中山道 白雨の家
墨入りモルタル掻き落とし仕上げによって時事刻々と外壁の表情が変化し、深みを帯びるファサード。(2018年度第33回日本建築学会東海賞受賞作品)
「常に自然を感じられる」、「適度なプライバシー」を守ることを求められました。
あとは「大らかに委ねます」とおまかせ頂きました。
この住宅を建てる前にオープンハウスに来ていただき、設計デザインの方向性を気に入っていただけた事。「自然を感じられる仕掛け」、「マテリアルがシンプルで、時間が経つ事によって深みが増す」点を気に入っていただけた事。
中山道に接道した敷地に建つ中庭形式の平屋です。歴史的背景を背負った場にふさわしい住まいとは何かを模索しました。検討期間中に歌川広重の描いた「雨の中津川」を見る機会がありました。その「湿度感」、「雨空の墨のグラデーション」に見入りました。そこから外壁を墨入りモルタル掻き落とし仕上げとし、深みや湿度感をこの場所に与える事としました。また、中山道の雰囲気を引き込むため、中庭を設けました。中庭は南面を2面構成する事となり、プライバシーを守りつつ、明るく心地よいLDKを設計しました。
素材は、無垢のフローリング、壁は漆喰塗装など自然素材にこだわり、経年変化を楽しめるもの、外部木部やデッキ、内部壁塗装は設計者、施主とともに塗装しました。メンテナンスの仕方、建築に対する愛着を育むものとなりました。これらによってこの場所に「根付き、この場所にあっても良い」と思えるものになるのではないかと考えました。
上記によって住まい手と場所と建築が一体となり、風景の一部となって行く事で奥行き感のある美しいものになっていくと思います。
竣工2年ほど経ちますが「とても住みやすく、明るく開放的であるけれども落ち着きがあり、自然を存分に楽しめる」、「素材の変化が楽しみ」とご感想を頂いております。
リビングを見る。
中庭のヒメシャラを見る。葉の揺らぎや、光と影を楽しめる。
中庭から水回り方向を見る。
南側子供室を見る。ハイサイドライトとする事で周囲が気にならず、空と光を楽しめる明るく開放的な空間。
中庭に面した廊下を見る。
中庭からリビング、北側開口部の抜けを見る。
夜景。
玄関を見る。
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