●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など):
中山道に接道した敷地に建つ中庭形式の平屋です。歴史的背景を背負った場にふさわしい住まいとは何かを模索しました。検討期間中に歌川広重の描いた「雨の中津川」を見る機会がありました。その「湿度感」、「雨空の墨のグラデーション」に見入りました。そこから外壁を墨入りモルタル掻き落とし仕上げとし、深みや湿度感をこの場所に与える事としました。また、中山道の雰囲気を引き込むため、中庭を設けました。中庭は南面を2面構成する事となり、プライバシーを守りつつ、明るく心地よいLDKを設計しました。
素材は、無垢のフローリング、壁は漆喰塗装など自然素材にこだわり、経年変化を楽しめるもの、外部木部やデッキ、内部壁塗装は設計者、施主とともに塗装しました。メンテナンスの仕方、建築に対する愛着を育むものとなりました。これらによってこの場所に「根付き、この場所にあっても良い」と思えるものになるのではないかと考えました。
上記によって住まい手と場所と建築が一体となり、風景の一部となって行く事で奥行き感のある美しいものになっていくと思います。