ソトにもウチにもなりうる万能空間の土間・一級建築士事務所 group-scoop 安河内 健司+西岡 久実さん


 
暑い夏の日の土間は、ひんやりと適度に冷たく、素足で歩きたくなるほど心地よいものです。
 
土間について一級建築士事務所 group-scoop 安河内 健司+西岡 久実さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 一級建築士事務所 group-scoop 安河内 健司+西岡 久実 の写真
福岡市中央区御所ヶ谷3-13-52
092-203-8637

 

貴社が土間のある家を手がけたきっかけがあれば教えてください。

 
特にこれといったきっかけがある訳ではありませんが、おそらくこの仕事に携わるずっと前から、無意識のうちに、土間のもつ不思議な魅力に興味をもっていたのだと思います。
 
古民家などによくある玄関まわりの三和土のスペースや京都の町家の通り土間などがまさにそうですが、そういった場所に身をおいた時、「ここは屋内なのだろうか?屋外なのだろうか?」っていう不思議な感覚を憶えた経験はありませんか?
屋根もあって、壁もあって、そういう意味では完全に屋内であるはずなのに、居間などの雰囲気とは何かが違う。靴を脱ぐべきかどうか迷ってしまうほどに、ソトなのか?ウチなのか?がよく分からなくなってしまう、そんな不思議な感覚です。
おそらく土間とは、ソトでもウチでもない中間領域、もしくはソトにもウチにもなりうる万能空間なのだろうと思います。
 
私たちは建物の設計をする際、ウチとソトとの関係性というものを特に重要視しています。
建物とは、住み手(=ヒト)と都市、自然、社会などの外界(=ソト)との間に介在する、いわば両者のつなぎ役のような重要な存在だと思っているからです。
そんな私たちの設計において、ソトとヒト、ソトとウチとをより自然につないでくれる土間の存在は非常に大きく、積極的に取り入れています。
  

土間のメリット・デメリットを教えて下さい。

 
メリットは多々ありますが、一番は快適性だと思います。
特に、暑い夏の日の土間は、ひんやりと適度に冷たく、素足で歩きたくなるほど心地よいものです。暑さが苦手なワンちゃんにとっても嬉しいようで、お腹を床にべったりとくっつけてモップのように佇む姿には、とても癒されます。
 
反面、冬の土間は、非常に冷たく、そのままでは周囲の温度を下げてしまいます。もし、デメリットがあるとすると、この点でしょうか。
ただし、このデメリットについては、床暖房などの暖房設備を適切に設けることで、完全に解消できます。
木の床に比べて熱持ちが非常によいので、長時間の暖房にも適しており、冬でも素足で歩きたくなるほどの快適性を一日中保てます。
 
コンクリートやモルタルなどの素材でつくった土間は、フローリングやタイルのように目地を設けずに済むので、掃除も非常に楽です。表面に防塵性のある塗料を塗るとさらに汚れにくくなります。
また、防水性のある塗料を塗ることで、水を使った作業を行うキッチンやアトリエなどの床としても利用できます。
 

 

土間のある家を設計する上で注意している点を教えて下さい。

 
土間に用いることが多いコンクリートやモルタル、石などの素材は、「熱しにくく、冷めにくい」という温度特性があります。
その為、夏の陽射しの影響を受けにくい場所など、適切な場所に土間を設けると、この「熱しにくい」という温度特性により、暑い夏でも、周囲の他の床よりも温度を低く保つことができ、ひんやりとした快適性が得られます。
 
反面、夏の陽射しが強い場所などに設けてしまうと、日中の陽射しなどで一度温まってしまった土間は、今度は「冷めにくい」という温度特性により、太陽が沈んだ夜でも熱を発しつづけ、熱帯夜を促進してしまいます。
この「冷めにくい」という蓄熱性を利用して、冬の日中の陽射しを積極的に土間に蓄えて夜間の暖房費を抑えたり、温水式の床暖房の程よい温度を長時間に渡り持続させたりすることなども可能です。
この温度特性を正しく理解したうえで、土間の長所を最大限に引き出し、短所を適切に補う設計となるよう注意しています。
 

土間のある家の間取り図をいくつでも掲載させていただければ幸いです。

ナガヤネ・平面図

↑ナガヤネ・平面図

FU-PU 風布・平面図

↑FU-PU 風布・平面図

「ナガヤネ ー 長い屋根と土間の家 ー」の土間の床は黒い色をしているのですが、どんな床材なのでしょうか?

