年月を生き残ってきた意味を理解し、その道筋の上に新しいライフスタイルとうまく折り合いをつけて造り出すものが新しい和風建築なのだと思います。
 
技術的には工業化が進みすぎて、日本の大工さんの技が淘汰されていっているのが現実です。
適切な設計事務所、ふさわしい工務店を見極めていただきたいと思います。
 

貴社は茶室も手がけているそうですね。茶室の設計で気をつけていることを教えて下さい。

 
当然の事ながら、お茶室での、主客の動きを体験的に知っており、道具の扱いについての知識がなければ茶室の設計はできません。
自ら機会をとらえてお茶の稽古をし、そこから得た知見を設計に活かしていく事は必須です。
各流派の違いを適切にとらえていく事も大切で、確認を怠って施主に絶対に恥をかかせてはなりません。
 

和風建築の他にどのような設計を得意としていますか。

 
大正、昭和初期の住まいのように、西洋に憧れながらも、この国の風土に根ざした日本の住まい、そのような雰囲気を持った住まいを得意としています。
最近のNHKの朝ドラ「カーネイション」から始まって「梅ちゃん先生」「ごちそうさん」「花子とアン」の時代背景を彩る建物のデザインに憧れる方は少なくないのではないでしょうか。
あの雰囲気を現代の住まいの要求とすり合わせて、新しいかたちのスタイルとして提供したいと考えています。ホームページにもいくつか載せております、ご覧ください。
 
一方、この様な建物に関わっていると、ごく「普通の住まい」の在り方がとても気になってきます。
むしろこれが一番大切なのだと思うのです。
一般の方が住宅展示場から冷蔵庫や車を選ぶように工業製品としての住宅を買っていく、そこには便利さと引き換えに何か失われてはいないかと気になります。
手の届く「日本らしいのふつうの住まい」これからはこの分野の設計にも更に力を入れていこうと考えています。
 
最近では古い建物の良さを活かしながら住まいのリノベーションの仕事も増えてきました。受け継いできた資産を新しい視点で蘇らせる、意義深い仕事だと思っています。
 
住まいを設計する上で建築家として心がけている事は、自分のスタイルを押し付けない事です。
施主が求める心地よさを 建築の専門家として、施主の想像を超えた、より良いかたちで提案していく事が建築家の仕事。
あくまでも住まいを完成 させるのは住み手であり、建築家ではありません。
施主が住みながら自分のライフスタイルに染めて、より味わい深いものにしていく余地を残す事を心がけています。?
 

渡辺貞明建築設計事務所 渡辺 貞明さんの和風建築設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
鎌倉の茶室-小間「3畳台目向う切り」-1

狭い敷地にどのように、2階を住居とし、広間と小間、路地、玄関、寄り付きを配置するか、鎌倉といえどもハウスメーカーの建物が建ち並ぶ環境にあって、どのように茶の別世界を構築するかに大変苦労した。

昭和の匂い・懐かしさを引継ぐ木造リフォーム

自邸 川崎

鎌倉の茶室-小間「3畳台目向う切り」-2

狭い敷地にどのように、広間と小間、路地、玄関、寄り付きを配置するか、鎌倉といえどもハウスメーカーの建物が建ち並ぶ環境にあって、どのように茶の別世界を構築するかに大変苦労した。

懐かしい新しさをつくる 和のリノベーション(木造1戸建てリノベーション)

和風の古家のリノベーション
和の面影を残し,日本家屋の佇まいの中に新しいライフスタイルを目指す

鎌倉の茶室-広間

狭い敷地にどのように、広間と小間、路地、玄関、寄り付きを配置するか、鎌倉といえどもハウスメーカーの建物が建ち並ぶ環境にあって、どのように茶の別世界を構築するかに大変苦労した。

 

野草と野鳥、クラフトを楽しむ木の家

●設計事例の所在地: 
埼玉県さいたま市見沼区
●面積(坪): 
138㎡(41.8坪)
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

東に向いて、瓦屋根が高原の山並みの重なりのように連なっています。
屋根の軒先などの外周部分をガルバニウム鋼板で葺き、それ以外は瓦で葺く越葺きです。
瓦は深谷産のいぶし銀黒瓦で、耐久性が高く、手磨きのいぶしの輝きが時と共に
豊かな表情を魅せてくれます。
足元の草花、木の塀と塀越しの緑に包まれて、落ち着いた景観を造っています。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

