●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など):
50年以上にわたり木製家具の製造に携わり続けている木工所工場に併設された事務室からショールームへのコンバージョン。11㎡の空間に木製家具製作時に出る端材を利用したプロダクトを展示する場を求められた。ただ古い壁や天井を剥がし、新しい壁や天井を設え、什器を置くという方向ではない、来訪者が楽しめる、什器と空間が一体化したような、多治見の風景に根ざせるようなあり方を考えた。
粘土山の山肌の地層や石ころが露出しているのが、陶磁器で有名な多治見らしい素朴な風景のひとつであると思った。地層は長い年月をかけ堆積し積み重なるもの。その積み重なる風景を木工所のショールームにふさわしい無垢の木と無垢の端材で積層し構成した。無垢の木の断面の不均質さが与えてくれる雰囲気が空間を包む。
土から手をかけ陶磁器が生まれるように、この場所からも年月をかけアイデアを積み重ねたプロダクトが生まれ、様々な方に紹介できる場となるようにしたいと考えた。