 
この住宅で使用した素材は、「モルタル」というセメントと砂と水とを混ぜ合わせたものに、「松煙(しょうえん)」とよばれる墨を混ぜ合わせています。
松煙は、松を燃した際に発生する煤(すす)を集めた粉状の墨で、現場でモルタルを練る際に、左官屋さんに混ぜて頂きました。
 

 

その床材を選ばれた理由を教えて下さい。

 
通常のモルタルは淡い灰色をしていますが、このままでは汚れやヒビが目立ち易い点、家の雰囲気にあわせて落ち着いた色にしたかった点などがあり、松煙によって色づけをしています。
松煙入りのモルタルは、施工直後は真っ黒な色味をしていますが、乾燥するとやや白くなり、瓦のような複雑な深い灰色に落ち着きます。
 
混ぜる量によっては、ひび割れを促進してしまうこともあるので、その点は注意が必要ですが、通常のモルタルよりも豊かな表情があり、深みも増すので、私たちの設計ではよく用いています。
 

ハウスメーカーや建設会社ではなく貴社に土間のある家を依頼するメリットを教えて下さい。

 
型にとらわれない自由な発想にもとづく設計が可能であるということでしょうか。
一言に土間といっても、玄関のようなスペースや、通り土間のようなスペース、日曜大工や芸術活動の為のアトリエのような作業スペース、リビングのようなくつろぎのスペースなど、様々な用途が考えられます。
良い意味で既成概念にとらわれず、土間の特性を素直に活かしたシンプルでユニークな発想により、新たな土間スペースを提案したいな~と常々思っています。
 
意匠的なデザインはもちろん、土間のある家にとって特に重要なのは、空気や温度のデザインを家全体で考えることです。
夏と冬、昼と夜、それぞれについて検討を行うことも重要です。
 
家全体をトータルに自由にデザインできること、これが私たちのような設計事務所の強みだと思います。
 

土間のある家を建てたい方になにかアドバイスがあればお願いします。

 
土間のある生活。きっと何気ない日々の生活に、ちょっとだけ奥行きを与えてくれると思います。
土間の良さについては、私たちがここでいくら語るよりも、どんな本や資料を読まれるよりも、実際に体感される事が一番だと思います。
 
設計事務所が開催するオープンハウスなどに積極的に参加して、ソトでもウチでもない不思議な空間の心地よさを、ぜひ五感で味わってみてください。
 

一級建築士事務所 group-scoop 安河内 健司+西岡 久実さんの土間・設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
ナガヤネ ー 長い屋根と土間の家 ー

敷地が細長い形であったこともあり、全長約20mのなが~い1枚屋根で家族の様々な生活シーンを緩やかに繋ぐオープンでシンプルな平屋の家を提案しました。

ミドリノイエ ー 屋上に庭のある家 ー

前面道路沿いにつづく緑道の樹々、隣接する神社の大きな御神木の緑、広く青い空、これらを適所に配した開口部より適度に取り込む2階建てのシンプルな建物を提案しました。

FU-PU 風布 ー 風のとおりみち ー

不要な壁を全て取っ払い、南北両方に窓があるという、この室の最大の特徴を素直に活かした
オープンな空間を提案しました。南北に爽やかな風が走り抜ける、風の通り道のような空間です。

まんなか ー 明るい吹抜のある家 ー

隣地建物がせまっている為、南面と東面からの採光が難しい敷地の短所を補うよう、建物のまんなかに設けた吹抜を軸に大きなワンルームのような簡潔で自由な空間を提案をしました。直射日光が苦手という住人の意向を考慮し、この吹抜はできるだけ天空光や反射光で明るくするよう工夫を施しています。

「 T 」-玄関土間で分かつ家-

はじめて現地を訪れた際、現状のポテンシャルの高さに特に何もする必要がないと感じました。
私たちが作為的にやったことはただ1つ。小さく暗い印象だった玄関とその先につづく無駄に長い廊下を統合し、タイル貼の広めの玄関土間としたこと、これくらいです。

 

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