台形に変形した東向きの敷地に、どのようにしたら快適な家ができるか
野草の庭をどのように造り、家と調和させるか
ご主人の趣味の木工と野鳥観察がうまくできるか、などがポイントでした。
地震のこともあり、耐震性を高めて、かつ日本の家のよさでもある風通しがよく
のびのびとした生活ができるかと言うことも、暮らし方として重要でした。
できれば、どの窓からも、外の草花を見られるようにしたいと言うご要望は
その後の設計に大きく影響しました。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

木の家の設計監理の実績が多く、伝統的な木組みの家ができることに好感を持って
お問い合わせいただきました。
木の家と言っても、最近の外壁に金属板を張ったりするデザインが納得できず
木と塗り壁、和紙などの自然素材を外部やインテリアに適材適所で使えることも
共感されました。
変形した敷地で、しかも東向きですが、敷地の形に対応して雁行する間取りと
瓦屋根の重なるデザインが、合理的な設計でもあることに納得していただきました。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

道路側の庭の南側から、家の周りをぐるっと回るように庭のゾーンを設定しました。
道路に沿って家をセットバックさせて、庭を確保し、徐々に雁行するプランニングとしました。
庭のゾーン設定から家のゾーンを決めると言う手法ですが、敷地に余裕がありましたので
家が圧迫されること無く、スペースが確保できました。
その庭と向き合う形で、和室、ひろま、ご主人の書斎兼工房兼野鳥観察室を設けました。
ひろまの天井を階段と共に2階まで打ち上げることで、欄間、トップライト、2階からの
採光などの工夫をして、東向きの採光不足を補いました。
内部空間の雁行をそのまま現した5層の屋根が、野草の庭と調和して、流れるような
外観と道路からの圧迫感のない親しみやすい景観をつくっています。

依頼者の声: 

木の家の完成後に、大きな木以外は、少しずつ植栽を自ら行いましたが
自分の思いの庭造りができました。
庭からひろまへ、2階へと風が通り抜け、庭と一体となった木の家の暮らしを
楽しんでいます。
日差しを浴びた庭からの間接光と2階からの光が時間の移ろいと共に
感じられ、キッチン、浴室からも庭が見れることで、ほっとします。

その他の画像: 

玄関からアプローチと見ています。
以前の古屋の瓦を保存しておいて、アプローチにご夫妻と共にセルフビルドで
敷き込みました。
デザインは瓦のウェーブを生かして水の流れを表現し、その淀みに車輪の
モチーフを入れ込んで、水車と水の流れを描きました。

玄関から北東の庭を見ています。
木の塀と植栽によって外界と仕切られています。
雑前とも見えますが、手を入れすぎない野草の自然な庭です。

玄関から北東の庭を見ています。
木の塀と植栽によって外界と仕切られています。
雑前とも見えますが、手を入れすぎない野草の自然な庭です。

ひろまから2階への階段、2階階段ホールを見ています。
階段はスリット階段ですので、奥の地窓の開閉もでき、風の通り道を
幾通りも設けています。
2階の部屋と吹き抜けを支える丸太の梁と大黒柱が空間を引き締めています。

ひろまからキッチン、書斎方向を見ています。
キッチンはクローズドキッチンですが、完全に区切らずに緩やかに繋がっています。
右側が書斎への入り口ですが、キッチンへもつながり、回遊式プランニングです。
座卓は掘り込んで、床暖房を入れていますが、将来はテーブルにできるように
床板含めて仕込んでいます。

キッチンは木のシステムキッチンと造り付け収納の組み合わせで
家全体と調和させています。
窓が二方向にあり、いずれの窓からも外の緑を見ることができます。

書斎は角に設けたため、二方向に窓を設けて、庭を見たり、鳥を観察したりできます。
足が下に下ろせるように座卓にしており、座る床は畳を敷いています。
壁面いっぱいの本棚は十分な収納量で、天井はにトップライトを設け
竹を置くことで、日差しを和らげています。

ひろまの南側に和室があります。
ひろまの北側の書斎の入り口まで、空間が一望できます。
玄関は部屋として区切られていますので、冬場も一体的に使えます。
正面右側の小さな窓は玄関との通風窓で、部屋と部屋の間の窓ですが
竹を組み込んだ菱形の窓です。
右側は玄関と一体となった土間で、庭作業の休憩所でもあり
ご主人のそば打ちの場所でもあります。

和室の北側です。
押入れの上には神棚を大工さんに造り付けてもらいました。
その左は同様に造り付けの仏壇です。
壁は珪藻土、天井はさわらの板です。

2階ホールからひろまを見下ろしています。
丸太梁、欄間まど、トップライトが見えます。
2階ホールの越屋根に設けたハイサイドライトの窓を開けると
気持ちよく庭からの風が通り抜けていきます。

ページ

セルフビルド|建築家の設計事例 を購読建築家紹介センター RSS を購読