古民家再生には4つのポイントがある・木の家プロデュース 明月社 山岸飛鳥さん
古民家は歴史が刻まれていること、昔の職人の手仕事の跡、今ではなかなか手に入らない大きな木材、年月によってしか出すことのできない色艶などなど、古民家の空間が好きな方には、他とは比較できない唯一性があります。
古民家再生について木の家プロデュース 明月社 山岸飛鳥さんに伺いました。
貴社が古民家再生を手がけたきっかけがありましたら教えて下さい
以前京都で勤めていたときに京町家の再生利用に何回か関わったことがあり、古民家再生の経験がありました。
榛原の古民家は、現在住んでいる古民家を再生したいという方を私の友人が紹介してくれたのがきっかけです。
私自身ができれば古民家に住みたいくらい好きでしたから、喜んで設計監理をやらせてもらいました。
古民家再生のメリット・デメリットを教えて下さい
メリットは「古民家である」ことです。
歴史が刻まれていること、昔の職人の手仕事の跡、今ではなかなか手に入らない大きな木材、年月によってしか出すことのできない色艶などなど、古民家の空間が好きな方には、他とは比較できない唯一性があります。
デメリットは、機能性ではイマドキの新築には及ばないということです。
断熱性や耐震性を新築の長期優良住宅と同等にしようすると、もはや元の姿が残らないほどの大改修になってしまいます。当然費用もかかることになります。
しかし、古民家に住みたいと言う方は、そこまでの機能性は求めない方が多いと思いますから、あまりディメリットとは感じないのではないでしょうか。
古民家再生のポイントについて教えて下さい
用、強、美、聖 の四つのポイントがあります。
用=
使い勝手や機能性については、私は現代の暮らしに合わせていくことが大事だと思っています。再生だからと言って、昔のままに復活させたのでは、とても暮らしにくい家になってしまいます。
強=
構造面では、基礎や筋交いのない伝統建築のまま補強するのか、新たに基礎を作って現在の建築工法で補強するのか、最初に判断することが必要です。あとは、それぞれに合った方法で耐震診断で1.0以上になるようにしたいところです。
伝統建築の中に部分的に筋交いを持ち込んだり、土壁を落としてしまったの伝統建築と評価したり、かなり混乱した耐震補強が巷では見かけられるので、注意が必要です。
美=
古民家の美しさ。これは言うまでもありません。用と強を満足させるために美は犠牲になりがちですが、ここを妥協したら意味が無ないので、しっかりとコダワリをもって設計することです。
聖=
歴史と言ってもいいと思います。シロアリなどでボロボロの材は新しい木材に替えますが、できるだけ古い木材や建材をのこすこと。土壁もできるだけ落とさないこと。歴史が刻んできた空気が消えてしまわないように細心の注意を払うことが必要です。
古民家再生の費用は新築に比べてどうなのでしょうか?
現況の程度やどこまで再生するかによって大きく変わりますが、用・強・美・聖で妥協せずに計画すると、新築よりも高くなると思います。
ただしそれは、イマドキの新築のことであって、古民家と同じ物を新しい材料で作り直すよりは安上がりです。
榛原の古民家で注意した点を教えてください
1,2階とも間取りを住みやすいように変更しましたが、1階は元の家の雰囲気をできるだけ残しています。
ただし中央部が非常に暗かったので、真上と南側の2階の部屋を撤去して明かりと風を取り入れました。
2階は構造材はほぼそのまま見せていますが、作りはまったく変わっています。
芝生のルーフバルコニーもあったりして、そこだけ見れば古民家というよりリゾート風になっています。
構造面では鉄筋コンクリートの基礎を作り現代の工法による耐震性を確保しました。
1階の床下はほぼ全面的にシロアリに食われ、一部は2階の柱や床梁まで食われていましたので、補強工事は非常に難工事になりました。
実際に工事を進める中で大工さんが苦労したのは「水平と垂直がない」ということです。
床を貼るにも壁を作るにも、まず元の家の少し傾いたり凸凹した状態に材料を削らないと取り付けられないのです。
大工さんの手間賃もかかりますし、工期も長くなります。
リフォーム会社でなく貴社に古民家再生を依頼するメリットを教えて下さい
用+強 と 美+聖 のバランスをとって仕上げるとことです。
一般のリフォーム会社の場合は用+強 を優先しがちですし、古民家再生を専門にしている会社は 美+聖 に重点があります。
その両方を考えながら設計・監理するのが当社のメリットだと考えています。
古民家をカフェとして再生する仕事も引き受けていただけますか
京都で勤めていたときには京町家を店舗に改修する仕事をよくやりました。そういう案件があれば、ぜひお声かけください。
古民家を宿泊施設として再生する仕事も引き受けていただきますか?
宿泊施設は法的なハードルが高いですが、ぜひ挑戦してみたいです。
古民家を再生したいと思っている方になにかアドバイスがありましたら教えて下さい
ひとつは「その古民家のどこが魅力的なのか」を把握しておくことです。
すべてを残すことは中々むずかしいので、自分にとっての中心をしっかりともっておくこと。
それから、構造は妥協しないことです。
ほとんどの古民家が見た目以上に傷んでいます。
構造補強の費用は心積もりしておいた方がいいと思います。
木の家プロデュース 明月社 山岸飛鳥さんの古民家再生・設計事例
画像 | 建物の名称 | 紹介文 |
---|---|---|
榛原の古民家 | 古民家の味はそのまま残しながら、構造は全面的に改修した。また、単なる古民家の復元ではなく、現代の生活に合うようにリノベーションした。 |
古民家再生・メニュー
関連する特集ページ
建築家相談依頼サービス・目次
建築家紹介センターでは建物を建てたい方にお近くの建築家を紹介する建築家相談依頼サービスを行っています。
建物について相談・依頼したい方はぜひ、下記のページをご覧ください。
建築家相談依頼サービス・目次 |
---|
建築家相談依頼サービス・トップページ |
建築家相談依頼サービスの流れ |
建築家相談依頼サービスの特典 |
建築家相談依頼サービス・お客様の声 |
建築家相談依頼サービスの料金 |
建築家相談依頼サービス・最近の相談・依頼事例 |
建築家相談依頼サービスのよくある質問 |
建築家相談依頼サービスの安心安全宣言 |
建築家相談依頼サービスの申し込みは今すぐこちらから(無料)↓
当サイトの建築家に相談・依頼したい方は下記から相談・依頼したい内容を投稿してください。
投稿した内容は下記のページで公開され、当サイトの会員建築家から返信をもらうことができます。
https://kentikusi.jp/dr/netirai/jirei
このサービスは一般の方・業者の方でも無料で利用できます。