●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など):
もともとあった木造の古家は、おそらく昭和初期に建てられた木造2階建ての家で、当初の計画は、この古家を全面的にリノベーションする検討から始まりました。
しかしながら、詳しい調査をしてみると老朽化が激しく、耐震診断の結果も安全基準未満のため、改修費用も高額になるということで、蔵を残して全面改築することになりました。
また、地盤調査によると支持地盤がかなり深く、表層付近は軟弱地盤となっているため、今後、南海地震や津波が予想されることを考慮して、地盤対策も含めた新築計画を行う事になりました。
既存の古家に馴染んでいた素敵な日本庭園があったため、外観のデザインは自然に和を感じさせるシンプルでモダンな平屋の家になりました。
高知の気候に合わせて、庭園のある南側には、大屋根からの軒を深く延ばして、その下に庭園と室内を繋ぐデッキスペースを設けています。
大型のアートコレクションを含めた、数多くの作品を展示するためとはいえ、大きなギャラリースペースを確保できるほどの予算ではないため、少し広めにした廊下と、なるべく大きな壁面を確保したリビングを中心に、アートの展示を行うことにしました。
アート作品の蔵からの出し入れは、和室の北側に大きな開口部を設け、屋根を蔵からの庇と重ねることで、搬出入の問題を解決しました。
軟弱地盤に対しては、確実な支持杭を施工するには非常に大きなコストがかかるため、さまざまな検討の結果、以前に同じような条件で使った経験のある、地盤置換工法を採用しました。